株式会社クラウディオ

株式会社クラウディオは、「テクノロジーにより、ビジネス拡大の基盤となるプラットフォームを提供する」ことを目的に、2019年に設立されたテクノロジーカンパニーである。具体的な事業の軸は三つ。その一つであり最大の売上を占めているのが、ITコンサルティングサービスだ。中でも、ERPコンサルティングを軸に顧客企業の経営効率化を支援している。

同社コンサルティングサービスの特徴といえるのが、「構想、企画といった上流工程」に支援領域を限定していないところだ。「構想からデリバリー、さらには運用・保守までフルラインアップ」でサービスを提供している。また、同社の中堅以上社員の多くは、ソフトウェア会社のコンサルティングチームに在籍していた経歴を持ち、ERPに関する豊富な知見と大企業をはじめとした広範なネットワークを有している点も、同社が顧客から選ばれる大きな理由になっている。

コンサルティングサービスによって経営基盤を強化し、そこから生まれた原資を活用して推進しているのが、二つ目の事業軸である自社開発ソフトウェアによる「デジタルサービス」だ。これには現在、『サステナブルサプライチェーンプラットフォーム』と新ERP製品(名称未定) の二つの製品ラインがある。

『サステナブルサプライチェーンプラットフォーム』とは、ESG経営を支援するプラットフォームだ。サプライチェーン全体における環境への配慮や法令遵守、公平・公正な取引等、社会的責任に対する企業の取り組みの評価・情報開示をサポートしてくれる。例えば、サプライチェーン全体から排出される、温室効果ガスの可視化。気候変動によって、企業が受ける影響を前提とした戦略立案のサポート。強制労働や児童労働といった自社のブランドを大きく毀損してしまう不正を防ぐため、サプライヤーや調達する部品・原材料の情報を改ざん不可能な状態で蓄積し、評価するサービス等を提供している。

このサービスは、2022年8月にリリースされ、既に第一号となる導入が進んでいるところだ。環境配慮等ESG経営は、今後、企業が必ず取り組んでいかなければならないテーマであり、市場拡大が約束された領域でもある。それを裏付けるかのように、『サステナブルサプライチェーンプラットフォーム』への問い合わせも増えているという。

一方、新ERP製品は、同社の起業理由である「中小企業支援」を目的にしたERPだ。
「世の中には、会計、人事、給与それぞれの業務を効率化してくれるソフトウェアは、沢山開発・販売されています。しかし、企業の現場では複数のソフトウェア間でデータを移行・共有するために二重入力、三重入力が行われているのが現実です。しかも、オプションが次々に追加され、不必要な機能にコストをかけていたり、機能が複雑で使いこなせなかったりしています。このような現状を変えるため、会計や人事、給与等企業経営の基盤となる業務全てを網羅し、かつ必要最低限の機能に絞った安価なERPをつくりたい――それを形にしようと開発を進めているのが、我々の新ERP製品です」（代表取締役・石川正明氏）。

同社が展開する三事業の最後の一つ「地方DX創生」は、チャレンジ色の強いものだ。日本では中小企業が全企業数の99.7%、従業員数の69.7%を占めているが、地方にある企業に限ると企業数99.9%、従業員数85.2%とさらにその割合が高まる。つまり、地方を創生するには、地方にある中小企業を活性化することが欠かせないといえる。その一つの方策として、同社は、「地方でIT産業を興すための支援」を行おうとしている。
現状、地方でITに関する知識を身に付けても、受け皿となるIT企業が育っていない。地方においてITは産業としての認知度も評価も低いため、人気も低く、人が集まりにくいという現実もある。
「そこで、地方にIT人材を育成する仕組みを整えると共に、卒業後、仕事をする受け皿をつくっていきたいと考えています。幸い、ITコンサルやエンジニアの仕事はリモートで対応できるので、地方にいながら働くことが可能です。5～6年経験を積んだ人材が、地元の中小企業のデジタル化をサポートするようになれば、地方におけるITの認知度や評価も高まっていくはずです」（石川氏）。

地方DX創生事業は、手探りの部分も多く、試行錯誤を繰り返しながら長期的に事業化の道を探っている段階だ。だが、千葉県内の中学校と連携して中学生向けの『Scratch』と『Python』の教材を作成したり、JFL所属のサッカーチーム選手を採用してITコンサルタントとして育成したり、経験を積める仕組みの構築を進める等、既に動き出している活動もある。

実は、まだ開発中である新ERP製品についても「使い勝手が良く、安価なERP」の“次のステップ”を既に見据えていると石川氏は語る。
「会計、人事、給与だけでなく、業態ごとに必要とされる独自機能を加味した『カテゴリープラットフォーム』をつくろうと構想しています。例えば、医療業界では、病床数の少ない小規模なクリニック向けに、レセプトや調剤だけでなく医療事務等、クリニック経営に必要な事務処理を全てサポートしてくれるプラットフォームです。そのほか、スポーツ&教育、食の領域でもプラットフォームを構築したいと考えています」

中小企業支援という目的に向かって、次々と新たなことへ挑戦していく――それが、同社の文化であり、前進するための原動力にもなっている。

同社が様々なことに挑戦できるのは、人材の力によるところが大きい。メンバーはソフトウェアベンダーやコンサルティングファーム、基幹システム開発企業、その他事業会社など業種、業態も様々な企業から集まっており、大手企業出身者も多い。多様な知見・専門技術を有する人材の集団であり、課題の抽出から解決策をロジカルに見出し、行動する力にも長けている。何より、目標に向かっていく熱意の高いメンバーが揃っているのが特徴だろう。
「そのため、これから仲間になる人にも、やりたいことを実現したいという熱意を持っていてほしいです。もう一つ条件を挙げるとすると、デジタルの力に可能性を感じている人であってほしいと思います。プログラムでもAIでもドローンでも何でもいいので、テクノロジーによって世の中が面白くなるのではないかと思える人は大歓迎です」（石川氏）。

同社は、設立から数年しか経っていないベンチャーであるため、大企業等と比べれば、社内制度が充実しているとは言い難い。しかし、社員をとても大事にする風土が根付いており、今まさに、評価制度や育成の仕組み、自己啓発支援の制度づくりに取り掛かっているところだ。
「前職で経験を積んできているせいか、メンバーは常識的で落ち着いた雰囲気をまとった人が多い。ベンチャーという言葉からイメージされがちな華やかさには欠けるかもしれませんが、能力と経験値の高い、自律しているメンバーから多くのことを学べる環境には自信があります。中小企業をデジタルで支援したいという当社の考えに共感し、やりたいことと熱意のある方は、ぜひ一度、その思いを話してください。お待ちしています」（石川氏）。