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株式会社 サービシンクのインタビュー

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【受託事業部】Webプロデューサー 兼 ディレクター

株式会社 サービシンク 【数値根拠を元にした提案力と実装力】を武器に、大手不動産会社をクライアントに持つWeb制作・システム開発会社

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神戸出身。1996年から個人事業主として4人のユニットでWebサイトの制作業に関わる。

複数のWeb制作会社で経験を積んだ後、2010年に株式会社サービシンクを立ち上げ、不動産業界に特化したサイト制作のアートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わる。

著書に『Webブランディングの入門教科書』(マイナビ)、『変革期のウェブ』(マイナビ、共著)。

イエスマンにはならない。「本当に価値や意義があるか」を考え抜く

不動産デベロッパー、不動産ポータル、賃貸・売買仲介など、不動産業界を中心としたWebサイト制作、システム開発を手がける株式会社サービシンク。野村不動産、アットホームをはじめとする大手クライアントも獲得している。

信頼を得ている理由は、代表取締役・名村晋治が積み重ねてきたキャリア、そして制作に臨むスタンスにある。名村はWeb制作に21年、そのうち17年にわたって不動産サイトの制作に携わっており、不動産業界の仕組みや事情に精通。そして、言われたものをそのまま作るのではなく、「それは本当に意義があるのか」「顧客にとって、あるいはユーザーにとって価値があるのか」を考え抜くスタンスを貫いているのだ。

「仕事のオファーをくださったお客さまにも、遠慮なく言います。『僕と付き合うと面倒くさいですよ』と(笑)。先方が練りに練ったつもりのプランでも、『それはやめておいた方がいい』『利用者のメリットにならない』というものもある。もちろん、こちらから策を提案しますが、相手にも熟考を求めますから。その結果、価値や効果につながらないと思えば、どんなに報酬が高額でも引き受けません」

それで去って行った顧客もあるが、そんな名村に信頼を寄せる企業とは密な関係を築くことができている。クライアントとの定例会では、「こんなこと考えているんだけど、どうにかなりそう?」などと、ざっくりとした課題や相談を持ち掛けられることも多い。「こういうもの作りたい。あとはよろしく!」と1時間ばかりの説明を受けて、そのまま7000万円の受注につながったこともある。

「長いお付き合いのクライアントさんからは漠然とした投げられ方をすることもありますが、『サービシンクなら何とかしてくれる』という信頼の表れだとわかるので、素直にうれしいですね。当社は、単なるWeb制作会社ではなく、コンサルタント、シンクタンクのような役割を果たしていると自負しています」

Web業界は進化のスピードが速く、競合も激しい。今後はAI(人工知能)に仕事を奪われる時代がやってくる。そうした環境下で存在価値を持てなければ、居場所を失うことになるだろう。そうならないために身に付けるべきは「考え抜く力」だと、名村は言う。

人生の「重い決断」「感動体験」に関われるのがおもしろい

「人の言いなりにならない」という名村の性質は、幼いころからその片鱗を覗かせていたようだ。人に合わせて同じことをする必要はないと思っていた名村は、皆がチームを組んで野球を楽しむそばで、1人実況中継をしていた。部活は、卓球や陸上など個人プレーの競技を選んだ。毎日「やめてやる」と思うほどつらかったが、やめずに続けたことで自分の成長を実感できたという。

大学入学後、アニメや映画が好きだったことから「声優」の道を目指そうと考え、大学2年から養成所に通い始める。その一方で、大学の友人たちに誘われて呉服店のホームページ制作を引き受けることになった。

折しも、世の中はインターネット黎明期。ホームページを制作する企業が現れ始め、紹介に次ぐ紹介で依頼が増加したことから、法人化することが決まった。じゃんけんで代表に選出された名村は、自らの苗字をとって社名を「ネイムビレッジ」と命名。予期せぬ偶然から、今に続くWeb制作の道を歩み始めた。

大学卒業後、ネイムビレッジは解散したが、クライアントは数社残った。名村はWeb制作と声優という二足のわらじを履いて社会に出る。声優として映画の吹き替えなどの仕事をしたが、「30歳になっても声優だけで生活できていなければやめる」という父との約束を守り、Web一本に絞ることを決意。不動産サイトの制作を行うWeb制作会社で働き始め、計2社でWebの企画・制作スキルを磨くとともに不動産業界の知識を身に付けた。

