<strong>代表取締役 濱口政彦氏</strong>
昭和40年生まれ。高校を卒業後、システムエンジニアとして10年働き、その後家庭の事情でダンプトラックの運転手に転身。この会社でそれまでの経歴が認められ、経理や伝票処理の社内システムを組むことになった。その後、フリーランスのエンジニアとして独立。2001年に技術者仲間を集めて同社を立ち上げた。他のIT企業に比べて、特に教育面を重視されているようですね。
これにはIT技術者の雇用環境を取り巻く背景が関係しています。まず、2008年現在、就職事情が完全な売り手市場になっていること。この傾向は昨年あたりから顕著になってきていますが、当社では3,4年前からこの状況を予測していました。 技術革新のスピードが速いIT業界ですので、経験者を採用したいのですが、経験者のみに絞って募集をかけても思うような採用に至らない。いざ、このような状況に直面しても慌てないように、数年前から未経験者の採用を始め、エンジニアとしての教育を初歩のレベルから行うことにしたのです。 未経験者ばかりでなく、組織全体のスキル向上への取り組みも同時に対応すべく、05年には自社研修室の設置、ITSSの導入、各種講習会などを開催し、当社独自の人材システムの構築に乗り出しました。翌年にはさらなる教育制度の強化、拡充のため、SEC（エデュケーションセンター）やシステムラボを開設。 07年には社内にパソコンスクールを開講し、社員がいつでも何時間でも講習を受けることができるようにしました。 当社の考える教育とは技術に限りません。むしろ、社会人としてのマナー、コンプライアンスへの意識向上、個人情報に関する知識などヒューマンスキルを重視しています。教育には時間とお金がかかるため、他の企業があまり手をつけたがらない部分です。しかし、当社では社員一人ひとりのスキルアップが当社の品質の向上につながると考え、今後も引き続き教育面に力を入れていく考えでおります。
女性社員も多く、離職率も低いようですが、制度上で工夫されていることはありますか？
数年前から積極的に女性の採用を進めてきました。現在は社員の半数近くが女性社員です。IT業界には女性の技術者が少ないのですが、女性の持つ細やかな感性や物事に良く気がつく点などの資質を業務の随所に活かしていきたいと考えていました。 採用を進めると同時に会社全体の福利厚生などの制度を見直しました。そして、産休、育児休暇、介護休暇などを整えたのです。整備されて3年目になりますが、実際に育児休暇も活用されています。 女性が増えた結果、社内の雰囲気も良い意味で変わり、活性化しましたね。福利厚生という点では、アウトソーシングのベネフィット・ステーションを利用しています。各種サービスを優待価格で受けることができるのですが、こちらも活用されています。 このような取り組みから、社員の離職率も一桁台で落ち着いています。
日頃心がけていることはありますか？
いつも笑顔でいることです。最近はあまり言われなくなったので気をつけている部分でもあるのですが、以前は「社長はいつもにこにこしている」と社員から言われていました。いらいらしている様子が伝わると、それだけで社内の雰囲気が悪くなります。ですので、常に笑顔をたやさないことと、心に余裕を持つように気をつけているのです。 社員の数も創業当時から比べると大分増えました。以前は、社員から「濱ちゃん」などの愛称で呼ばれるほど近しい関係だったのですが、140人近くになりますと、例えば派遣社員など就業期間が短いこともあり、全社員と密な関係を保つことは至難の業です。それでも全員の顔と名前を覚えるようにしています。
今後の展望を教えてください。
今後は次の３つの展開を図り、さらに上のステージを目指して行きたいと考えています。 一つはお客様からの様々なニーズに応えるべく、ソフト開発のみならずネットワークやミドルウエア、データベースの設計、構築、システム管理、運用、インフラ構築などを行い、それぞれにマッチした知識と経験の豊富なエンジニアを提案すること。 二つ目はパッケージ製品の開発です。これまでのノウハウをいかしたコンテンツの開発と、経営支援システムの開発を行っていきたい。 三つ目はネット関連の事業の拡充ですね。現在もeラーニングのコンテンツ作成、販売などを行っておりますが、さらに教材の開発から販売、研修事業まで広げていきたいと考えています。 このためにも社員全体のスキル向上が不可欠です。3、4年前に未経験だった社員が育ってきていますし、戦力になっています。教育制度は常に内容を見直しながら続けていきたいです。
どのような方に応募してもらいたいですか？
必要なものはやる気。当社では社員のやる気を全面的にバックアップする体制で臨んでいますので、ご自身の能力を存分に伸ばし、活かせる場所があります。
