リンククロスシステム株式会社

リンククロスシステム株式会社は、SES事業を2020年5月に始めたスタートアップである。
同社が手掛ける案件例としては、次のものがある。

■開発系案件
・制御系システムのバックエンド開発（Java）
・Webアプリケーション開発（C#/Java）
・スマホアプリ開発（Java/Kotlin）
・AIを活用した新規事業開発（Flutter/Python）
・AI/IoTに限定した組み込み開発

■インフラ系案件
・小売業界向けシステム　クラウド/インフラの改善（AWS）
・インフラ機器の管理の効率化/自動化（Ansible）
・IaaS/DaaSのインフラ基盤運用
・OCIのインフラ周辺設定/管理
・金融系社内システムのサーバー/基盤構築案件（VDI/VMWare）

同社の取引先は大手SIerが30～40%、直取引先が10%、同業のシステム開発会社が50～60%で、計1,500社ほどにパイプがある。そこで、業務システムやスマホアプリ開発、インフラに携わるエンジニアと幅広い案件にリーチ可能であり、個々のエンジニアの能力や希望、キャリアビジョンに則した案件とマッチングしている。

さらに、自社開発プロダクトにも取り組む。既に特定のリフォーム会社向け顧客管理システムが完成しているが、これをブラッシュアップしてパッケージとしてリリースすることを検討している。地方出張の多い企業の従業員が出先からスマートフォンで顧客情報を入力すると、リアルタイムでPC含めた全従業員と共有できるといったプロダクトである。

そのほか、ワンクリックで可視化できる交流会システムなども企画しており、SESエンジニアが開発にタッチできる可能性がある。
そんな同社の特徴は、若手エンジニアを育成し、個々に寄り添って活躍の機会を広げていく経営方針にある。
「当社をよく“アイドル事務所”に例えています。エンジニアはアイドルで、当社はそのマネジメントを行う事務所としてアイドルを卵から育成し、トップスターになることを支援する。つまり、エンジニアが主役であり、我々経営サイドの仕事はエンジニアを支える環境づくりです。そのために、『リンクリエイター制度』等の人材育成施策や働きやすい環境づくりに取り組んでいます」と代表取締役CEO西島氏は説明する。

同社は、2019年8月に設立。

代表取締役CEOの西島氏に直接お話を伺いました。
サラリーマン時代は生命保険・損害保険のコンサルタントをしていたが、設立後、保険代理店業に加え、IT事業・電気工事業・災害復興リフォームアドバイザーなどの多事業展開を行う代表として、同社をスタートさせた。
「正直始まりは何でもよかった。業種にこだわるつもりはなく、より成長性のある分野を取り込んでいこうと考えていました。そんな中で、小学校時代の同級生で現CTOの平尾氏が、成長著しいIT業界でフリーランスエンジニアとして活躍していることに着目し、何か一緒にできないかと申し入れたのです。そして、平尾氏の賛同を得て2020年5月からSES事業も新たにスタートさせました。その後も多業種展開は続けていましたが、本格的に専念すべく、2023年の夏以降はIT専業として運営しています」と経緯を語る。
しかし、将来的には平尾氏と力を合わせ、５社経営のオーナーとしてさらに社会の発展に貢献していくべく展望を描いているとのこと。

SES専業に踏み切った理由は、社会人になったころから「人を大切にする」という仕事軸を持っていたところだと語る。IT業界の成長性や可能性に加え、人材を育成し活躍させていくことに強い関心があったことも大きな影響があったと振り返る。社会人のスタートを振り返ると、京都府にある立命館大学卒業後に介護業界に入り、1年目から管理職の立場で介護スタッフの育成に携わっていた。死に物狂いで働いていたその時の経験は、今でも大きかったと語っている。
「私の特徴、長所を考えると、自身に顧客が付いて私が成長するという自己成長型の構図ではなく、人を育て、人を育成していくというところが、最大限長所を生かし、能力が発揮できると考えました。その点、SES事業は若手の育成に最適な点も魅力のひとつでしたね」

