アイキャット設立に参画したきっかけを教えてください。
大学院時代、子供の頃から経営者になりたいと思っていた私は、いくつかのビジネスプランを書いていました。しかし、学生が個人で裸一貫から出来る事業は、ヒューマンリソースやサービス業に限られます。これらの分野で新規性のある事業を始めて成功しても、大資本に参入されると勝てない。逆に大資本に食われない事業というのはそこまでの事業ということ。このままだと、スケールするようなビジネスは扱えないという壁にぶつかりました。 また、大学発のベンチャー企業が上場したなどといった話を聞く一方で、大学内に目を向けてみると優れた技術がほとんど世に出ていない。その状況に強い閉塞感を感じました。 さらに、既存の重厚長大な産業が閉塞し、新しい産業が生まれないという昨今の日本経済の窮状にテコ入れするという意味では大学発のベンチャーというのはひとつのキーワードだと思いました。 特に、最先端の研究をしている研究者でもほとんどが事業計画なんて書けません。日本経済を強くするためには、優れた研究者が協力者と共に事業化できるスキームを作っていくことが必要だと考えました。 自分自身の目標の達成、優れた研究成果を世に出すという大学の社会的使命の達成、そして日本経済への寄与などといった複数のメリットを感じ、ここに身を投じるべきではなかろうかと考え、TLOコーディネータとしてベンチャーの設立支援に携わるようになったのです。 その中で「こんな研究成果がある」と相談を持ちかけた十河と意気投合し、「この人とこの事業であれば」と大きな可能性を感じ、アイキャットを設立し現在に至っています。
今後のビジョンをお聞かせください。
まず国内トップシェアのLandmark Systemのポジションを不動のものとし、海外展開やサービス拡充を行います。 また歯科用CTをはじめとする画像診断機器のシェアを拡大するとともにそのラインナップの拡充を行います。 さらに個人輸入代行サービスを行っている海外先端医療機器の普及啓蒙を推進します。 それら3本柱となる事業の成長により、さらなる新規事業の立ち上げや海外展開、歯科業界以外の他領域への展開など多角化を推進することで株式上場を果たしたいと考えています。 日本の歯科業界は100年以上の歴史を持ちますが、産業構造が細分化されており未成熟な部分が多い業界です。だからこそIPOや海外進出などを経てグローバルな事業を展開すれば、将来的にリーディングカンパニーになる事も十分可能ではないかと考えています。
歯科業界やインプラント治療という分野は専門性が求められるのではないですか?
当社には、歯科医師1名、歯科技工士3名が在籍していますが、他は全員異業種から転職して来ました。彼らは皆、一から覚え、現在プロフェッショナルとして仕事をしています。 得手不得手より「好きこそものの上手なれ」が大事です。歯科業界にとらわれることなく、他の業界で良かったことや、まずいと思ったこと、そのような経験を、当社で発揮してほしい。それが従来の歯科業界にはなかった試みにつながって行くのです。 当社の仕事は患者さまの健康と密接に関わる仕事です。したがって責任感・使命感は必須です。しかし、それを重責と感じるより、大きなやりがいととらえ、主体的に考えて行動することが大事。そういった積極性や主体性、自律性を持つ人材であれば、存分に力が発揮できる仕事だと思います。 面接の際、「夢はありますか?」と聞くと大概の方は「まだありません」と答えます。それなら、当社で夢を見つけて、その夢を叶えて欲しい。それが願いです。