オープンソースカスタマイズからフルスクラッチまで、15年蓄積したノウハウでソリューションに導くシステム開発が強み
株式会社イーツー・インフォは、「ECサイト」と「求人サイト」を主軸に、Webシステム全般の開発・運用を手掛けている、横浜が本拠地の企業だ。
設立当初はパッケージでは満たせない機能要件を、オープンソースツールを利用することでコストを抑えつつもクライアントの課題を解決するプロジェクトを手がけてきた。
クラウドサービスが主流となっている現在では各クラウドサービスと自社サイトの連携など、業務効率化を目的とした自動化の案件依頼が急増している。
中でもECサイトは、『EC CUBE』『CS-Cart』公認インテグレートパートナーとして、求人サイトは人材ビジネス向け管理システム『HR-Business Cloud』の開発パートナーとして、数々の実績がある。
「これら二つの領域に集中的に取り組むことで、専門ノウハウを蓄積しています」と代表取締役の原江里子氏は言う。ECにおけるマーケティング、求人サイトにおけるコンテンツ企画等、同社がカバーしていない領域は、専門パートナーを紹介する形でワンストップで対応している。
それ以外のWebシステム全般の受託開発を含め、案件は100%持ち帰りで行っている。
さらに、ほぼ全てのクライアントと直取引をしているため、最上流の企画・設計段階から運用までトータルに手掛ける案件が多いのも特徴だ。
「創業当初から、SES等を行わずこの方針を貫いてきました。SESでは、自分の考える組織づくりが出来ないと考えるからです。しかし、当初は全く簡単なことではありませんでした。獲得したお客様のサイトの運用までをとにかく丁寧に行い、コツコツ信頼関係を築くことで、紹介を軸に広げていくことができたと思います」(原氏)
さらに、同社の特色は社員数20名という規模でありながら「品質管理部」を設けていることだ。プロのエンジニアやデザイナーの目線だけでなく、エンドユーザーの目線で広範なデバイスを用いて使い勝手をチェックし、クオリティを追求している。こうした姿勢が、クライアントから高く評価されているのだ。
現在アクティブなクライアントは70社程。大人気アイスキャンディー『ガリガリ君』の公式ファンクラブサイト『ガリガリ部』(赤城乳業株式会社)や、横浜市経済局の『はまリンク』『企業誘致ガイド』等、硬軟多彩な顔触れである。
今後は、自社独自サービスの開発にもチャレンジする構えだ。
「これまでと全く違うフィールドに打って出るのではなく、既存の領域の付加価値をさらに高めるシナジーを発揮する方向でチャレンジしていきます」と原氏は説明する。
ミッションステートメントは ITと人の力で「いい明日へ通じることを」
同社の創業は2005年10月。保険会社のシステム部に在籍していた創業者が、会社のM&Aを機に独立を決意。原氏ら2名の同僚を誘って設立した。当初は、海外のチャットシステムを国内に広めることを目的にスタートしたが、「時代に早過ぎてあまり売れなかった」と原氏。そこで、受託開発にシフトする。但し、前述のとおりSESや客先常駐の道は選ばず、100%自社持ち帰り開発にこだわった。「当初の苦労が、今日に生きています」と原氏は話す。2014年に原氏が2代目の社長に就任し、以降、順調に成長を続けてきた。
そして同社は、2020年10月に創業15周年を迎える。これを機に、企業理念やビジョンを一新した。
企業理念は
ITの力で幸せを形づくる。
- お客様と、その先にいる方の幸せ
- 仲間の幸せ
- 私たちが暮らす街・横浜の幸せ
だ。そこに込めた思いを、原氏は次のように話す。
「クライアントであるお客様だけでなく、そのお客様であるエンドユーザーの顔も想像し、ご要望に最もフィットする形を模索してご提案することが、私達の仕事です。このことが自分達仲間の幸せに、ひいては地元への貢献に繋がると思います。当たり前の事のように思われるかもしれませんが、忙しい日々の中でつい忘れがちになることも。ですから、常に私達は何のために仕事をしているのかを思い起こせるよう、この言葉を理念として掲げました」
クライアントのオーダーとシステムベンダーの提供するものがマッチしなくても、クライアントはそれに気づかないままそのままプロジェクトを進めてしまい、結果的に課題が解決できなかったなどの理由で同社に相談してくる企業が少なくないという。
