デイサービスの業務効率化・売上アップを実現するリハビリ支援ソフト『リハプラン』
寝たきりには至っていない要支援者・要介護者が、自宅から日帰りで通う介護施設「デイサービス」。株式会社Rehab for JAPANは、このデイサービスを行う事業所に対して、機能訓練業務を誰でも簡単・安心・効果的に行えるリハビリ支援ソフト『リハプラン』をSaaSモデルで提供している。サービス開始から約3年で10倍以上に成長し、累計導入事業所数1,000件を突破した(2021年12月時点で1,115件)。
介護度の重度化を防ぎ、自立した生活を送れるよう支援を行うデイサービスの事業所は全国に約4万3,000件。介護施設の中では圧倒的多数を占めている。ここに通う利用者は2020年に240万人を超え、2025年には280万人に増えることが予想されている。ところが、理学療法士・作業療法士等、リハビリ専門職が常駐する事業所の割合は、わずか1割。残りの9割の事業所は、介護士・看護士等“非”リハビリ専門職が日々奮闘しているのが現状だ。
そのために三つの大きな問題が生じている。第一に、介護度の重度化防止に繋がる「効果的なリハビリ」が提供できていないという問題。第二に、リハビリ計画策定に時間がかかるため現場の負担が減らないという問題。第三に、個別機能訓練加算まで手が回らず、売上を確保できないという問題。これら事業所の現場で起きている問題を解決するのが『リハプラン』だ。
『リハプラン』は、最新の高齢者データベースをもとに2,200種類、500セットの目標・運動プログラムから最適な計画・訓練を自動で提案。それまで非リハビリ専門職が30分かけていた業務を3分に短縮する。この同社の「リハビリメニューの自動提案技術」は特許を取得済みだ。その他の書類も『リハプラン』内にデータ入力・管理ができるので、非リハビリ専門職にとっては紙ベースの業務から解放されるというメリットも大きい。また、リハビリ専門職がいなくても個別機能訓練加算の算定をことで、ある事業所は『リハプラン』導入1カ月で数十万円の収益アップを実現している。
事業所の業務効率や売上の改善等によって、利用者への「効果的なリハビリ」の提供に繋がる『リハプラン』は、同社の約半数を占めるリハビリ専門職によって企画された。現場の業務や、リハビリの工程で必要とされるものを熟知しているからこそ、導入した事業所からの評価はとても高い。また、導入後の定着化を担うカスタマーサクセス部は、『リハプラン』に限らず非リハビリ専門職の様々な相談に対応。その声は同じCPOが管轄するプロダクト部にすぐ共有され、機能の改修・追加を通してサービスの向上に繋げている。
100万人分の高齢者データを集めてリハビリを科学し、エビデンスに基づいたリハビリ提案に繋げる
同社は、『リハプラン』、デイサービスのリハビリ業務支援を行うSaaSの先に、、重要な目的があるという。それは「リハビリを科学する」ためのデータを収集することだ。
リハビリの計画を立案するには、利用者の生活情報・家庭環境・心身機能・パーソナリティ・本人の意思等の生活に関するデータが必要になる。このような、ケアプランや通院データとは異なる“深い”情報はこれまでデジタルデータ化されず、紙ベースで事業所にストックされていた。『リハプラン』を活用すれば、リハビリ計画の立案を通して“深い”情報を解析可能なデジタルデータにできる。同社では既に約10万人・30万以上の計画書データを収集済みだ。今後さらにデータを蓄積し、数年で100万人分のデータ収集を目指している。この目標が達成されれば、どんな高齢者が何によって元気になるのか、その因子を(介護者の経験則によらずに)科学することも可能になるのだ。
同社がリハビリを科学することに力を入れる背景には、間もなく訪れる介護保険制度のパラダイムシフトがある。2024年には医療介護同時改定が行われ、そのタイミングで「自立支援・重度化防止の推進」と「科学的介護」というアウトカムベースの報酬体系に移行していく方針が打ち出されているのだ。つまり、利用者の状態を改善させた事業所に対して、より多く報酬が払われる結果至上主義へのシフトが予定されている。
その時に重要になってくるのが、同社のリハビリデータである。100万人分のデータが集まれば、介護度の重度化を防ぐための対策について、エビデンスに基づいたリハビリ提案が可能になるだろう。提案の対象は、現在デイサービスに通っている利用者に留まらない。様々な活動に意欲的で元気なアクティブシニア世代の介護予防、ひいては健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を延ばすことにも貢献するだろう。
なお、同社の目標は100万人だが、既にある10万人分でも世界に類を見ないボリュームだ。社会保障制度や保険制度には国によって異なるが、リハビリの工程やリハビリが必要な高齢者の生活様式は、国による構造上の違いはあまりない。ハードルを乗り越える方法が見つかれば、同社のデータプラットフォームを海外に輸出し、ヘルスケア・製薬の領域に役立てることも夢ではない。
この予測を現実のものにするために、同社にはまだまだたくさんの仲間が必要だ。では、同社が求める仲間とはどういう人物だろうか。
裁量が大きく、ボトムアップで提言できる環境で、大きな社会的課題を解決する
同社にジョインする上で不可欠な資質は、前述のような社会的課題に対する強い関心である。「自分達の手で日本の未来を作りたい」と考えられる人であることが必須条件だ。
言い換えれば、社会的課題を自分達の手で解決するという手応えを得る、まだ誰も成し遂げていないことを自分達の手で成し遂げるという達成感を味わえる、そんな未来が同社の仕事にはあるのだ。
同社は39名(2021年7月時点)とまだ小規模のため、一人ひとりには大きな裁量を委ねている。例えばカスタマーサクセス部のある社員は、LIFEと言われる科学的介護推進に関する加算のセミナーを発案した。その社員は、事業所とのコミュニケーションを通して、LIFE関連加算への理解が追い付いていないことに気付く。理解が深まればLIFE関連加算の算定が進み、事業所の売上アップに繋がる…そう思い立ち、会社に提案。プログラムを全て自ら企画し、セミナーを実施した。参加者からは高い評価を得たそうである。
また、裁量を委ねるだけではなく、一人ひとりのパフォーマンスを上げるためにこのように、ボトムアップで提言できる組織運営を心掛けている。経営会議の議事録はクラウドストレージやチーム用のワークスペースで管理し、全メンバーに共有。情報の非対称性をなくすことによって透明性を高め、上司/部下、あるいは部署間のコンフリクトを排除している。だからこそ一人ひとりが会社に埋没することなく、日々の仕事を通して「事業所のためになっている」と実感できる。それが同社のカルチャーと言えるだろう。
SaaSモデルでリハビリ支援ソフトを提供する。この大きな軸に変わりはないが、同社は『リハプラン』の機能をさらに強化、導入事業所をさらに増やしていく。また、デイサービスにとどまらず、様々な介護施設への展開を進めていく計画もある。事業の幅がさらに広がる同社では、事業責任者として活躍できるチャンスもある。
2040年まで世界トップの高齢化率が続く日本では、「高齢者の生活とどのように向き合うのか」は大きな社会的課題となっている。そしてその動向を世界が注視している。これから同社のプレゼンスはさらに高まっていくだろう。