日本初のタブレット向け決済ソリューションの開発など、2つの事業を柱に成長中
代表取締役の片山圭一朗氏が26歳で創業した株式会社フライトシステムコンサルティング。日本初のUNIXワークステーションの開発に関わった後、現在の「スカパー!」につながる衛星放送事業をはじめ、BSデジタル放送、地上デジタル放送、ワンセグと、一貫してデジタル放送の立ち上げを経験してきた。
そうして培った技術力を武器に、多角化に舵をとった同社が、次に着目したのが現在につながる2つの事業だ。
一つ目の事業は、サービス事業。2010年に日本で初めてとなるタブレット向け電子決済システム『ペイメント・マイスター』を発表し、今や事業の中核となっている。
「『ペイメント・マイスター』はiPhoneやiPadなどのタブレットをクレジットカード決済装置にできる独自開発のソリューションで、発売以来、国内では順調に売上を伸ばしてきました。」(CTO室 ソフトウェア・プロダクトマネージャー・星達哉氏)
現在はクレジットカードだけでなく、電子マネーへの対応も順次進めている。2016年6月には第一弾対応ブランドとしてNTTドコモの「iD」への提供をスタート。今後も『ペイメント・マイスター』のラインナップとして拡大させていく。
また、次世代版カードリーダーともいうべき、多機能モバイル決済端末「Incredist(インクレディスト)」を2014年にリリース。iPadと「Incredist」の2台の端末さえあればどこでも決済が行えるとあって、画期的な商品として注目を集め始めている。
「現在、『Incredist』はソフトバンク様の全国のショップで導入していただくなど、着々と導入実績を重ねています。これ一台で『J-Debit』など日本独自規格のものも含め、クレジットカードからバーコードの読取まで幅広く業務に対応できます。国内においては競合のないオンリーワンの商品ですから、今後も多くの方に利用していただけると確信しています」(星氏)
さらに「Incredist」の次世代版として、2016年3月には「Incredist Premium(インクレディスト・プレミアム)」も販売を開始。「今後は主に北米、EU、台湾などアジア地域をターゲットに海外展開を進めていく予定です」(星氏)
2つ目の柱がC&S(コンサルティング&ソリューション)事業。いわゆるSI事業で、物流業界、地方自治体、放送局を中心に業務を受託。上流のコンサルから、要件のとりまとめ、システム設計、開発、運用、保守までを一気通貫で総合的にサポートできる点が特徴だ。
C&S事業部は特に3つの分野で強みを発揮している。BtoB向けECサイト構築システム『EC-Rider』の開発や販売、カスタマイズを行う「ECソリューション」、人とシステムのインターフェイスという観点からロボット「Pepper」を活用した業務効率化システムを開発する「ロボットソリューション」、そして大手企業向けクラウド提案ノウハウを活用し、ワークフローやメールの移行作業・カスタマイズ開発などの提案を行う「クラウドインテグレーション」だ。
サービス事業もC&S事業も同社の自慢である技術力によって支えられている。
技術に対して妥協なし。ナレッジの集約を目的に立ち上がった「CTO室」とは
高い技術力に定評がある同社。その中心にいるのが、代表取締役でCTOも兼務する片山圭一朗氏だ。創業以来培ってきたあらゆる技術力・ナレッジを集約し、さらに社員の技術力の向上とプロダクト・サービスの質の向上に活かしていこうと考えて立ち上がったのが「CTO室」だ。
「片山が室長で、私を入れた3人のエンジニアが中心となって様々な活動を行っています。新しい技術を探求して情報共有を行ったり、エンジニアの技術の底上げのために教育プログラムを検討したりするほか、お客様からの要望に対して的確な手段を検討するなど、技術に特化した組織なのです」(星氏)
中心となる3人のエンジニアは、アプリケーション、セキュリティ、ハードウェアデバイスとそれぞれに得意分野を持っており、あらゆる案件に対して的確なアドバイスを行える心強い存在だ。
「これまでバラバラだったノウハウを集約させるという意味でも、発足させた意味は非常に大きかったと思います。ナレッジを集め、さらにそれをいつでも引き出して仕事に活用できるようになり、社員のアウトプットの質はもちろん、『会社をより良くするためにどうすべきか』について考える社員が増えたように感じています」(星氏)
さらに同社は、プロジェクト間で技術者の交流が非常に盛んに行われている。時には所属部署にとわれないアサインを行っており、エンジニアにとってはいろいろな案件を経験することができ、さらにそれぞれの持ち味を活かしたチーム編成が可能になるという組織的なメリットもある。新たな異動によって思わぬ持ち味を発見したエンジニアも多いそうだ。
「常に意識しているのは、エンジニア間の垣根を減らしたいということです。ずっと同じところで同じ仕事をするのではなく、あらゆる交流が可能な組織を目指していきたい。交流が盛んになることで、たとえば技術的なアドバイスが気軽にできるようになったり、議論が活発に行えるような意識の高い組織になっていけると思っています」(星氏)
社員一人ひとりの声に耳を傾ける、働きやすい組織
現在80名近い社員が在籍しているが、そのほとんどがエンジニアだ。同社のエンジニアを一言で表現するなら、「職人気質」という言葉がピッタリかもしれない。
「活躍するエンジニアのタイプもさまざまで、比較的周囲とのコミュニケーションを取っていくタイプのエンジニアがのびのびと仕事をしている傍ら、一方で一人黙々と追求、研究を行うようなタイプのエンジニアが思わぬ成果を出すことも多いですね。タイプは違っても、ものづくりにかける情熱は半端なものではありません」(星氏)
エンジニアにとって働きやすい環境を整えるために、様々な取り組みが行われている。たとえば、年間の教育費をきちんと確保し、全社的に必要と思われる技術の習得に対しては徹底的にサポート。さらに、エンジニア個人からの「スキルアップしたい」という要望にも応えるべく、セミナー受講などの負担は全て会社が行ってくれる。
提供されるのは、こうした技術的なサポートだけではない。社員のやりたい気持ちをきちんと後押しする環境も整っている。
代表的ともいえるのが、C&S事業部のクラウドインテグレーション部の創設にまつわるエピソードだろう。クラウド関係の導入案件が多いことを起点にし、「規模を拡大し事業として取り組みたい」と考えた中途入社の大野健太郎さんが中心となり、2016年3月にクラウドインテグレーション部は立ち上がっている。
「個人的には、上司に引っ張っていただいたという感覚です。クラウド関係の案件の引き合いがどんどん増える中で、我々はクラウドにも強みを発揮できるんだということを打ち出したいと思いました。今後は、事業の柱になるよう、拡大を目指して取り組んでいきたいと考えています」(クラウドインテグレーション部マネージャー・大野健太郎氏)
「大野さん本人のやる気はもちろんですが、お客様から『大野さんが担当するなら全部を任せたい』という意見が上がったことも後押しになりました。こうした意見に耳を傾け、一人一人の得意分野を引き出しチャンスを与えるところが、当社のいいところだと思っています」(管理部マネージャー・高木厚子氏)
大野さんと同じチームで働く、同じく転職入社組の岸川さんも、「あまり経験してこなかった業務であっても、『君ならできるよ!』とチャンスを与えてくれて、しかもきめ細かくサポートしてくれる社風があります。働きやすいですね」と話してくれた。
「熱意、情熱を持っている人はウェルカムです。当社が提供しているサービスやプロダクトは、これからの世の中を変える可能性を持ったものばかりです。ぜひ一緒に新しい世界を切り開いていきましょう」(星氏)