代表取締役社長／CEO　木村有希氏

まず、ご経歴からお教えください。

大学は電気通信大学というバリバリの理系でしたが、なぜかデザインに興味を持ち、デザイナーになろうと卒業後に専門学校で勉強しました。そして制作プロダクションに就職し、5～6年デザインの仕事に携わりました。しかし、どこか発展性のなさを感じ、「このままではダメだ、これからはグローバルだ！英語でも勉強してステップアップしよう」と、カナダのトロントに行ったのです。そして1年ほど方々を旅行しながら、語学力をマスターすることに努めました。 帰国後、友人の紹介でアミューズメントグッズのメーカーに入社し、オリジナルキャラクターグッズの営業や商品づくりに1年ほど携わり、2010年に当社に転じました。 アートディレクターとして入社しましたが、そのうちに営業や統括責任者をやるようになり、2014年6月、社長に就任しました。 社長に就任する前の1年ぐらいは経営ボードの一員として全体を統括する仕事に取り組んでいたので、正式に任命された時は違和感もなくすんなり引き受けられました。また、自分一人では大きなこともできないと感じていたので、この機会に会社全体で何かやっていこうと前向きになれましたね。

では、社長としてどんな会社にしていきたいと考えていますか？

当社はこれまで受託業務を手がけてきているので、どちらかといえば受け身的な雰囲気になりがちです。もちろん、どんな仕事を受託してもそれなりのレベルのアウトプットを出せるという強みはあります。しかし、企画を自分の頭で考えて提案する機会を増やすなど、もっと能動的に取り組んでいけるようにしていきたいですね。 そのためには、社員のレベルを高めることが何より重要であると認識しています。その意味でも、いま準備している、自社オリジナルのWebサービスを提供する新規事業には期待しています。 私は創業社長と違い、カリスマ性などはないと考えています。ワントップではうまく回せないことも多いと思います。ですから、一緒に走ってくれる人が必要なのです。そのことを自覚して人づくり、組織づくりに取り組んでいきます。自分の持っていない部分を補ってくれる、自分より優れた方を採用したいと考えています。

社員をどういう存在にしていきたいのか、その思いをお聞かせください。

デザイナーとは、どちらかというと職人的な意識が強い職業だと思います。そこにこだわって作品の質を限りなく高めていく道もありますが、当社では、例えばデザイナーでありながらビジネスのことも考えられるような、マルチにこなしていける人材になってほしいと思っています。 つまり、一人ひとりが経営マインドを持って事業を広げていってもらえるような存在ですね。そんな集団となれば、他社との差別化もできると思います。 当社では、お客様の社内に入り込んでお客様の一員として仕事をするサテライトチームがありますが、彼らはダイレクトにお客様の評価や要望を受けるので、問題意識も意欲も高いのです。当社全員がそうした意識になれるよう、ローテーションを組んで経験させていきます。

木村さんの仕事観をお教えください。

仕事は稼ぐためにする、という考えがあります。ではなぜ稼ぐのかといえば、プライベートの生活を成立させるためです。創業者の前社長はアメリカでの生活が長かったこともあり、「仕事には“勘定”はあっても“感情”は入れるな」というのが口癖でした。仕事は仕事、プライベートはプライベートと割り切る、ということは当地では当たり前のことなのです。 私も同感です。仕事では社員にどれだけ厳しいことを言っても、社員の人格に言っているのではなく、あくまでも社員の仕事に対してのことであるという点でも同じです。仕事にはシビアに取り組む分、プライベートも思い切り充実させる。そのバランスが大事だということです。 当社も以前は長時間労働傾向がありましたが、2014年5月に現在のオフィスに移転後は大幅に減少しましたね。

そんな木村さんのプライベートタイムとは。

トロントで出会った妻との間に1歳半になる男の子がいるので、休日はもっぱら子どもと過ごしていますね。私も妻も両親がすぐ近くに住んでいるので、孫をよく託しています。どちらの両親も孫の顔を見ると喜ぶので、親孝行ができていると感じます。 これは私のプライベートの過ごし方ですが、社員にも、それぞれのプライベートの時間を大事にしてもらいたいと思っています。