ベストスキップ株式会社

ベストスキップ株式会社は、エンジニア稼働数200名ほどの規模だが、創業以来、年平均30%という高い成長率を維持。2021年度は、売上高約10億円から15億円と前年比50％増の急成長を遂げた企業である。
この躍進を支えている事業は大きく三つ。その一つがシステムインテグレーション事業だ。受注案件は、日立製作所やNTTデータといった大手SIreの一次請けが8割を占める一方、エンドーユーザに直接コンサル提案をして受注している案件もある。
「お客様に評価、期待いただいている点の一つは、技術力の高さです。社員一人ひとりに持ち味があり、多様な要望に応えることができます。この技術力をバックボーンに、お客様の漠然としたニーズから本質的な課題を明らかにし、最適なDXを実現するための提案も評価いただいています。また、社員の多くがPM、PL経験者なので、上流工程から任せていただく案件が多いことも特徴です」（代表取締役　高松光氏）
案件の内容も多様だ。最新のアーキテクチャを採用したインターネットバンキングシステムの開発やインバウンド向け保険商品プラットフォーム開発、製造業を対象としたIoT/BIを活用した開発、スマートデバイス向け健康管理アプリのほか、電力会社向け業務システムや鉄道会社向け座席予約システム、官公庁向け業務システム等、公共性の高い開発案件にも実績がある。
「最新のアーキテクチャであるSPA（Single Page Application）や、クラウド、ハイブリッドアプリ等、新しい技術分野の案件も多く手掛けています。珍しいところでは、EPUBといったオープンフォーマットを活用したデジタル教科書の開発実績で、現在全国の小中学校に導入されています。学校や自治体、電力・鉄道といった公共インフラを支える業務システム開発やアプリ開発も行っているので、お客様への貢献だけでなく、社会貢献も実感できる環境があります」（高松氏）。

ベストスキップは、受託開発だけでなく、自社サービス・プロダクト開発も行っている。その一つが、中国の高齢者福祉施設向け統合管理システム事業である。既に、中国全土で200施設以上に導入されており、高い満足度を獲得しているという。
「日本のきめ細やかな高齢者福祉施設向けのシステムを中国の介護制度に合致するように開発した統合管理システムです。経営状況を定量的に判断するために必要な統計データ管理から定常業務管理、ケアサービス管理、職員向けアプリ、家族向けアプリ等、施設運営に必要な機能を高いレベルで網羅しているところが、お客様の評価に繋がっています」（高松氏）。
中国も日本同様、急速な高齢化が社会問題となっており、今後も高齢者福祉施設向けサービスの需要は伸びていくことが予想される。その分、競争も激しくなっていくだろう。この市場環境において競争優位性を勝ち取っていくため、新たな機能やサービスの拡充に余念がない。その一つとして4年かけて独自開発したのが、2020年にリリースしたUWB（超広帯域無線）通信方式を利用した高精度位置情報システム『BestSkip RTLS』である。
『BestSkip RTLS』最大の特徴は、測定誤差が10～30cmとビーコンによる位置情報システムよりも小さいことだ。
「高齢者施設では、認知症の方がスタッフに気付かれることなく施設の外へ出てしまい、事故等に遭うことが問題視されています。そのような事態を防ぐために開発したのが『BestSkip RTLS』でした。ただ、人や物の位置を高精度でリアルタイムに把握できる機能は、高齢者福祉施設以外にも様々な用途が考えられます。日本で展開する為に、日本の規格に合わせてカスタマイズをして製品発表したところ、工場やスーパーマーケット、調剤薬局、警備会社といった大手企業から問い合わせを頂き、本格的な導入に向けてPOCを実施しています。」（高松氏）。

小売店であれば、買い物かごに移動機（タグ）を取り付けることで、来店客の導線だけでなく、どの売り場や棚の前にどのくらいの時間滞留したのか把握でき、そのデータをマーケティングに活用できる。
「現在は、高齢者福祉施設向けのサービスだけですが、IoT等を取り入れながら『BestSkip RTLS』の特徴や強みを活かせるソリューションをつくり出し、日本や中国で拡販を進めていきます。日本や中国のみならず、目指すは世界展開です！」（高松氏）。

ベストスキップは、受託開発と自社サービス・プロダクト開発の両輪で事業を展開している。そのため、高松氏は「今後の事業成長を実現するため、3種類の人材を増やしていきたい」と語る。
「まずは、ゼロからイチにできる人材です。蓄積してきた技術力を活用して新たなビジネスの提案や受注に繋げられる人ですね。二つ目が、1を100に成長させられる人材、既存のビジネスを淡々とこなし、お客様の評価を勝ち得ることのできる人も、経営の安定化を考える上で欠かせません。そして、三つ目が技術のスペシャリスト。当社の優位性である技術力の底上げのため、『技術のことなら何でも聞いてくれ』と知見の共有に前向きで、かつ自身の技術力の向上にも貪欲な人がいいですね」

取引先からも「社員数を増やしてもらえれば、依頼できる案件を増やすことができる」といった話をされるため、採用に対する気持ちは強く、積極的かつとても柔軟だ。社員に対しては、本人が納得して満足できる報酬を支払うのが、ベストスキップ流だ。よって、在籍する社員の満足度は非常に高い。
「私自身は、そこまでお金持ちになりたいとは思っていません。だから、利益が出れば、社員にしっかり還元していますし、事業成長を見据えた投資も積極的に行っています。例えば、UWB位置情報システムを活用したソリューション開発のためだけに、2021年度だけで7,000万円を投資しています」（高松氏）。
このような考えが浸透しているため、社内の雰囲気は自由度が高く外資系に近い。社員それぞれが自分の仕事に責任を持ち、自己成長に余念がなく、成果をしっかり見据えながら日々の仕事に工夫を凝らしていく。自立した社員が多いこともあり、裁量を持たせて仕事を社員に任せる風土もある。

「キャリアアップや自己成長、収入のアップに価値を置いている人であれば、やりがいのある仕事を提供する自信があります。メーカーの研究開発や技術検証といった依頼も多く上流工程から経験を積むこともできるし、能力次第ではあるが、プロダクトの企画フェーズから参画することも可能。この環境に魅力を感じ、何か一つでもいいので、自分なりの強みを持って挑戦できる人を待っています」（高松氏）。

社内の雰囲気は外資系に近い。自立した社員が多いこともあり、裁量を持たせて仕事を社員に任せる風土もある。

活気のある企業であり、キャリアップや自己成長、収入増に意欲的な人材が、実力を発揮しやすい環境があるのも特長だ。