株式会社ソシオメディカル

株式会社ソシオメディカルは、医療機関向けのアウトソーシングやコンサルティングなどを手がけるソシオグループの一企業だ。医師向けの転職支援事業、自社メディア「プレミアムドクター（プレドク）」を運営している。ソシオグループ内で、人材の面から医療機関を支援する役割を担っているのだ。

慢性的な医師不足を背景に、医療系の転職支援事業を手がける会社は多い。同社は競合他社と何が違うのか―。一つはその成り立ちだろう。元々、医療機関を総合的に支援するというグループの事業のなかで、地方を中心に数々の医療機関から、「医師を紹介する事業をやってほしい」という切実な声が相次いだ。労働環境や仕事内容など、医療機関と医師のことを本当にわかっている立場で紹介会社をつくってほしいと要請されたのだ。それが事業スタートのきっかけとなった。

医師不足が社会問題化する中、紹介事業を通じてその問題を解決する一助を担い、医師と医療機関、ひいてはその先にいる患者さんと地域医療に貢献する―そのような理念に基づき、同社の医師紹介事業は2005年にスタートした。

このような成り立ちを背景に、同社の事業を特徴づけているのは、医師の声と医療機関の声に真摯に耳を傾け、両者の架け橋となっている点だろう。従来の支援事業で、グループが築いた数々の医療機関とのネットワーク。その数は数千にも上る。日ごろの情報交換を通じて、各々の医療機関が抱える思いや課題を深く理解し、その確かな情報があるからこそ、転職を希望する医師とも率直で深い話ができる。そしてその結果が、双方にとって最もよい出会いの実現だ。

企業である以上、利益を追求することはもちろん否定しない。だが同社の場合、第一に、医師と医療機関の双方に寄り添うことに軸足があり、それが結果的に数々の成果を生んでいる。売上を第一に求める企業とは姿勢を異にしている点だ。実際、このような同社の特長に心惹かれ、同業他社から移ってくるコンサルタントもいるという。

同業他社と比べた同社の強み―それは、何と言ってもソシオグループ全体のシナジー効果だろう。同グループ内には、医師向けの転職支援を手がける同社の他、医療機関向けに採用コンサルティングを行う会社、さらには、医療事務や看護助手、院内清掃などのスタッフ業務のアウトソーシングや設備保守や、院内清掃などを手がける会社などがある。人材採用という一機能に限ったアプローチではなく、グループとして医療機関全体の最適化の支援を実現できるのだ。人材採用にはコストがかかる。業務効率化によって浮いたコストを採用にまわす・・・など、医療機関全体を見据えた戦略的な提案も可能だ。このような提案の深さとバリエーションは、同業他社には真似できない点と言っていいだろう。

言い換えればそれは、他社ではなかなか食い込めないような医療機関ともリレーションが築けるということでもある。実際、独立行政法人が運営する病院や公立病院など、地域医療の中核を担う大病院との豊富で強固なネットワークは、他に類を見ないという。

ひとつひとつの「ありがとう」が感動の輪をひろげる―。ソシオグループが掲げる理念の一つだ。医師の転職を支援するこの仕事は、まさに医師からの「ありがとう」と、医療機関からの「ありがとう」の積み重ねだ。ソシオメディカルの特徴は、特に地方の医療機関に多くの医師を紹介、入職させている点だろう。医師が都市部に集中し、地方の多くの医療機関が困っていることは周知の事実だ。同社の仕事は、地方の患者さんの「ありがとう」の言葉も引き出しているに違いない。

転職を果たした医師とは、入職後もしばしばやりとりをする。
「転職が決まったときの『ありがとう』と、入職後の『ここに来てよかった』の言葉が何より嬉しい」と同社・コンサルティング部長は言う。「医師は決して、お金などの条件だけで動くわけではありません。どういう診療ができて、どんな自己実現ができるのかなど、本当に知りたいことをしっかりヒアリングし、伝えられることが我々の強みでしょう」（同氏）。

医師は高い志を持つ人が多く、話をしていて感動することもしばしばだ。病院長や理事長など、医療機関のトップの人と話をする機会も多く、見識も広がるという。多くの人の役に立てているという実感と、接する人から得るさまざまなものが、この仕事の魅力だ。

同社の仕事の基本スタイルはチームプレー。コンサルタントは各々が独自の強みを持っており、案件ごとにお互いに相談し、助言しあう雰囲気が定着している。一匹狼タイプよりは、みんなでやっていく気持ちが強い人が向くだろう。一方で無駄な残業はよしとしない社風で、成果さえ出せば、早く帰ることも自由だ。成果も時間も自己管理が求められる。

人が相手の決して簡単ではない仕事だ。思い通りにいかないことの多さが難しさであり、やりがいでもある。沢山の「ありがとう」を生み出し、社会に貢献するという同社の志に賛同する人の参画を待っている。