2010年、独立してサービシンクを創業。それまでの10年間で培った不動産サイト制作の知識を活かそうと考えた。

「不動産業界には、昔ながらの悪しき習慣ともいえるグレーゾーンがあるんです。例えば、すでに契約が決まっている人気物件を広告に載せ、問い合わせしてきた人に別の物件を紹介するなど、情報を操作してだますような手法をとる業者もいます。そういうグレーな部分をどうにかしたかったんです」

そんな課題意識がある一方で、不動産情報を扱う仕事には大きなやりがいと喜びがあると、名村は言う。

「10万円のモノを買うのと、家賃10万円の部屋を契約するのでは、決断の重みが違うと思うんです。数千万、1億という住宅の購入ならなおさら。それに、家の住み替えの背景には、人生の一大イベントがあります。進学、就職、結婚、子どもの誕生……そんなワクワク感を伴う住み替え体験に関われるのが、この仕事のおもしろいところですね。住まいは、生活の基盤であり、嗜好品であり、趣味でもある。人生において大きなウェイトを占める部分に携われることにやりがいを感じているんです」

社名に込めた想いとそれを実践し続けた結果

サービシンクの社名は、「Service」と「Think」を掛け合わせた造語であり、「クライアントのために本当に価値あるサービスとは何かを徹底的に考え抜いて提案する」という同社の方針に由来する。

企業理念は、「アイデアをサービスに、サービスをユーザーに、ユーザーをハッピーに」。最初は「アイデアをサービスに、サービスをユーザーに」だけだったが、サービスは作っても、ユーザーをだましているに等しい仕掛けは作りたくないという思いから、最後の一文を追加した。

クライアントとエンドユーザー、双方の利益を考えて提案する姿勢と、施策を実現させる技術力・デザイン力が評価され、会社は順調に成長した。

場所や立場が人を育てる。社員が責任感を持って考える風土へ転換

ところが起業から5年が経ち、社員数18名規模に拡大した2015年、名村は「このままでは会社が潰れる」という危機感に襲われる。

売上が落ちていたわけではない。自分と社員たちの間に「ズレ」が生じていて、それが社内の空気を悪くしていることに気付いたのだ。

打開策を求めて、組織作りに関するビジネス書を読みあさり、先輩経営者に会いに行って相談した。そして、組織コンサルタントの導入も考え、10社以上を比較検討。そのうちの1社の理論・考え方に惹かれ、そのコンサル会社と契約して組織改革に取り組んだ。

「それまでの私は、社員のモチベーションを高めることばかり考えていました。働きやすい環境にしようと、お茶やお菓子を用意したり、残業を強制しなかったり、社員旅行に連れて行ったり。でも、それが、『気の向くままに仕事をしていてもいいんだ』という勘違いを生み出し、たるんだ空気を蔓延させてしまっていたんです」

まず行ったのは、「社内ルール」を設けること。それは、挨拶の仕方や掃除など「やればできる」簡単なものだ。社員から反発されるかと思ったが、意外にも受け入れられた。こうして最初の殻を破り、ルールを明確化することで秩序を守る組織へと変革していった。

さらには、トップから明確なミッションや指示を与える。スケジュール通りに進まないことによって生じる『コスト』を意識させる。評価の対象となるのは『過程』ではなく『結果』であることを伝える――そうした取り組みによって、メンバーが責任を自覚するようになり、結果、大きな成長を遂げているという。

名村は今、「自分でなければできない」と考えていた仕事を、社員たちにどんどん任せている。名村の姿勢を見てきた社員たちは、顧客の要望をうのみにせず、自分の頭で考えて本当に価値あるものを提供しようとしている。

「場所や立場が人を育てるんだな…と、今の社員たちを見ていて思います。手取り足取り教えれば優秀な人材が育つわけではない。会社から『こう成長してほしい』と言っても意味がない。ただ、『あなたが何をすれば、会社は評価するか』という明確な指標だけを提示します。それをもとに、自分がどう成長したいか、どんなキャリアを歩んでいきたいかをとことん自分で考えてほしい。そして『自分はこう成長したい』という答えが出たら、それを実現できるような経験のチャンスを会社から提供します」

今後のサービシンクを担う第二創業期の真っ只中の2017年

今後、同社は2020年を目途に50人体制をめざす。組織を拡大することによって会社に余裕を持たせ、顧客のためにより良いものを徹底して追及していくためだ。新たな収益の柱となる自社サービスを生み出すべく、アイデアを出しあうサークルを社内に新設し、「サービシンク総研」として活動も開始した。手を挙げたメンバーたちには「失敗しても構わないから、どんどん実験していい」と伝えている。

「最終的には、業界のグレーゾーンをすべてなくすことが目標。不動産業界そのものを変えていける会社をめざします」

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