エンカレッジ・テクノロジ株式会社

エンカレッジ・テクノロジ株式会社は、日本国内において証跡監査ソフト市場を切り開いてきた草分け的企業であり、現在もシェア1位を維持し続けているパッケージソフトウェアベンダである。

2002年の創業からしばらくした頃、日本版SOX法ができるという話が出始めたことで、顧客であった金融機関から対応策に関する悩みを聞くようになった。顧客の課題に寄り添い、その解決に貢献することをモットーとしている同社としては、その悩みを放置しておくこと等はできない。画像とログの紐付けやログの探索、解析といった分野に関する技術的知見を持ち合わせていたことから『ESS REC』という自社プロダクトを開発した。従来、情報漏洩対策として採用されていたソフトといえば、“部長職以上でなければアクセスできない”といった「禁止系ソフト」がほとんどだ。そのため、ポジションによってはどうしても業務に制限がかかってしまい、従業員が存分に力を発揮しにくい状況が生まれてしまっていた。

しかし、『ESS REC』を使えば、誰もが制約されることなく業務に取り組める環境が構築できるとあって、金融機関を中心に広く導入されていくことになる。その後、特権IDを適切に管理して、システムの安全運用とサイバー攻撃からの保護を実現するために必要な全ての機能を網羅して提供する『ESS AdminONE』や、共有IDの実操作者を特定・記録する本人確認ソリューション『ID Inspector』、分離ネットワーク環境で安全にファイル受け渡しができるファイル無害化ソリューション『ESS FileGate』等、製品群を拡充。システム運用の自動化・効率化を実現できるパッケージソリューション『ESS SmartIT Operation』として提供してきた。

現在、金融業界に限らず誰もがその名を知っている大企業をはじめ、累計採用企業数は約740社を超えている。
「ありがたいことに、導入いただいたお客様の96%に継続して利用いただいています。それも、お客様の課題に真摯に耳を傾け、システムの改善や機能の追加等を通じて要望に応えているからだと考えています」（技術統括本部品質保証部長 兼 第2研究開発部長・山﨑正雄氏）。
そして今、「第二創業期」を迎えようとしているという。

現在、システム管理者や運用担当者の負担が増え続けている。社内業務のシステム化は広がる一方で、その都度、新たなシステムが追加されている。しかし、その速度に人的リソースの増員が追い付いておらず、必要十分といえるほど人員を増やす余裕もない企業が多い。しかも、サイバー攻撃や内部不正等、常に危機にさらされている企業資産を守るためセキュリティ管理の重要性も高まるばかりで、管理者・運用者への要求も年々厳しいものになっている。

このような状況を踏まえ、数々のシステム管理製品を提供してきた同社は、顧客の期待に応えるために新たなチャレンジを進めていると技術統括本部第1研究開発部 副部長の高橋亮介氏は語る。
「例えば、『ESS REC』はバージョン5から6へ移行するに当たって、アーキテクチャから刷新し、UIにも大きく手を入れました。現在、当社が開発・販売しているソリューションは『ESS SmartIT Operation』を構成する主要な6製品のほか数多く存在しますが、これら製品群から有用なものを統合して製品間の親和性を上げ、お客様へ提供できる価値を高めていこうとしているところです」

新たな挑戦という意味では、AIの活用にも力を入れている。これまでシステム管理向けの製品は、何か問題が発生してから対処するものがほとんどだった。しかし、AIを組み合わせることによって事前に危険を予知してアラートを出せるようにするという。

このように同社は技術開発にも積極的に取り組んでおり、既に取得済みの特許だけで20を超える。また、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターや金沢大学等と連携して研究開発を進める等、先端研究も取り入れながら時代の先を見据えた技術開発に取り組んでいるのだ。
「当社は、証跡監査ソフトというブルーオーシャンを開拓することで成長してきた企業です。この開拓者マインド、未知の領域へ挑戦していく文化を土台に、新たなブルーオーシャンを切り開くべく、既存製品群の深化だけでなく、新規開発にも力を入れています」（山﨑氏）。

同社が顧客の課題に寄り添い、その期待に応えることで成長できた背景には、同社が企画・開発から販売、保守まで自社で一貫して行っていることも関係している。
「営業やマーケティング、プロフェッショナルサービス担当者と開発部門との間で2週間に1回程度ディスカッションの場を設けて、お客様が抱えている悩みや課題、ニーズ情報を共有。それをいかに製品開発や製品の改善、機能開発に落とし込んでいくか、方向性を擦り合わせるようにしています。これによって、企画から販売に至るまで、同じイメージを持って動けているところが当社の強みの一つです」（高橋氏）。

長年の実績と信頼をベースに広げてきたネットワークによって、顧客から情報を得やすい点も業界トップシェア企業の強みといえるだろう。しかも、同社は日々の業務を請け負うBPOサービスも提供しているため、「今、現場で何が求められているか」という貴重な情報を肌感覚で掴む場も持っている。こういった幅広い顧客接点から得られた情報を、高い技術力と組み合わせることで「もう一段、企業としてジャンプアップすることを目指している」のだ。
「第二創業ということもあり、若手リーダーの育成にも力を入れているところです。以前は年功序列の色合いが強かったのですが、現在は部長やリーダー等の重要なポジションを担う人材が20代～40代と若返りつつあります」（山﨑氏）。

つまり、同社はさらなる躍動期に入っているわけだ。そのため、自分の役割という壁を越えて、「もっとこうしたらいい」という強い思いを持って行動できる人を求めている。
「当社は業界シェアトップであり、東証スタンダードに上場していますが、ベンチャー魂を忘れず、アグレッシブに挑戦することを大切にしている会社です。だから、“こうしたい”という熱量の高い人であれば、システム管理ソフトの経験は重視していません。製品開発や保守経験は少なくても、例えば、システムインテグレーションや運用、事業会社の情シスに関わっていた人等、いろいろな経験を積んできた方に来てもらいたいです」（山﨑氏）。
「製品や組織を引っ張っていきたい人には、活躍できるポジションが沢山ある会社でもあります。世代交代を進めている最中でもあるので、お客様の課題解決や会社の成長のため、力を尽くしていきたいという熱意のある方を待っています」（高橋氏）。