代表取締役社長 川人 正臣氏
20代の頃から豊田良平氏に師事するなどトップ企業のトップ経営者から人生を学ぶ。電子部品メーカーに勤めていたが、2001年に独立し電子機器開発企業・株式会社ヒューマンフォレストを創立し、同時に豊田氏の語録をまとめて出版した。政財界に広い人脈を持つ。出版事業も行っておられるのですね。
20代の頃、歴代総理大臣の指南役と言われた安岡正篤先生の本を沢山読んでいました。安岡先生はその頃すでに他界されていましたが、先生に師事していた方々がトップ企業の経営者の中には沢山おられました。安岡先生に学んだ弟子が、なぜかトップ企業の社長になられた方を続出されて興味を持ちました。 そこで、安岡先生の高弟で、現コスモ証券の副社長を歴任した豊田良平先生の勉強会に参加したのです。当時、安岡先生の勉強をしていると言うと、安岡先生を師と仰いだトップ企業の経営者の方々にもご縁をいただき、経営学や政治学、人間学の勉強をさせていただき、本も沢山読みました。 その中で、教えていただいたことを書き残したり、自分の考えを書いたりしていました。35歳の時に、豊田先生から「何をボヤボヤしているんだ。40歳を過ぎてからでは遅いんです。」と言われて、そこからさらに本格的に勉強を始めました。そして40歳で会社をやめて独立し、自分の会社を設立したのです。同時に豊田先生の語録をまとめて、豊田良平先生に学ぶ「仕事と人生」という本を出版しました。 そのような背景もあり、会社の理念を多くの方々に伝えるための書籍づくりと、 子供を対象としたイベントの企画や講演活動を行っています。
御社の理念とは
『ヒューマンフォレスト』という社名には私が実現したいビジョンが反映されています。日本語に訳すと《人間の森》です。森に住む生き物たちは自然の法則のもとに成長し調和しています。このような自然に学び、自然界や人間相互の“調和と成長”を追い求めようという考え方を、社名に込め、《人間の森づくり》を理念とした会社経営をしています。 わが師である豊田先生は大正生まれの非常に厳しい方でしたが、同時に非常に温かみのある方でした。先生の話す内容は大変明解で、最も教えていただいたことは「家族を大事にして、仕事に人生をかけろ」ということ。その教えのおかげで、私はとても良い家庭を築けたと思っています。今度はそういう良い環境を、会社でも作っていこうとしているのです。 「強い会社」「楽しい会社」「優しい会社」をモットーとする我が社では、「涙を流して感動しよう」をテーマに、社員同士が家族のように団結できるイベントを企画しています。日本一高い富士山の登頂や、日本一の急流と言われる大歩危小歩危でのラフティングなど、過酷な挑戦を通して「強さ」と「団結心」を養い、互いに助け合う「優しさ」の必要性を学びます。そして、お互いに全力を出し切った後に「やれば出来る！」「やって良かった」と喜びあえる最高の「楽しさ」を味わえる。これが一致団結する良い社風づくりに繋がっています。 また先生は、「しっかり儲けて利益を出して、しっかり国に還元しなさい」と常におっしゃっていました。我が社では、しっかり税金も納めています。売上を増やすことや企業規模の拡大にだけを目標を置いているのではありません。お客様や協力会社と、お互いに理解し成長し合える“三方良し”の関係を築いて、お客様や社会のお役に立つ企業を目指しています。
今後はどのようなことを目標としていますか
液晶テレビなど家電の分野だけでなく、世界中の市場が劇的な変化を遂げようとしています。当社も、現状の仕事に甘んじることなく、2011年くらいまでの間に社員の人間力の育成に注力して、自社ブランドの開発など、エンドユーザーに直接訴えかける事業を生み出していきたいと考えています。 2006年4月、創立5周年の記念に、世界遺産の吉野・吉水神社にタイムカプセルを埋め、「人間の森よ広がれ」と刻んだ石碑を建立しました。中には社員やその家族、会社に縁のある方々の夢や目標を書いた手紙と、未来の自分たちへのメッセージを録画したDVDが入っています。2031年の会社創立30周年記念の際に掘り起こして開封することになっています。 タイムカプセルに手紙を入れた方の1人からが、「2031年、私は95歳になっている。おかげでそれまで生きなければならなくなった。良い目標をもらった。」と言ってお便りをくれました。 このような希望を与えることで、人間はそれを目標にして生きることができます。 会社としても、30周年の節目には、和気藹々として、自社ブランドを確立したオンリーワンの超優良企業になると宣言しています。そんなことあり得ないとみんなが思っているかも知れません。でも、目標はできるだけ高く、遠くに置いたほうが良いし、向かう方向性に間違いはありません。これからもヒューマンフォレストは、夢と希望に向かってチャレンジし続けます。