株式会社SINC

2011年に起きた東日本大震災は、人々の防災意識を大きく変える出来事だった。そして、それは防災システムを構築する側にも大きな影響を与えたのだ。

株式会社SINCの主要メンバーは以前、別会社で地図をベースとした地理情報システムや防災情報システムの受託開発を手掛けていた。災害時に備えた安否確認のためのシステム開発なども行っていたが、想定をはるかに超える大震災を目の当たりにし、「この経験をシステム構築に生かす事で社会の役に立ちたい」と考えるようになり、スピンアウトするかたちで2012年11月にSINCを設立したという。

「社会を取り巻く環境の中には様々な『危機』が存在していて、その対策にはIT技術が大きな役割を果たしています。私たちはこうした危機を『解決すべき課題』と捉え、その対策に取り組むお客様を情報面から支援するようなシステム構築に力を入れていきます」（代表取締役・坂口聡氏）

設立以来、様々な防災系のシステム開発を手掛けているが、同社は主に公共系の防災システムの構築支援に軸足を置いている。

「仕様書に書かれたものだけを作って納めるのではなく、『こういう想定のもとで作るべきでは』『こういう抜けが考えられないか』といった感じで本当に必要なものが何なのかを掘り下げながらシステム構築することに力を入れています。納品前は十分にテストを行って、品質的に担保できるものを自信を持って送り出しています。設立から6年間、堅く、真面目にコツコツやってきた結果、有難いことにお客様からの信頼をベースに設立以来6年間連続黒字を達成しています。」

上流工程からテストまで数多くの実績を持つ開発力、IT化の支援からシステム開発全般に対応できるコンサルティング力、そしてノウハウを生かしてシステムやツール、フレームワークなどの製品として提供できる対応力で、信頼を築き上げてきたSINC。

そんな同社が、新たなステップへの一歩を踏み出した。

「SINCに頼めば、難しいシステムでもきちんと作ってくれる」そんな評判を得るまでになったことで、案件の数が増え、仕事の幅も広がりを見せている。一方で、現在の社内体制は創業メンバーを中心とする、まだまだ小さな組織だ。

「実は当社では、一度システム開発の現場を離れてしまったが、仕事に対する意欲のある優秀な主婦の方々にフレキシブルに働ける場を提供し、様々な案件を少人数で回しています。具体的には、お客様先に常駐する社員、社内のプロパー、サポートする主婦の方で構成したユニット体制で、お客様にソリューションを提供しているのです。今後は人員を増やしながら、こうしたユニットの数を増やし、業務拡大を目指していきたいと考えています」

もう1つ、新たな取り組みを計画している。これまでに培った地図情報などを活用した技術をAIと組み合わせる新規事業への挑戦だ。

「2年ほど前から、AIを使った深層学習と地図情報、画像認識を組み合わせた防災関連の新たな取り組みを始めました。いろいろと計画しているところなのですが、非常に応用範囲は広いと考えていますので、間違いなく面白いことができると思いますね」

既存事業を拡大させることで地道にコツコツと地盤を固め、一方でチャレンジングな利幅の取れる新規事業に踏み出す。「この2本柱を育てることで、次のステップを目指したい」と坂口氏は語る。

基本的に、同社が手掛ける案件は中・小規模のものが多く、3カ月から6カ月くらいのプロジェクトが中心となる。前述の通り、少人数のチームで開発に当たるがゆえに、上流から下流まで全てに携わることができ、ものづくりの最初から最後までを、自分で提案しながら進めていける環境だ。

「スタートアップですがイケイケな感じでは全くなく（笑）、堅実で職人的に間違いなく仕事を進めたい人の集まりですね。ですから、技術的なことをコツコツやっていきたい人や、こだわりながら新しいチャレンジをしたい人には適した職場ではないでしょうか。また、深層学習や画像認識といった最先端の技術を扱ってみたい方、そうした技術を使って製品やサービスを開発してみたい方にも、もってこいの環境だと思います」

社内教育等の制度面はまだまだこれからだが、「学びたい意欲を極的に応援します」と坂口氏。

「大事なことは、お客様との信頼づくりを大切にしながら仕事をするという、うちの方針に共感していただけること。そして、新規事業を含めた、新しいチャレンジを一緒に成し遂げたいと思っていただけることです。ぜひ一緒に次のフェーズを楽しみたいですね」

「防災」は人々の生活を支える、なくてはならない領域だ。事業の成長性や将来性はもとより、たくさんの人の役に立てる仕事をしながら、自身も成長できる環境にぜひチャレンジしてみてほしい。