株式会社キュービスト

株式会社キュービストは、「ゲームの楽しさを伝える」を理念に書籍、イラスト、Web、販促グッズなどゲームに関するコンテンツを総合的に手がける会社だ。少し前までは、キュービストといえば攻略本など書籍の制作会社として、業界内で名の知れた存在だった。ゲームの黎明期だった1995年に創業して以来、数々の著名タイトルの攻略本やファンブックなどを手がけ、その制作実績は400点以上に上る。タッグを組む会社もKADOKAWA、コーエー、スクウェア・エニックス、バンダイナムコエンターテインメントなど、業界を代表する会社ばかり。まさにゲーム業界の発展を、書籍という面からがっちりと支えてきた存在だ。

そのキュービストが近年、書籍から総合コンテンツ産業への飛躍を遂げている。プラットフォームやデバイスの進化をはじめ、ゲームを巡る環境が目覚しく変化している中で、「ゲームの楽しさを伝える」手法も当然、多様化する。その変化にしなやかに対応し、従来の紙の書籍やマニュアル、各種販促物制作における強みはそのままに、Web制作やイラスト制作、各種システム開発、動画制作と、主にデジタル領域のサービスラインアップを大幅に拡充しているのだ。ゲームメーカー各社にとってキュービストは、ゲームのファンを拡大し、ゲームを売るために全方位的にサポートしてくれるパートナーとして、その存在感はますます高まっている。

そんなキュービストは、2015年1月に大きな経営上の決断をした。ゲームデバッグ最大手の東証一部上場企業、ポールトゥウィン株式会社の傘下に入ったのだ。ポールトゥウィンはゲームのデバッグから発展し、今や検証対象を様々なソフトウェアやシステム全般に広げている。同時にゲーム領域では、デバッグだけではなく、ローカライズやユーザーサポートなどゲーム業界のBPO事業者として事業を拡大している。キュービストと組むことで、ワンストップのフルサービスが可能になると共に、キュービストにとっても、経営の安定とビジネスチャンスの拡大をもたらすWin—Winの関係を築いた。大きな後ろ盾とより強固なゲーム業界でのネットワークを得て、新生キュービストはますますの飛躍を目指している。

同社は1995年、代表取締役の原口 明彦 氏が立ち上げた。原口氏は大学卒業後、中堅出版社に入社。途中で印刷会社に出向した時期をはさみ、出版物の企画、編集、営業に加えて印刷のプロセスや営業まで、いわば出版界の風上から風下までの仕事を広く経験した人物だ。その経験が起業後、企画から流通まで、出版にまつわる全てをワンストップで手がけるキュービストの強みにもつながった。

原口氏自身もゲームが好きで、ゲームユーザーに「ゲームの楽しさ」をよりわかりやすく伝えたいという強い思いから、キュービストを創業した。1995年11月に『ヨッシーアイランドTHE BEST』を中央公論社（現、中央公論新社）から発売。以降、数々のタイトルの攻略本や公式ガイドブックを手がけてきた。

今も気さくに社員とゲームの話や事業の話をするという原口氏。そんな原口氏を核に、ゲームが好きで、ゲームに関する仕事に携わりたいというメンバーが集まって、キュービストは今の姿に成長してきた。「役職や職種を問わず意見を交わせる職場」と評すのは、書籍もWebも含めて、同社のコンテンツ制作の全てを統括する立場にある制作部部長の斉藤氏だ。
「入った当初は書籍とマニュアルの会社でしたが、ゲーム業界の流れのなかでイラストをやろう、販促物をやろう、Webをやろうと自由に意見を言い合い、スピード感を持って実現してきました。社員と役員の距離も近く、意見を伝えやすい社風であると思います」（斉藤氏）。

斉藤氏は、社員がまだ20人程の頃に第二新卒で入社し、会社の成長と共に自身の活躍の場を広げ、現在のポジションに就いた。意欲に溢れたメンバーが伸び伸びと活躍する社風を象徴する人物だ。そのフラットでチャレンジを推奨する社風が、変化の激しいゲーム業界において、同社が出版や紙の世界だけに限らず、次々と領域を広げて、発展してきた勝因だろう。

現在の体制は、制作部の中に攻略本や設定集など書籍制作を手がける制作課、カードイラストやキャラクターデザインを手がけるイラスト課、そしてデジタル全般を手がけるプロモーションコンテンツ課の3課体制だ。ゲームを熟知し、紙の時代から脈々と培ってきたノウハウが、デジタル化へ向かう今の体制に引き継がれている。今後は特に、このデジタル領域を扱うプロモーションコンテンツ課を大きく育てていく考えだ。

紙からデジタル全般へと、現在、キュービストは大きく舵を切る。「キュービストと組むとゲームが売れる」というブランディングを推し進める考えだ。かつて攻略本やファンブックでゲームのファンを増やし、ファンがよりゲームの世界にコミットする状況を作り上げて来た同社。今度はそれを、デジタルの世界で実現する。

同社の強みは、何といっても、紙の時代から培ってきたゲームの世界への理解と深い造詣だ。加えて企画から制作、構築、運用までをワンストップで手がける充実した体制とノウハウも。「ゲームを理解していない会社がコンテンツを作ると、「何かが違う」と感じるものができるのです。Webサイトにしても販促物にしても、色や形だけでデザインしてしまい、フォーカスする場面やキャラクターなどが的を射ていないのです」。こう話すのは、プロモーションコンテンツ課のチーフディレクター、菊地氏だ。

その点、同社は、ゲームメーカーと二人三脚でゲームの世界観をも創ることができる。さらに紙、Web、スマートフォン、玩具などのプロモーションと、メディアミックスした様々な展開にも高いレベルでの対応が可能だ。また、親会社となったポールトゥウィンは海外事業にも強い。そのノウハウやリソースを活用して、いずれ海外のファンに向けてゲームの楽しさを伝えるようなコンテンツも手がけていきたい考えだ。

そんなキュービストは、ゲームメーカー各社からの信頼も厚い。数々のヒットタイトルに関する案件が、次々と舞い込む。「自分が手がけたものの反応が、掲示板で盛り上がるなどリアルにわかる。社会に影響があると感じます。それは、BtoBのシステム開発会社などでは味わえない大きなやりがいですね」。こう話すのは、12年前にアルバイトで入社し、今ではプロモーションコンテンツ課のマネージャーとして活躍する田中氏だ。斉藤氏は「やはり自分の好きなタイトルに携われると嬉しいですね。有名なゲームプロデューサーの方や絵師さん、漫画家さんなどとも一緒に仕事ができますからね」と、ゲームファンならではの純粋な楽しさも口にする。

会社全体が新たな方向に向けて走り出そうとしている今、ゲームが好きで、様々なことに意欲的にチャレンジできる人材を求めている。ゲームファンには嬉しいこんな福利厚生も。社内には、最新のゲームや漫画、画集を集めた資料庫がある。また、上限はあるが、ゲーム関連などの私物購入費用を半額補助する制度など、ゲーム好きには嬉しい福利厚生もある。社内は、普段は黙々と仕事に励む雰囲気だが、みんながゲーム好きとあって、ちょっとした息抜きの時間などにゲームの話で和やかに盛り上がる。そんな魅力的な社風と、魅力的でチャレンジングな仕事が待っている会社だ。