興和テバ株式会社

新薬の特許期限後に他のメーカーが製造・販売するジェネリック医薬品は、医療費抑制の観点から注目されている。しかし、現在の日本の医薬品市場においては、ジェネリック製品は数量ベースで全体の16.9%を占めるに過ぎない。これを2012年までに30%まで引き上げる目標が日本政府により掲げられており、今後、ジェネリック製品の使用を促進する政策が打ち出されること、2010年には世界中で特許切れとなる薬が相次いで出ることから、この市場は拡大すると見られている。

興和テバ株式会社は、約8兆3,720億円規模におよぶ、世界第2位の日本の医薬品市場のポテンシャルに注目し、日本におけるジェネリック医薬品の製造販売に参入するべく設立された。2008年設立と新しい会社ではあるが、日本とイスラエルの二つの老舗企業が出資しており、その開発力・世界的なリソースネットワークを生かして、2015年までに売上高1,000億円以上、ジェネリック医薬品市場10%獲得を目指す。

同社の強みは、何といっても、その強大なバックグラウンドと、ジェネリックに専門特化していることといえるだろう。

親会社である興和株式会社は、医療用医薬品、OTC医薬品の両分野で、115年にわたる実績を持つ企業だ。関係会社約50社を擁するグローバルな複合企業グループであり、医療用医薬品においては、高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」、血圧降下剤「オルメテック錠」、OTC医薬品においては「キャベジンコーワ」「バンテリンコーワ」「キューピーコーワ」などを提供している。研究開発面では、動脈硬化、腎疾患、糖尿病などの生活習慣病を重点領域として取り組んでいる。資本金3,840百万円、売上高は2,357億円（2008年度連結）を誇る。
　
一方、テバファーマスーティカル・インダストリーズ社は、イスラエルに本社を置き、世界でもトップ20位に入る製薬メーカーだ。特に、ジェネリック医薬品分野では世界1位の実績を持つ。世界50箇所の工場にて新薬、ジェネリック医薬品、製薬原料材の開発・製造を行なっており、80カ国以上に製品を流通させている。現在は売り上げの8割以上が北米・欧州市場であげられている。

興和が培ってきた日本におけるブランド力と、テバの持つ製品ラインナップが一つになり、日本のジェネリック業界の開拓に挑戦するのだ。2008年11月11日に設立されて以来、2009年は事業開始の準備にあてられた。本格的な販売促進活動の開始は2010年1月を予定しており、まさにこれからが本番というステージにある。

競合他社も多い中、世界1位のジェネリックメーカーと、日本での豊富な経営資源を持つ企業が英知を結集し、ジェネリックに専門特化することでノウハウを蓄積・展開し、一気にシェアの獲得を狙う。

磐石な基盤を持つ同社だが、その上にあぐらをかくつもりはまったくない、と代表の井上氏は語る。
安全で有効な製品が、必要なだけ、必要な場所に供給され、正確な情報が的確に提供される最先端のジェネリック環境を築き上げ、日本の医療に安心を届ける気概だ。

したがって、同社におけるMRは非常に重要な役割を担うことになる。日本の医薬品市場におけるジェネリック製品のシェアが低いのは、それを使う医師や患者がまだ慎重な姿勢を保っているからだ。今後、同社の製品を通じて、日本市場を拡大し、日本国民と医療に貢献していくためには、ジェネリックに特化したMRの活躍が不可欠だ。

挑戦すべきことが多くあり、目標が高いほど、それを追いかけるのは困難だが、同時にやりがいも大きくなる。同社での仕事はまさに、そのようなものになるといえるだろう。社員一人ひとりが創造性を発揮し、自分の力で道を切り開き、存在しないものを作り上げていくことが求められる。「新しい会社を作り上げるという圧倒的なスケールの喜びを体感できる」とも、井上氏は語っている。

安定した経営基盤を持ちながら、ベンチャー企業のようにクリエイティブな仕事をするチャンスを与えられることで、そこで働く人は大きく成長することが可能だろう。向上心の強い人にとっては、大きなチャンスと可能性を秘めた会社だといえる。