キャリアスタート株式会社

キャリアスタート株式会社は、若者の就転職支援に特化した人材紹介会社である。同社では、マーケティング部門や管理部門のメンバーを求めている。

同社の人材紹介サービスの最大の特徴は、第二新卒や新卒、フリーター等、キャリア観が比較的形成されていない若手人材に対し、キャリア教育の要素を加えた就業先の紹介を図っていることにある。
「新卒で入社したものの、合わずに3カ月で辞めた」「就職する気持ちになれず、卒業後もフリーターを続けている」といった若者は、働くことへの意欲が低く、将来のキャリアビジョンも持っていない場合が多い。あるいは、精神的なストレスで仕事から離れたという人もいる。

同社はそういった若者に門戸を開き、キャリアアドバイザーが登録者一人ひとりと面談。キャリア形成や就業先に定着する意義、人間関係のつくり方、キャリアロードマップの具体的な目的や目標設定の方法等をステップごとに進めるプログラムを無償で提供している。また、特に未経験からITエンジニアに転職したいと考える登録者には、オンラインで職業体験等を提供する『ITカレッジ』も提供している。
「一連の面談は個別に合計で平均3～5時間程度をかけています。これによって仕事や人生に前向きになり、目標やキャリアプランを持って就職し、できるだけ長く定着して活躍してもらうことを目指しています。それが本人の人生を豊かにすることであり、一方で採用する企業側にとってもメリットが大きいからです」と代表取締役の下山慶一郎氏は言う。

こうした観点で、同社は入社後最低3カ月間の定着率を最重視し、92%という実績を上げている。
「3～6カ月以降は就業先の環境要因が大きくなるので、人材紹介会社にできることとして、まずは3カ月の定着を重視しています。3カ月続けば、その後も続く傾向が高まることは実績から見ても確かなことです」（下山氏）。
なお、同社は入社後の定着を促進するサポートプログラム『Connect』も無償で提供している。

同社のクライアントである、建設業界に特化した人材サービス大手の会社からは、2024年2月に開催された「リクルーティングパートナーサミット」にて、【定着率部門】にて取引のある同業者全40社中、第1位に、2025年1月には、同じく【（入社）承諾率部門】にて第1位の表彰を受けている。
建設業界は定着率が低く、人手不足が慢性化している典型的な業種である。その業界の顧客に対し、高い成果を上げられていることが、同社のサービスレベルの高さを表していると言えるだろう。

なお、同社の実績として、年間新規登録者（求職者）は約7万人。取引先としてのアクティブな求人依頼企業は、人材不足に悩む建設業や製造業、IT等の従業員数100～3000名の中堅企業を中心に約400社を数える。
「求人案件のバックオーダーは、常時数千件を超えています」と下山氏は語る。

同社は、2012年4月に下山氏が創業した。

下山氏は、2001年の大学卒業後、大手人材派遣会社に入社し、派遣事業等に従事する。その後、別の人材サービス会社に転じて、人材派遣や人材紹介、採用コンサルティング、採用アウトソーシング、求人広告等、人材関連の業務を幅広く経験する。そして、2008年に発生したリーマン・ショックで大きな無力感を覚えたという。
「どの企業も採用をストップし、営業に出ても仕事が取れず、転職相談を受けても全く力になれない状況でした。テレビでは『派遣切り』の話題が流れていましたが、若い人材がそのように見捨てられる社会の未来に大きな問題意識を覚えたのです」（下山氏）。

これを機に、キャリア形成に至っていない若者に寄り添った求職者支援をしようと思い立ち、同社を設立する。

掲げたビジョンとアイデンティティは、次のとおりだ（同社は“ミッション”ではなく“アイデンティティ”として掲げており、これらにバリューも加えて“企業理念”としている）。

●ビジョン:すべての若者が輝く社会を作る。
●アイデンティティ:日本最高の若手キャリア支援会社である。

これらの背景について、下山氏は次のように話す。
「若者の可能性を高めることは、社会が発展していく上で不可欠です。そんな若者に仕事がないという状況は絶対に避けなければなりません。そのためにも、成長の可能性のある若者を本気で応援するとともに、そんな若者を真剣に育成してくれる企業とマッチングして、若者が活き活きと輝く社会に一歩づつ近づいていってほしいと思っています」

今後の成長戦略としては、サービス領域の拡大を図っていく方針だ。その一環として、既に外国人紹介事業に着手。「外国人も含めて“すべての若者”と捉えている」と下山氏は話す。
そして、2025年度からは、新たに“転籍推奨型派遣”サービスをスタートさせている。
「ITエンジニアにおけるSESのように、自社で雇用している社員をまずは企業に派遣し、両者が合意すれば正社員として転籍するというスタイルです。既に多くのニーズが寄せられており、第二新卒紹介、新卒紹介の次の柱になると見込んでいます」と下山氏は意気込む。

また、就職に関するサポート体制が弱い通信制高校で学ぶ生徒への就職支援サービスも検討中である。さらに『ITカレッジ』の営業職版や、コミュニケーションスキル等の基礎能力版も展開し、サービスをより拡充させていく構えだ。

同社の社員数は約100名で、平均年齢は27歳、男女比5:5という組織。社員定着率は95%と高い。
そんな組織を束ねているバリューは、次の6項目である。

①求職者ファーストであろう
②有言実行でいこう
③学び続け、挑戦し続けよう
④仲間と協力し合い、共に大きな成果を手にしよう
⑤クライアントと共に歩み続けよう
⑥高いモラルを徹底しよう

特に、“求職者ファースト”に関しては、求職者、求人企業、自社社員の“トリプルウィン”を掲げ、その筆頭に置いて最重視している。
「まずは求職者が就職に成功することでクライアントも満足し、こうしたいい仕事を通じて当社の社員も成長する。そんな順番を重視しています」（下山氏）。

これらのバリューは、人事考課の“バリュー評価”における日々の実践状況の評価を通じて浸透・促進が図られている。
さらに、毎年2回開催されている社員総会（全社キックオフ）にて、優秀者を「ベストトリプルウィン賞」として表彰している。この賞には、管理職が対象者を選出する本賞のほかに、パートナーによる「特別賞」と、社員が選出する「Peer Prise賞」もあり、多面的に懸賞するという力の入れようだ。なお、同社は社員にどんどんチャレンジの機会を提供し、成果を出した者はポジションや処遇を高める実力主義である。

この社員総会は、表彰のほかに半期の振り返りや会社および各事業の方針発表等があり、その後BBQ等の親睦会が行われる。「自由参加であるが、毎回ほぼ全員が参加してくれている」と話す下山氏は、社員総会を同社内の一大コミュニケーションの機会として重視している。
同社には、“求職者ファースト”のほかに“目標達成マインド”や“仲間を大切にする”といったカルチャーがある。
「ルールは厳守してもらいますが、決してマイクロマネジメントではなく、自分で考え、行動してもらうことが前提にあります。その点では上下関係はフラットですし、部活なども沢山あって社内の仲もとてもいいですね」と下山氏は話す。

そんな同社が求める人材像は、企業理念への共感と、「仕事を通じて人生を良くしたい」といった熱量があること。
若者が活き活きと働くことは、国の経済発展に不可欠のこと。これを推進する同社のあらゆる業務は、やりがいがあるに違いないだろう。