株式会社ティームエンタテインメント

アニメやゲーム関連の音楽・ドラマCDの企画・制作・販売を手がける株式会社ティームエンタテインメント。業界内では一目置かれる独立系レーベルだ。

社長の北原氏はプロ歌手として活躍した後、ゲーム・アニメ関連のCDやキャラクター商品を制作・販売する会社において、キャラクターの版権取得やCDの制作管理などの業務に携わる。長らくの間、アニメやゲームとの縁が続いており、同氏いわく「風が吹いてくる方向に向かって進んできた結果」であるとのこと。同業界におけるビジネスの拡がりや可能性を肌で感じていた同氏は1998年に独立を果たすこととなった。

設立当初は制作会社としてレコード会社のもと業務を行っており、数年後、音楽・映像ソフトの流通・販売を手がける株式会社ソニー・ミュージックディストリビューションと流通契約を結び、レーベルとしての活動をスタートした。

近年では、ゲームメーカである株式会社ガストとの共同レーベル「ガスト アトリエレーベル」や、同じくゲームメーカであるアイディアファクトリー株式会社が手がける女性向けのゲームブランド「オトメイト」とコラボした共同レーベル「オトメイトレーベル」を展開、ビジネスの広がりを見せている。

制作会社時代には、100万本規模の販売実績となったビッグタイトルゲームの関連ＣＤを数々手がけ、レーベルとしての機能をスタートした後も、アニメやゲームなど元となるコンテンツの魅力を最大限に引き出す商品を提供してきた同社。「ゲーム・アニメミュージックならティーム」という認識が自ずと広まり、業界における信頼も篤い。代表的なゲーム会社と幅広く付き合いがあり、今ではクライアント側から声がけされることも少なくないという。

アニメやゲームのコンテンツにはそれぞれコアなファンが存在する。いわゆるメジャー向け商品ではなく、そうした「狭く深い」ファン層に対してアプローチする商品に特化しているのが同社の特徴だ。アニメのキャラクターソングCD、ゲームのサウンドトラックCDやドラマCDを数多く展開している。

女性ファン、男性ファンのそれぞれが好む商品、また作品ごとに異なるファンのニーズをいかに企画に落とし込み、最終的な商品として提案できるかが同社の腕の見せ所だ。ガストレーベルの「アルトネリコ」、オトメイトレーベルの「薄桜鬼（はくおうき）」といったゲームの世界観を広げるキャラクターソングCDや「北斗の拳」「ドラゴンボール」のセルフカバーCD、霜月はるかなどのアーティストのCDがそれぞれのファンの需要を獲得している。2～3万以上販売すればヒットという業界において、中には5万以上の販売本数を記録したものもあるという。

コアユーザを魅了し、増益を続け売上実績も順調な同社。今後目指すあり方を北原氏に聞いた。
「今では、家庭でも専用ソフトがあれば自分でCDを作れる時代。作り手と買い手が混在している状況です。レーベルの存在意義が問われており、今まで以上の価値提供を行っていかなければなりません。
アニメやゲームといった資産をどれだけ生かすことができるのか、『音』を扱うプロとしてどれだけの価値提供ができるのかが当社に課せられたミッション。当社が関わることでゲームやアニメなどの元となるコンテンツの認知につながったり、アーティストの人気につながったり、いかに『TEAM』を組んでいる人たちに当社の価値を感じてもらうのか、そのことに尽きます」

ライセンサーや制作会社、アーティストといった多くの関係者と「TEAM（ティーム）」を組み、音を切り口としたビジネスの可能性を追求する同社。社名にはそうしたTEAMを重視する姿勢、人との「和」と「輪」を大事にしたいとう思いが込められている。

※ドラマCD：マンガやゲーム、アニメなどを原作としたドラマを収録したCD。

社内の“TEAM”は11名。夏はビルの屋上の特等席で神宮前花火大会を見物、年１回の社員旅行ではみんなで羽を伸ばして語り合う、アットホームな関係だ。

そんな同社が求める人材について北原氏に聞いてみた。
「作品にきちんと向き合う姿勢を持った人、そして、『応用力』のある人が良いですね。つまり、自分の今までの経験を経験としてそのまま転用するのではなく、一度自分の中で咀嚼し、新たな発想として展開できる人と言えばいいのでしょうか。目的に対する手段は無限です。過去の事例に囚われずに、その目的達成のためにあらゆる要素を組み合わせて、自由な発想を出してもらえればと思います。事務的に業務をこなすような方には、おそらく当社はマッチしないでしょう。どの業務もルーティンワークで済むものではありませんから」

さらに言うのであれば、今同社が求めているのは、“攻め”の姿勢を持った人。業界経験よりも、ビジネスセンスやビジネススキル、そして意欲を重視する。

アニメでもゲームでも音は欠かせない要素。その音を最大限に活用して、それらのコンテンツの世界観に広がりをもたらす当社の業務はビジネスチャンスを創造する作業ともいえる。そこに魅力を感じ、ステークホルダーとのつながりを重視して業務を遂行できる人にぜひ参画してほしい。