給与は、個人の売上から算出。月給と賞与の配分も本人が決められる
2015年3月に設立した株式会社UNITEは、システムエンジニアリングサービス(SES)と受託開発を手掛けている。25社を超えるIT企業を有するアクロホールディングスグループの中の一員で、顧客満足度向上とビジネス発展の広域支援する技術推進を担うポジション。スタートアップ時点から、製造、サービス、金融と様々な業界のプロジェクトに参加し、実績と信頼を重ねている。
同社は完全にエンジニアのみの会社なので、営業やバックオフィス業務は、グループ内の専門部隊がサポートしている。特徴的なのは、グループによる恩恵を受けつつも、自由にビジネスを展開できる関係性にあること。そのため、創業者で代表取締役社長である鹿野徹氏は、「エンジニアを、無意味な業務から解放したい」という思いで、ユニークな施策を次々と打ち出している。
その一つが、独自の給与体系だ。同社は、エンジニア個人の売上をもとに、給与を算出している。お客様の評価が高ければ高いほど、ダイレクトにエンジニア反映される仕組みになっている。しかも、その数式はフルオープン。鹿野氏との面談時に、一緒に数字を算出しつつ給与が決まっていく。さらに、月給と賞与とどちらを厚くするか、支給のバランスも希望に応じて決めることができる。月々にあるだけお金を使ってしまう、という人は、賞与に回すということもあるようだ。ちなみに、賞与には業績賞与も全員一律でプラスされる。会社全体の利益も、きちんとエンジニアに還元される仕組みとなっている。
ここまで透明度の高い制度にしたのは、鹿野氏がエンジニアとして企業に勤めていた頃に、評価制度に理不尽さを感じていたため。「どんなに技術力が高くても、会社に貢献しても、年功序列で給与ベースが決まっている。また、勉強会に熱心に参加することや会社の係活動を沢山こなすこと等、エンジニア本来の仕事ではなく、会社の仕事で評価されるのが腑に落ちなかった」と鹿野氏。同社の給与体系は、まさに鹿野氏の理想を具現化したものとなっている。
義務的な「帰社日」はなし。「有休無限制度」は事前申請も不要!
同社で特徴的なのは、エンジニアが義務的に本社に呼び出されることが全くないこと。まず、「帰社日」がない。また、会社主催の「勉強会」もない。常駐先での業務を終えて、わざわざ全員で集まるのは現場のエンジニアにとっては負担しかない、と鹿野氏は考えている。連絡を取りたければ、メール等でいつでも対応できる。また、エンジニア同士の情報交換等も、わざわざ顔を合わせなくてもできること。「そのような意味で、みんなで集まって、ワイワイやりたい人は、入社後にギャップがあると思う」と鹿野氏は言う。
その一方で、3ヶ月に1回の社員会や、年1回の社員旅行は行われている。これは完全に自由参加で、エンジニアの慰労目的で開催されている。これが、意外にも参加率が高い。それは、普段はなかなか行かないような高級焼肉店での豪華な食事や、贅沢な旅館やホテルでの宿泊が用意されているから。費用は会社が全額負担。旅行積立金等が給与から差し引かれることもない。さらに、社内イベントにお決まりの「出し物」を考えたり、若手が幹事を務めたり、ということもないとのこと。「店や宿が決まっているだけで、あとはフリープラン。それぞれが好きに食べ、好きに過ごせます」と鹿野氏。純粋にエンジニアが自分自身で楽しめるイベントとなっている。
このほか、「有休無限制度」も特筆すべき制度の一つ。一般に有給休暇は上限があって、未消化の場合は消滅する。これが、SESの現場では合わないと鹿野氏は考えた。なぜなら、お客様が休日だったとしても、エンジニアは会社の休日制度に縛られている。そのため有休が残っていなければ、無駄に本社に出社して終業時間まで不毛な時間を過ごすケースが多いからだ。そこであえて有給休暇の上限を撤廃した。
しかも、事前申請は不要。取得したことを月次報告で知らせればよいのだ。プロジェクトに支障を出さなければ、いつでも取得できる。「こちらも、月次報告が届くまで、どれだけ休んでいるか把握していない」と鹿野氏は笑う。実際、有休無限制度を活用することで、年間休日数が155日という実績も。エンジニアが自律的に働ける環境が同社にはあるのだ。「フリーのエンジニアと同じような自由度がありつつ、雇用と仕事は会社なので確保されている。これが、エンジニアにとって、理想ではないかと思う」と鹿野氏は語る。
エンジニアが安心して働き続けられるよう、事業の柱を増やしたい
SESと受託開発で収益を順調に上げているが、今後の展望としては新規事業として自社サービスを立ち上げていくという。「既存の事業での収益は、新規事業への投資に回したい」と意気込む鹿野氏。新たな展開を目指すのは、収益の柱をできるだけ沢山増やしたいためだ。
その目的は、単なる事業拡大ではない。鹿野氏はエンジニアとして勤めていた2008年に、リーマンショックを経験している。当時、多くのSESの会社が痛手を被った。その時は若く雇われの身だったので、それほど深刻には思わなかったが、経営者になった今、もし同じことが起きたらと考えると、危機を感じずにいられないという。「エンジニアはお客様に対して責任があるが、会社はエンジニアに対して責任がある」と鹿野氏。才能に溢れた仲間達の将来を守りたいという思いがあるのだ。もし、強固な事業の柱がいくつもあれば、たとえ一つの事業が傾いたとしても、エンジニアの仕事を確保することができる。「社員が、安心して働き続けられるように、できるだけ多くの可能性や道筋をつくっておきたい」と鹿野氏。そのための新規事業なのである。
ちなみに、同社は退職金制度も導入している。同社より歴史があり、規模が大きな同業であっても、導入している企業は珍しい。「たとえ導入していても、いつ、いくらもらえるのか、説明のないケースも多い」と鹿野氏は指摘する。しかし同社は、中小企業退職金共済に加盟して運営している。原資は会社が積み立てるが、受取人は社員名義。そのため、社員はいつもで積立状況を確認できる。万一、同社を卒業する時も保障がある。それも、エンジニアが安心して働ける環境を守っている。
同社は、鹿野氏がエンジニアとして現場で感じていた理不尽や不毛を、どんどん省いていった。結果、会社のあり方や目指す方向が、首尾一貫して現場のエンジニアに向けられた企業となった。既に、新規事業に関しては、トライ&エラーが始まっている。次のステージを走り出した同社は、今後どのような展開を見せるのか、その動向に注目と言える。
株式会社 UNITEの社員の声

20代前半
2019年10月入社
顧客が必要としているものをシステムで実現...続きを読む

20代後半
2018年01月入社

20代前半
2015年08月入社