代表取締役　滝口 秀典氏

ご略歴ついて、お教えください。

関西学院大学の社会学部を卒業後、機械の専門商社に就職し、営業職となりました。ルート営業でしたが、ダントツの業績を挙げました。古い業界ということもあり、3年ほど携わったところで面白くなくなったのです。2000年当時、デジタル化がすごい勢いで進展しており、自分も若者が活躍するIT業界で活躍したいと感じました。そして、26歳でプログラマーへの転身を決め、旅行券予約システムを手がけていたシステム開発会社に転職し、そこで1年ほど先輩からJavaを叩き込んでもらったのです。転身後2年9カ月で1000万円稼げるようになり、フリーになったほうが得だと考えて独立しました。それから月400時間ぐらい、すさまじく働きましたね。とはいえ、我がままを通させてもらい、できるだけ2～3カ月くらいの短いタームの、様々なジャンルの新規案件を選ぶようにしました。これらを凝縮的に経験することで、システム開発の土台ができたと思います。数十名規模のプロジェクト・マネジメントで苦労する経験もして、それを基にJavaの自動生成ツールを開発したことで、大きくステップアップできました。そして、大規模な開発プロジェクトにゼロから関わる経験を積むため、伊藤忠テクノソリューションズに入社し、8年ほどPMを務めました。

御社を起業した時の思いをお聞かせください。

最初は営業職だったわけですが、当時から経営者志向がありました。孫正義や稲盛和夫、松下幸之助、スティーブ・ジョブス、セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジといった尊敬する偉大な経営者の自伝や評伝を2000冊ほど読み、彼らは何を思って起業したのか、自分はどうなのか、考えを深めていきました。そして、「大手にいれば一生楽に生きていけるだろう。しかしそんな環境を捨ててまで起業するからには、全人生を賭け、大きな夢をしっかり追いかけよう」と思ったのです。本を読んで感じたのは、偉大な人と瞬間的な能力差はあっても、トータルの量はみんな同じではないかということ。ならば自分も稲盛さんや孫さんと同じことができるはずと思えたのです。たった一人でプロダクトをつくり、あれよあれよという間に時価総額世界5位まで駆け上がったザッカーバーグのように自分もなれるのではないか。いや、そうなりたいと思いました。 今、世界の時価総額ランキング上位には、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタといったアメリカのIT企業が多く、2兆ドルを超える企業もあります。一方で、日本企業の時価総額ランキングを見ると、IT企業はNTTデータが40位くらいで最上位。時価総額3兆円台です。なんでこのような差がつくのか。日本には、画期的なプロダクトをつくって世の中を変えていこうという経営者がいないからでしょう。今の時代、本来はIT業界が日本を牽引しなければいけないはずなのに、1社もありません。自分がそんな存在になりたい、と20代の当時から考えていました。実際に起業できたのは40歳手前と遅くなってしまいましたが、これからチャレンジしていきます。

滝口さんにとって“仕事”とは？

稲盛さんの受け売りですが、仕事とは人間性を高めるためにあると思います。「大欲は無欲に似たり」という言葉がありますが、大きな欲を持っている人は、私心がなく目の前の損得にソロバンを弾くようなことをしないので、無欲のように見えるという意味だと思います。稲盛さんも、最初から世界を見ていた。私もかくありたいと思っています。

社員に対して、どういった仕事生活を過ごしてほしいかという思いをお聞かせください。

ここだ、と決めたセグメントやレイヤーで日本一、世界一を目指してほしいと思います。No.1になれば、違う頂が見えるのだと思います。次はそこを目指し、次々に踏破していってほしい。自分は何のために生まれてきたのかを考え、自分には無限の可能性があると自覚し、強みのある分野で磨かれながら圧倒的な高みを目指す。それによる社会的価値を発揮してこそ、初めて有り余る時間やお金が得られるのだと思います。その順番を間違えないでほしいですね。

趣味や、オフタイムの過ごし方とは？

時間があれば、いろいろな経営者と飲む機会をつくるようにしています。自分にはかなわないセンスや営業力を持っている方々が多く、そこから吸収しようと努めています。自分はまだまだだな、と感じることが多く、いい勉強になっていますね。