長興実業株式会社

世界トップクラスのお茶エキスメーカーであるＤＡＭＩＮ国際グループは、１９９１年にアメリカで発足し、現在は9社から構成されている。長興実業株式会社は日本の現地法人だが、日本市場向けにＤＡＭＩＮ製品の販売を行うだけでなく、中国でお茶エキスを生産するために必要な原料・資材、生産機械等を日本で調達するという使命も持っている。

消費者の安全志向の高まりを受け、日本における天然食品の市場も拡大基調で推移している。そんな中、同社では、日本の大手食品・飲料メーカーなどを対象に取引先の開拓を続けている。メーカー側の要求も高くなっているが、同社は、それらの要求に対して高付加価値の製品を提案し、強い信頼を勝ち取っている。

同社では、ISO9001、ISO14000、HACCPを取得し、厳格な品質管理体制の下に様々な製品の生産を行なっている。

各種のお茶の濃縮液、SD（スプレードライ）・FD（フリーズドライ）エキスパウダーを主力としており、中でも茶ポリフェノール、カテキンなどのお茶関連製品、ハーブ、生薬などのエキスパウダー、FD野菜・フルーツなどがメイン商品だ。

特に、各種お茶エキスパウダーに関しては、年間4,800トンの生産能力を誇り、同社の売上全体の7割を占めている。また、お茶エキスパウダーの中国での販売シェアは8割であり、世界第2位の実績を誇る。

各種お茶を原料に用いて、抽出から遠心分離、ろ過、濃縮、乾燥にいたる全てに独自技術を生かし、濃縮液やＳＤ（スプレードライ）とＦＤ（フリーズドライ）お茶エキスパウダー、お茶ポリフェノール、お茶カテキンなどを製造している同社。最近は、ＦＤお茶エキスパウダーの品質を著しくアップすることに成功し、日本の顧客でも従来のお茶リーフ抽出からＦＤお茶エキスパウダー使用に切り替えるケースがかなり増えてきているという。現時点で「競合と呼べる企業は特にない」と担当者が語るほど、その製品は業界で認められているようだ。

全ての製品について、同社では、日本のポジティブリストに基づき、原料のトレーサビリティーがある厳密な残留農薬管理システムを構築し、製品の安全性の向上につとめている。中国の福建省アモイにある工場では500人の生産体制が敷かれ、研究開発から製造までを一貫して行なっている。

また、ハーブ、生薬のエキスパウダーに関しては、古くから効能が伝えられている天然の植物から有効成分を抽出して、特定の健康上の目的や美容などの目的で利用される製品を生産している。代表的なものが羅漢果、杜仲茶、枸杞の実。生薬の薬効性を保ちながら、美味しく飲みやすく加工する技術が強みだという。
特に2006年以降、羅漢果を利用した天然甘味料に力を入れている。砂糖の約425倍の甘みがありながら、カロリーはゼロだというこの甘味料。糖尿病をはじめとする生活習慣病の患者に有効として、病院などへの売り込みのほか、大手健康食品会社などに納入され、ダイエット食品や菓子などに使われている。

ＦＤ羅漢果濃縮パウダーの大量生産の体制を自社工場にて整備し、最新鋭の独自技術を駆使して従来には無い高品質の羅漢果濃縮パウダーを安定的に生産し続けることを可能にした同社。原料である羅漢果も、自社での徹底した管理の下、無農薬栽培している。

同社の取引先であるメーカー各社のリストには、大手企業の名前が連なる。2008年の売上は前年比で160％、2009年はそれよりもさらに伸びることが見込まれているという。

「健康と美味しさの真髄を追求する」というビジョンの下、大幅な成長を続けている同社。現在、美容の分野にて新規事業を立ち上げることが決まっているという。それは、カツラ・ウィッグ事業だ。

日本においても薄毛に悩む人は多いが、同社が注目しているのは中国市場。日本の大手カツラメーカーのような存在がいまだ現われておらず、チャンスが眠っていると見る。既に、日本の大手繊維メーカーと共同で高品質な人口毛を開発。原料調達から納品までのセールスチェーンも構築済みである。現時点では女性用がメインとなっているが、今後、男性用にも力を入れていく。

高い研究開発・技術力、中国での生産体制整備による低コストでの生産、そして日本のメーカーとの共同事業による新しい分野への進出。同社では、これまでに培ってきた強みを生かした「健康と美味しさ」に関する事業を、今後も積極的に展開し、成長を続けていく予定だ。

日本の同社はまだ少人数ということもあり、今、入社する人には事業の中核として活躍できる可能性が大きい。健康・美味しさ、そして美しさという、人間の欲求に対するあくなき関心と情熱を持つ人、そして国際的な視野を持って柔軟な発想ができる人の応募を待っている。