Web制作会社でも広告代理店でもない。新しい形のデジタルエージェントを目指して。
「フレキシブルに、顧客のベネフィットに直結するビジネスを、より現場に近いところから提供していきたい」
そのような思いで、大手広告代理店グループのマネジメントクラスが中心となって2016年1月に創業したアルビド・ジャパン株式会社。
2016年10月には東京・神保町に新オフィスを設立。さらに業務拡大のため、2019年3月にオフィス移転をし、今も拡大を続けている。
提供するサービスは、リサーチから企画、システム構築、クリエイティブの開発まで幅広い。全てに一貫しているのは、デジタルを中心としたソリューションで、クライアントの課題解決のために取り組むという理念だ。
「我々は社内外に信頼のおける制作チームを持っており、プランニングから開発、構築までをワンストップで完結できます。ウェブサイトの制作、デジタルムービーの撮影・編集、ソーシャルネットワークを活用した企画やAIなどの最新技術を使った提案も手掛けています。
一方で、必要であればパートナー企業と組んで代理店的な動きもします。プロダクションとエージェンシーの両方の機能を持つデジタルエージェンシーというのが、我々の特徴です」
(取締役CDO・茂木洋氏)
ボードメンバーはこれまでデジタル畑で制作やマーケティング領域の経験を積んでいるため、アルビド・ジャパンのビジネスもその延長線上にあるという。
「Webサイトやデジタル施策を企画設計したり、開発したりするのがメインの事業なのですが、ただ『言われたことを確実にやります』みたいな、いわゆる普通のWeb制作会社にはなりたくないと思っています。
色々トライできる関係性をお客様と一緒につくっていけるようになりたい。だから、あまり自分たちのことを『Web制作会社です』とは名乗っていないんです。」
(代表取締役CEO 齋藤建氏)
齋藤 建氏
プロジェクトマネジメントでクライアントの施策実行をサポート
会社規模は2020年2月時点で若干20名程と決して多くはないため、企画制作や開発のすべてを内製で完結させることは難しい。内製にこだわらず、各案件に最適な外部パートナーを選出し、チームを組んで進行していくというプロジェクトマネジメントこそが同社の強みだ。
デジタルマーケティングの領域が複雑化する中、最近ではスマホやSNS、アドテクノロジー、AIを活用したマーケティングも台頭してくるなど技術革新のスピードは非常に早い。
既存のデジタル領域のプレイヤーも、コンサルティングファーム・広告代理店・SIerと、Web制作会社以外にも多様化する一方、分業化が進んだことで、各施策のハブとなって実行までを担えるプレイヤーは少なくなってしまった。
「各プレイヤーの真ん中に位置する存在が居ないことが、お客様のフラストレーションにつながっていることは以前から課題だと感じていました。僕らは、デジタルビジネスに関わるあらゆるプレイヤーを「つなぎ」、施策実行をサポートするポジションで、アウトプットに責任を持つチームでありたい。
特にプロジェクトにおいて"実行していく"ことから逃げてはいけないし、『相談してくれるお客様が何に困っていて、どうすれば解決するか』というのをシンプルに一生懸命考えていきたい。
僕らが提供できる解決手法はデジタルですが、全ての課題がデジタルだけで解決するとは思っていないので、そこは別のところと組んで解決策を考えていく。それをお客様と一緒に考えられる、本当の意味での"パートナー"になりたいと思っています。」
(齋藤氏)
茂木 洋氏
クライアントビジネスの観点から考え抜いたUI/UXを提案する
もう一つ、同社が強みを発揮している分野がある。それがUI/UXの開発だ。
通常、デザイナーであれば"カッコいいものをつくりたい"という気持ちが先行してしまいがちだが、同社のデザインはあくまでもビジネスにおける情報設計。クライアントのビジネスをどうスケールさせるかという観点を最も重要視している。
「僕らが開発するクリエイティブは一見地味なんですけど、ビジネスにはすごく影響力がある。『ここにこんな情報を入れた方がいい』『こんな見せ方をした方がユーザーにとってわかりやすい』ということをまじめに考えている点が特徴だと思います。
そのために、クリエイターにもお客様の期待値や予算、目指すべきリードやCVなどのKPIも全て共有しています。自分たちがつくったものにどんな効果があり、お客様のビジネスがどうスケールしたか、手応えがダイレクトにわかる。結果を見ながらPDCAを回していけることが僕らの強みであり、仕事の醍醐味だと思っています。」
(CDO 茂木洋氏)
同社の平均年齢は約32歳。20代社員の多くは若手のクリエイターだ。
インパクトのあるスポットのキャンペーンやキャッチーなプロモーションに携わるのも刺激的だが、そのような華やかさよりも、『どうしたらお客様のビジネスをより多くのユーザーに知ってもらい、使ってもらえるか』を誠実に考えることでビジネスの視点からデザインを考える力が培われていく。若手クリエイターにとって、同社はそんな鍛錬の場になっていると感じた。
「アルビドってもともと"天体の外部からの入射光に対する、反射光の比率"という意味なんですけど、自然化学の領域の話で値は常に変化しているみたいなんです。僕らもそんな風に変化し続ける組織でありたいし、クライアントからの要望という光を、よりエッジの効いた解答(ソリューション)として返していきたいと考えています。」
(齋藤氏)
若手が切磋琢磨しながら働いている。
目指すは"エージェンシー(代理店)"ではなく、明確な個を持つ"エージェント(代理人)"
大手代理店出身者がスピンアウトして作られた会社とはいえ、ベンチャー企業の風土は色濃い。
「僕らって結局、自分たちだけでは何も完結できないんですよ。現状社員は22人しかいないしすべての分野のスペシャリストが揃っているわけではない。お客様のデジタル上の課題は広いし、いろんな人、組織の力を借りないと解決できないことも多い。そういった意味では僕らは制作会社であり、代理店でもある。既存の概念にとらわれることなく、組織をまたいだ柔軟なチームでお客様の課題解決をしていきたい。」
(茂木氏)
「僕らはプロジェクトマネジメントをやる以上は、プロとして最後まで責任を持たないといけないし、結局は”ヒト”で成り立つ仕事をしていると考えています。そういった意味で単なる"エージェンシー(代理店)"ではなく、明確な個を持つ"エージェント(代理人)"の集団を目指しています。
シンプルに言うと、例えばお客様と同じ目線でビジネスを考えられるプロジェクトマネージャーが一人いるだけで、うまくいくプロジェクトが増える。僕らはそういった組織を会社単位で実現できればいいなと考えています。」
(齋藤氏)