株式会社アクセス・オン

ゲームやデコメールといったコンテンツの急激な成長を追い風に、コアなユーザー層が集まるオンライン対戦型RPGゲーム『BREAKER（ブレイカー）』をメインコンテンツとする登録型ポータルサイト『アソモ』が人気を集めている。
このポータルサイトを運営するのは、株式会社アクセス・オンだ。

同社は、携帯Webサイト黎明期から多様なサイトを立ち上げ、現在でも他にau公式サイト『QUIZ学園DX』なども運営している。

同社は、以前は多様なサイトを立ち上げ、独自に企画・制作したコンテンツによってサイトの充実化を図り、ユーザー数を維持・増加させることで広告主にアピールし収益に結びつけてきた。「この労働集約型のビジネスモデルにある頃から限界を感じた」と話すのは、設立当初から在籍する取締役・八神順一氏である。
新しいサービスへ向けた試行錯誤を重ねる中で出会ったのが、フリーで公開されていたCGIゲームだ。これにヒントを得て、PHPを使ってオンラインゲームとして構築したのが『BREAKER』なのである。
『BREAKER』は2006年1月のサービス開始当初は完全無料のオンラインゲームだったが、順調にアクセス数を伸ばしたことで、ステップアップの糸口が見えたという。

「事業を拡大するためには、マンパワー依存の体質から脱却できるビジネスモデルを確立する他なかった。そのためには、ユーザーを囲い込む仕組みを作る必要があった。そこで、アクセス数が順調に伸びた『BREAKER』を中心にポータル化したのが『アソモ』です。同サイトは、2007年8月にオープンし、2008年1月現在、約5万人のユーザーが登録しています。」（八神氏）

『アソモ』では、メインコンテンツ以外にアプリゲーム、FLASHゲーム、デコメール、占い等をASPにて配信。ゲームコンテンツ『BREAKER』ではオンラインで他ユーザーと対戦しながら、その合間にはチャットに参加してコミュニケーションを図ることが出来る。また、気の合うユーザー同士でチームを組むことでチーム同士の対戦にも参加が可能となる。これらの要素により、口コミで10代のユーザーを中心に広がった。既存のユーザーの紹介で新規ユーザーが会員登録をすると、紹介した会員には150円分の『アソモコイン』が還元され、それによって“武器”を購入するための原資を蓄えることが出来るという仕組みも、この流れを後押ししている。
同社は、2010年までに『アソモ』の会員数を30万人規模に成長させる計画だ。

アクセス・オンの社員数は現在6名。平均年齢は26歳だ。ユーザーに近い年代のスタッフが、自身も楽しみながら仕事を進めている。各スタッフが自由にのびのびと、しかし貪欲に、自己の成長を最大の目的として事業に参画しているのだ。

『アソモ』の収益の7割以上は『BREAKER』に付随するコンテンツの使用料で、残りは広告収入となっている。『BREAKER』のメインターゲットはゲームの愛好家層だが、『アソモ』にはそれ以外の様々な層が楽しめるコンテンツを揃えている。

コアなユーザーを獲得して同サイトの屋台骨を維持・発展させていくのは八神氏の担当で、現在は主に『BREAKER』とならぶ柱となるゲームの開発を進めている。一方、広告媒体としての価値を高めるために会員の裾野を広げる施策を実行するのは、メディアコンテンツ事業部・部長、吉本哲進氏の役割だ。
吉本氏は同社に入社するまでは、主にモバイルサイトの構築や更新を請け負う制作会社に在籍していたが、より能動的に外部と接触できる仕事にチャレンジしたいという意志から、自社コンテンツを持つ同社への転職を果たした。「みんながハッピーになれる仕事がしたい」と話す吉本氏は、現代の生活に密着している携帯の、コンテンツ提供を通して社会に貢献したいという明確な目的を持っている。

「急成長を続けるモバイルコンテンツ市場で、今後は特にゲーム市場の成長が見込まれます。さまざまな携帯サイトの運営を通して蓄積したノウハウが当社の強み。そして何より、事業運営に関する方針も現場の私たちに任されていることが当社の事業に参画する最大の魅力です。今後は『アソモ』のブランド化を目指し、紙媒体やコンビニなど実店舗とのクロスメディア展開につなげたい。」（吉本氏）

『アソモコイン』を購入するための電子マネーは、その約8割がコンビニを通して流通しており、食玩などのコンビニ商材とタイアップできれば、事業展開の幅が広がる、と吉本氏は語る。

それを実現するためにも、『アソモ』の核となるコンテンツを充実させることは急務だ。これまでコンテンツのプログラムといった実作業は外注で賄ってきた同社だが、事業全体をマネジメントする八神氏は『アソモ』のビジネスモデルが確立しつつある現在、コンテンツ開発の中心的な存在となる開発スタッフを揃え、より強固な事業基盤を整備したいと考えている。

「当社は“自分のために”頑張れる会社です。その分責任も大きいですが、現実を素直に受け入れることが出来る方なら、成長の度合いも大きい。当社の事業を通して、自己実現につなげて欲しい。」（八神氏）
「2008年はモバイル業界の勢力図が大きく変わる年になります。
だからこそチャレンジする価値・得ることのできる経験が大きいと思います。」(吉本氏)

モバイルコンテンツ業界は市場の拡大が見込まれる一方、フィルタリングサービスなどで厳しく規制される側面もある。しかし、だからこそモバイルコンテンツに特化し続けてきた同社のノウハウが生きる道は広がった。今後の成長を期待したい。