株式会社アンシェル

株式会社アンシェルは、FA（ファクトリーオートメーション）や、物流システム自動化の設計・開発を行う企業である。同社のクライアントは、鉄鋼や石油、化学、繊維、食品メーカー、物流のアウトソーシングを行う3PL（サードパーティロジスティクス）まで多岐にわたる。

FAは、工場の自動化を図るシステムだ。例えば、「H形鋼」という重量鉄骨がある。高層ビルの柱や梁等に使われるこの「H形鋼」は、素材となる鉄を高熱で溶かし、「H」の形になるように圧力をかけてローラーで均一の厚さに整える、という工程で製造される。この時、産業用ロボットや機械に「どのくらいの圧力をかけるか」「どの位置で切断するか」等の指示を出し、自動で製造できるようにするのが、FAシステムだ。物流システムの自動化も基本的には同じである。商品を梱包するための機械やロボット、コンベヤーに指示を出し、無人で商品を運べる流れを構築する。

同社を立ち上げた代表の坂本哲志氏は、この分野で30年以上の経験を持つスペシャリストだ。社員は23名と少数精鋭ながら、技術力の高さには定評があり、全国の製造業、物流業からの依頼が絶えない。製造業の中には、少子化や労働人口の減少を背景にDX化を目指すメーカーは多い。また、物流業は今伸び盛りで、EC市場等の拡大に伴ってあちこちに大型倉庫がつくられている。誰もが聞いたことのある大手企業も、同社のクライアントに名を連ねている。

このように、FAや物流システムの自動化へのニーズは高まっているが、設計・開発ができる企業は少なく、競合はほとんどいないという。そのため、中小企業ならではのフットワークの軽さと、確かな技術力を持つ同社への依頼が増え続けているそうだ。

坂本氏に、FAや物流システムを手掛けるやりがいを聞くと、「自分が組んだプログラムで、機械やロボットを動かすのはすごく面白いですよ」と語ってくれた。設計やプログラミングの作業は会社や在宅で行うが、納品の時は必ずクライアント先の工場や倉庫へ出向くという。
ヘルメットや安全靴を身に着けて現場に入り、ラインがきちんと動くか、組み立てや梱包はできるか、トラブルが出ないかを確かめ、調整していくのだそうだ。北海道から九州まで、全国にクライアントがいるため出張になるが、現地の特産品やご当地グルメを楽しみにしている社員も多いとのこと。

一般的なエンジニアのイメージとはちょっと違うが、そこに魅力を感じる方も多いのではないだろうか。パソコンの前に座っているだけではなく、色々な場所に行き、人と関わりながら仕事をしたいエンジニアにぴったりの環境だろう。

FAや物流システムを専門にしている企業は少ないため、「経験のあるエンジニアはほとんどいないと思います」と坂本氏。とはいえ、プログラムを組んで動かすという工程はどんなシステムも同じだ。
「業界経験がなくても、エンジニア経験があれば歓迎します」（坂本氏）。
慣れるまでは、クライアントとの打ち合わせから先輩社員と一緒に入ってもらって、徐々に仕事の流れを覚えてもらえるようにしたい、とのことだった。

同社の案件は全て直請け。クライアントと顔を合わせて、直にやり取りできることも魅力である。顧客に深く入り込んで仕事をしたい方、上流から下流まで一貫してつくりたいと考えているエンジニアにはやりがいのある環境だろう。
また、工場や物流の現場で動かすシステムのため、PLCと呼ばれる制御装置も扱うという。こちらもパソコンと同じように、中にプログラムを埋め込んで操作するが、入社してから覚えれば大丈夫とのこと。一般的に、業務系と制御系のエンジニアは分かれていることが多いが、同社でならどちらにも対応できるエンジニアになれる。そうなれば、クライアントへの提案の幅も広げることができる。

クラウドやアプリ開発のように不特定多数の人に向けたシステムではなく、特定のクライアントに向けたオーダーメードのシステムを手掛けられることもポイントだ。自分がつくったシステムが実際に使われる様子が見られたり、「便利になった」「使いやすいね」という声をクライアントから直接聞けたりする喜びは、FAに携わるエンジニアならではのものである。

坂本氏に、今後の展望を聞くと、「現在、社員は23名ですが、ゆくゆくは200人体制にすることが目標です」という答えが返ってきた。ただ、技術の質は絶対に落としたくないため、無理をしてまで拡大するつもりはないという。長年フリーランスとしてやってきた坂本氏らしい考えだ。納期をしっかり守り、高い品質で納品するという徹底した姿勢がお客様に評価され、コツコツ信頼と実績を積み重ねてきた経緯がある。

「品質は落としたくないので、すぐに200人体制というのは難しいかもしれません。ただ、物流業界はこれからさらに伸びていく分野なので、その波に乗って、ある程度は規模を大きくしたいと思っています」と、坂本氏。
これからの成長にも期待できる環境で、力を発揮できる面白さがありそうだ。

設立から10年以上になる同社。取材を進めていて驚いたのは、中心となって活躍している社員のほとんどが、新卒から採用して一から育て上げたメンバーであるということだ。やみくもな採用はせず、育成にしっかり力を注いできたという。同社の誠実な経営方針と、確かな育成力を実感した。

また、社内に流れている空気がとても穏やかなことにも魅力を感じた。「経営の仕事よりもシステムをつくっている方が好き」という坂本氏の気さくな人柄が表れているのだろう。坂本氏も社員と同じフロアで仕事をしている。
「社員からは、“社長はあんまり来ないでくれ”って言われますけど、現場に行くのが好きなので、付いて行くこともあります。今度、北海道に出張する予定の社員がいるので、一緒に行かせてくれって交渉中なんです」と、坂本氏は笑顔で語ってくれた。社長と社員の距離の近さ、少人数ならではの温かい雰囲気を感じた。

仕事の進め方や時間の使い方も、上から押し付けられることはなく、社員一人ひとりに任されている。納品の際はクライアント先に出向くが、普段の作業は、会社でやっても、自宅でやってもOK。働く時間も縛られていない。納期が迫って忙しくなれば残業が発生することもあるが、余裕のある時は、定時になる前に帰る社員も多いそう。もちろん、早く帰っても給与が減ることはないし、残業代はきっちりと支払われる。
「小さい会社なので、みんなの状況はよく見えます。やるべき仕事さえきちんとやってくれれば、勤務時間は気にしません。逆に、自分のペースで仕事を調整してもらえる方がいいと思っていますし、そういう働き方を推奨しています」（坂本氏）。

元々、昨今のコロナ禍の前から、オンラインミーティング等を積極的に行ってきたという同社。社員の働きやすい環境づくりにも力を入れていて、お弁当代の半額負担制度やフリードリンク（コーヒーや紅茶）のコーナーもある。コロナ前は社員旅行もあり、費用は全額会社負担でスキーや温泉を楽しんでいたという。

最後に、応募者に伝えておきたいメッセージを聞いた。「少人数の会社なので、一人ひとりの頑張りが会社の成長にダイレクトに繋がります。だからこそ、頑張ってくれた分はボーナスできちんと還元していくつもりです。仕事は増えていますし、しっかり稼げる環境だと思いますので、一緒に頑張っていきましょう」（坂本氏）。
しっかり評価してもらえる環境の下、希少価値のあるエンジニアとして成長したい方に、是非応募を勧めたい。