同社が掲げている経営理念は、「人に感謝し、人から感謝される関係をつくる」というもの。そして、エンジニアや顧客等から「この会社があって良かった」と思われる存在を目指すことをビジョンやミッションとして掲げている。
「エンジニアのプロとして誇りを持って働き続けることができる。そんな環境を提供し続けることが、我々の使命です」

そこで、できるだけエンジニアに長く働いてもらい、そのキャリアビジョンを実現してもらうために、後述する人材育成や働きやすい環境、高い報酬といった施策に取り組んでいる。

人材育成においては、主に次の四つの施策を運営し、若手エンジニアのステップアップに繋げている。

●オーダーメイド研修（任意）
個別に3年間ほどのスパンでステップアップするキャリアビジョンを描き、CTOを中心に月1回の1to1でそのPDCAを回す。ジョブディスクリプションも策定し、スキルアップによる待遇もイメージしながらキャリアビジョンを構築できる。

●CTO主催のエンジニアステップアップ勉強会（任意）
テーマを設定し、実務に活かせる知識習得や課題に取り組む。例えば、同じ開発案件に要する時間に個人差があることを把握し、開発スピードをいかに上げるかを学ぶ「スピード研修」等がある。

●客先評価レビュー（任意）
各人がどんな目標を持って業務に取り組み、客先からどんな評価を得ているかを共有するスレッドを設けて、月1回は全員が他メンバーにコメントする。人に見られること、人を見ることを通じて自らのスタンスやスキルがレベルアップできる機会にする。

●「リンクリエイター制度」（任意）
自分がつくりたいプロダクトについて、その目的や意図、開発言語や技術的ポイント等を発表した上で、月1回の帰社日（就業時間）をフルに活用して開発できる。App Store等でリリースする等、販売を視野に入れることも含め、基本的に全てを自由に行える。
現在、カロリー等を自動計算する食事管理アプリやキーボードのみで操作可能なSNSアプリ、AIを活用したマッチングアプリ等を開発中だ。

「『エンジニアは技術を持った集団であるにもかかわらず、会社の都合でつくりたいものがつくれない』このような状況を打破するために発案しました。スキルを追求したいエンジニアや開発の道を究めたいエンジニアが、理想の未来に向けて実力を発揮できる環境をつくる。そんなビジョンを実現させる一つの具体策です」と、西島氏は「リンクリエイター制度」の意図を説明する。

働きやすい環境づくりにおいては、次の項目が挙げられる。
・年間休日125日に加えて、有給消化率は90%以上
・年末年始・GW・夏季休暇があり、しっかりリフレッシュ可能
・残業は月8h程度
・服装や髪型は自由で、終業後のプライベートもスムーズに

そして、高い報酬としては還元率が最高83%と業界トップクラスである点が大きい。
「採用コストが大きな比重を占めているので、できるだけ長く在籍してもらえるよう働きやすさ第一に取り組むことでコスト削減を図り、還元率の原資としています。待遇を良くすることは、そのための施策の一部でもあります」（西島氏）

こうした待遇により、社員アンケート調査で“満足度91.3%”という高い数値を出しているのです。
「とはいえ、まだまだ課題はあります。例えば、まだシェアオフィスを利用していて当社専用オフィスがないことや、福利厚生制度の厚みが不足しているといったことです。今後も改善を続け、限りなく100%を目指します」（西島氏）

そんな同社が求める人物像について、次のように期待を寄せる。
「現状の環境に満足せずチャレンジしたい方、上流工程にチャレンジしたい方、フルリモートにチャレンジしたい方、やりたいことを実現したい方、ワークライフバランスを充実させたい方など、過去にご入社頂いた方と同じように、ご自身の希望を熱く語っていただける方にぜひ来ていただきたいと願っています！」（西島氏）
エンジニアとして働きやすい環境の中、明確なキャリアビジョンを描きながら成長していける同社の募集は見逃せないだろう。