SecureNavi株式会社

クライアント企業の情報セキュリティ対策を支援するソフトウェアの開発を事業内容とし、利便性の高いソリューションとしてサービスを提供しているSecureNavi株式会社。同社が手掛けるメインプロダクト『SecureNavi』は、従来は煩雑なプロセスを経て実現していたISMS（情報セキュリティマネジメントシステム）やプライバシーマークの認証取得を効率化し、組織の情報セキュリティレベルを向上させるクラウドサービスである。『SecureNavi』の導入は、クライアント企業の認証取得に向けた業務の効率化、セキュリティ対策をスムーズに実現。また、アナログな手法ではなく、無駄のない工数とリソースによる最適な運用を可能とする特徴によって、“形骸化しない情報セキュリティ体制”の構築を可能にしている。

「新卒で入社したセキュリティコンサルティング会社で、私は200社以上の企業様と接しましたが、実感したのはほとんどのクライアント企業に同じような提言をしていること。また、コンサルティング会社との契約期間が終了することで、セキュリティ対策に関してお客様自身での運用がスタートするわけですが、ほとんどのケースで形骸化してしまっていることも目にしてきました。その現状をより効率化したいという思いが、SaaS型のサービス提供が可能な『SecureNavi』のビジネスを生み出したんです」

そう語るのは、同社の設立者でありCEOの井崎友博氏。井崎氏によれば、企業におけるセキュリティ対策に関する提言は、端末のパスワード設定やデータバックアップ手法等の共通項目が多く、また問題が発生した際の対応マニュアルや管理台帳等も同様のものを提案することが多かったという。その現実を踏まえ、セキュリティ関連業務の効率化と認証取得をクラウドサービスとして展開する『SecureNavi』が誕生したのだ。

「『SecureNavi』のような、SaaSサービスとしての“セキュリティ・コンプライアンス・ソフトウェア”を手掛けている企業は、アメリカには多くのプレイヤーが事業展開していますが、日本国内にはまだほとんど存在していません。その意味では、当社の競合となるのはコンサルティング会社だけであり、日本のマーケットを切り開いているのが当社だと思っています。その存在価値が、多くのお客様にご支持いただける当社の強みです」（井崎氏）。

2020年1月の創業から4期目を迎えた同社では、SaaSビジネスにおけるARR（年間経常収益）が2億円を突破。前年比で約3倍の成長率でビジネスを加速させている中、今後の事業展開はどのような形で進められていくのか。井崎氏は、“セキュリティ・コンプライアンス”のマーケットを切り開く上での戦略を次のように語ってくれた。

「これまで、当社ではスタートアップ企業や中小企業を中心としたクライアントに対し、ISMS認証・Pマークの取得を支援しながら、自社事業を成長させてきました。セキュリティ対策を支援する『SecureNavi』は、業界・業種を問わないホリゾンタル（水平）なSaaSサービスと思われるかもしれませんが、ビジネスの拡大を目指す上ではバーティカルな、業界特化型の戦略が必要になります。金融業界には金融庁が、また医療業界であれば厚労省・経産省・法務省が、自動車業界は国内メーカーが共同で、といった様々なセキュリティガイドラインを制定しています。そこに対応しながら、業界ごとのセキュリティ規定を攻略していくというのが、当社の今後に関する考えです」（井崎氏）。

業界や業種、ビジネスの領域ごとに定められたセキュリティ規定に対し、個別に対応していくことを同社では考えているが、それぞれに専用のソフトウェアを機能開発するには膨大な工数・時間が必要となる。その課題を解決するために、同社がローンチしたのが『SecureNavi Pro』である。多様な業界ごとの規定や規格、ガイドラインに柔軟に対応し、複数の業界に向けたサービス提供を可能にするのがこのソリューションの最大の特徴であり、その特徴を武器として自社の事業をさらなる成長フェーズに乗せていくことが同社の今後の目標なのである。その環境でプロダクト開発に取り組むことの意義について、井崎氏は次のように語っている。

「日本国内に存在しない、開発する上で参考になるものがないプロダクトを手掛けるということは、純粋に“顧客ニーズにしっかりと向き合う”ことが必要になります。そうした仕事の進め方を実践できるメンバーを増やしていきたい。現状は10人にも満たない組織ですが、その規模を3倍、4倍に拡大したいというのが私達の考えで、そのための組織づくりはもちろん、育成体制の整備にも注力していきたいと思っています」（井崎氏）。

組織拡大を目指す中では、これまでセキュリティ関連のサービスに携わった経験が不足している人材であっても、同社が開拓を目指す“セキュリティ・コンプライアンス”というマーケットへの興味さえあれば積極的に採用していきたいと語る井崎氏。情報セキュリティという、今後の世の中で重要度を増す領域の知識を身に付けながらキャリアアップを図れることも、同社の環境にある一つの大きな魅力と言えるだろう。その環境に迎える人材に対し、求めることは何かという質問をしたところ、井崎氏は次のように答えてくれた。
「“悲報をなくす”という当社のビジョン、“TRUST TEAM”“HIGH PERFORMANCE”“HUMAN CENTRIC”というバリューに、まずは共感していただきたいですね。ビジョンである“悲報をなくす”については、情報セキュリティの分野に限らず、世の中のありとあらゆる悲しみをなくしたいという思いが込められていますので、その思いをご自身の言葉で表現できるようになっていただきたいと思っています」

壮大な企業ビジョン、そして情報セキュリティという領域でビジネスを展開する同社だが、その構成メンバーの特徴を聞いたところ「メンバーの人柄は“丸く”、優しい人しかいない」と井崎氏は答える。その柔らかい雰囲気が溢れる社風の中で、厳格な数値目標を設定し、日々の業務に意欲的に取り組んでいることが同社の特徴なのである。

「情報セキュリティ関連業務の経験者は少なく、堅さを感じない人柄のメンバーばかり、というのが当社の特徴。そのメンバー達がメリハリを付けて業務に取り組んでいます。また、ベンチャー企業ながら、ある意味で大人しいメンバーが多く、強い思いを持ちながらも持続可能な、ヘルシーな働き方をしているのも、当社のメンバーに共通している部分かもしれません」（井崎氏）。

大人しい働き方で健康的に働ける仲間と共に、未開のマーケットに価値を生み出すチャレンジを繰り返せる環境がある同社。その環境での経験を、人生の最高傑作にしてほしいと、井崎氏は願っている。

「将来的にご自身の人生を振り返った時に、当社での経験や成果が“世の中に価値を残せた最高の傑作だ”と思ってほしい。そのために最大限の支援はするつもりですし、共に世の中の悲報をなくすための取り組みに、ぜひチャレンジしていただきたいと思います」（井崎氏）。