「当社では、自分達が知りうる限りの知見や技術でお客様に的確なアドバイスをすることをモットーにしています。リクエストとマッチしていない場合、もっと他に良いサービスがある場合は他サービスも含めてご説明します」と原氏。
「いい明日へ通じることを」というミッションステートメントも掲げ、コーポレートサイトのトップページに記載している。この“いい”“通じる”に社名の“イーツー”を隠した工夫があるのだとか。
「外部のコンサルタントも加え、全社員で何度かのワークショップを開いてみんなで決めました。とてもポジティブで大事にしていきたい言葉です。」(原氏)
そして、同社は2025年までに社員数50名・売上高7億円という目標を掲げ、16年目を踏み出す。
「今までの受託開発サービスを大切にしながら自社プロダクトにチャレンジし、2本柱にしたいと思っています。そのためにも、社員数50名規模は必要です。是非、力を貸してください!」と原氏は呼びかける。
新しい技術に積極的に取り組み、楽しく働けるカルチャー
同社では、次の「5つのスタンス」を風土づくりの基軸として共有している。
・たのしみ尽くす。
・1ビットでも知識を増やす。
・誠実にこたえる。
・自由が自由であり続けるために。
・半歩先を想像する。
「例えば『たのしみ尽くす』は、働くことがしんどいと感じる人もいるでしょうが、仕事時間は人生の中で最多です。せっかく働くなら、楽しく働きたいですよね。この“楽しい”は“楽をする”ということではなく、どんな仕事も自分なりの視点で楽しみを見出し、とことん楽しみ尽くそうというスタンスを指しています」と原氏。
また、「1ビットでも知識を増やす」ということに関しては、“1プロジェクト1チャレンジ”という、新しい技術に積極的に取り組もうというカルチャーや、テーマを設けて実際に開発しながら学ぶ“テックチャレンジ”、メンバーの親睦を兼ねた勉強会の“ランチMTG”等の具体的な施策で促進している。この「五つのスタンス」を評価指標に組み込んだ人事考課制度を構築中であり、その推進はさらに強化されることになる。
そして、エンジニア出身の原氏はエンジニアが働きやすい環境づくりにも力を入れている。エンジニアの声を集めて、PC周辺機器は予算内で各自が自由に選択できるようにしたり、リモートワークも理由に応じて許可している。
「一番大きい要望は、エンジニアが手掛けたい技術やツールを手掛けられるようにするということです。当社は規模が大きくないので、一人のエンジニアがフロントエンドやバックエンド、インフラまでフルスタック的に手掛けられる環境があります。いずれも、本人の希望や志向を重視して取り組めるようにしています」と、COO兼CTOの金子智広氏は言う。
同社のメンバーは20名(2020年6月現在)。男女半々で、ママ社員も少なくない。したがって、夜の飲み会はほとんど行われていない一方、毎週「ランチMTG」を開催してコミュニケーションを深めるという工夫も見られる。
「持ち回りで技術のこと等を発表してもらい、全員で共有する勉強会も兼ねています。プレゼンテーションの練習にもなっています」と金子氏。また、子供帯同OKの社員旅行にも出かけており、家族ぐるみのコミュニケーションも図っている。
そんな同社が求める人材像は、自ら考え行動できる人、新しい挑戦を楽しめる人、モノづくりの品質を大切にする人だ。
「そして、常にお客様に、仲間に、そして会社に求められていることを意識して取り組める人です。アクセスをお待ちしています!」と原氏は期待を寄せる。
横浜への地域貢献
同社は2014年から市内の小学生向けに春休み、夏休みなどを利用して、プログラミング教室を開催している。
「エンジニアが不足するなか、さらにはITの人材がより必要となるこの時代で、未来の子供たちに少しでもITに興味を持ってほしい」という思いからこの地域貢献活動を始めた。
教える側の社員も、この活動に携わることによって、子供たちから多くの刺激やヒントをもらえるのだと言う。
「もっと横浜でのネットワークを作って、横浜のクライアントやIT企業と組んで新しい地域貢献にもチャレンジしていきたい」と原氏は語る。