株式会社slanted

CGやVFXに関する企画・制作を事業として手掛け、国内有数のCG制作プロダクションとしての地位を確立している株式会社slanted。その対応フィールドは得意とする自動車のCG映像・フォト制作、テレビコマーシャル・ミュージックビデオやプロモーションムービーのCGおよびFX、ゲーム内映像まで幅広いものになっている。2022年5月に、ポストプロダクションのCG制作部署から独立し、ブランド名“slanted”を社名として設立された同社について、代表の一人である山内太氏に話を聞いた。

「slantedは、CG制作を専門とする人材が企業経営の舵取りをするという、私達の理想を形にする企業として設立しました。この組織で制作者としての視点から経営を捉えながら、事業拡大を目指した展開や制作体制の強化はもちろん、将来を見据えた新しい研究も積極的に行いながら、意欲的に挑戦していきたいと考えています。」（山内氏）

現在、CG制作の業界としては国内に数百社が存在している状況にあるが、そのほとんどがゲームやアニメといった領域を主軸としており、広告領域をメインとしている企業は数十社に留まっている状況にあるという。その中で同社は広告・ゲーム・アニメの分野でジャンルを問わない制作クオリティーの高さを有しており、高い評価を得ている。制作に関する企画段階から携わり、手法や技術的なアドバイスも実施できる同社には、センス・知見を生かした効率的な実制作が可能なプロダクションとして、多くの期待が寄せられているのである。

「“自動車CGと言えばslanted”、“高度な実写合成と言えばslanted”という具合に、これまでの実績によって業界内での当社のブランド力には競合優位性があります。また、収益を上げるための案件だけではなく、戦略案件としてのアート的な作品制作にも携わってきたことも知名度を上げる要因となるなど、小規模でありながらCMプロダクションの中で当社の存在は広く認知いただけていると思っています」（山内氏）。

広告領域の案件については、その約99%が一次請けとしての立場で制作に携わっていることも、同社が持つ大きな特徴の一つとなっている。発注元からダイレクトにオーダーを受ける立場で信頼関係を築き、プロデューサーや制作者と直接コミュニケーションを取りながら、提案しながらモノづくりができる。そんな強みも、同社の事業展開の原動力になっているのである。

これまでCM制作の領域でハイクオリティーな成果物を提供し、高い評価を得ながら業界内のメジャーな存在としての活動を続けてきた同社だが、今後はより幅広い領域への進出を目指しているという。そのための人員増強、そして社内インフラ整備や体制としてのパイプライン強化にも取り組み始めた同社の状況について、もう一人の代表である山藤氏は次のように語っている。

「slantedとしての業績は、順調に増収増益を続けていますが、ここ数年は受注のキャパシティが常に100%という状況にあります。また、広告という一つの領域に集中することのリスクを回避する意味合いも含め、今後はゲームやアニメ、映画や配信コンテンツへの業務展開も進めていく必要があります。そのために必要な課題に対応し、長期・大型の制作プロジェクトを積極的に受注していくために、slantedはこれまでCG制作の分野で経験を積まれた人材を、広く募集していきます。」（山藤氏）。

その評価の高さからCM制作に関する依頼が後を絶たない状況の中、より積極的な事業拡大を目指す同社では、中堅のリードアーティストを迎えて制作体制を強化し、その新たなる展開を本格化させたいと考えている。リアルタイムで展開するオンラインの展示イベント、VTuberのライブ配信アニメエフェクトといったジャンルでの取り組みのほか、実際にオーダーも寄せられている動画配信サービスでのコンテンツ制作にも注力する同社。その事業展開の中で必要となるのは、どのような人材なのだろうか。

「業界的には、制作ジャンルごとの分業が進んでいると思いますが、現在当社が必要としているのは数名で一つの制作案件を完遂できる、フレキシブルな対応が可能なCGアーティストです。もちろん、今後案件が大型化するにしたがって当社でも分業スタイルを採ることもありますが、一つの分野での専門性を有しながら幅広い知見を持っている、いわゆる“ジェネラリスト”をお迎えしたいと考えています」（山藤氏）。

今回同社が募集するのは、各アーティストを束ねて案件全体をまとめるCGディレクター、そして表現のために必要な技術・ツールを生み出すテクニカルディレクター、若手を牽引できる中堅的なリードCGアーティストという人材。その人材達に関しては、デザインやライティング、エフェクトといった得意分野を伸ばしながらプロジェクト全体を意識した動きを期待していると山藤氏は語っている。そういうアーティストこそが、より事業の幅を広げる同社において、ブランド力を発揮しながら質の高い成果を生み出せるということだろう。

業界内での高い評価、そしてその評価がもたらすブランド力と案件の充実、そしてより幅広いフィールドへの事業拡大を目指す展開コンセプト等、同社の環境には様々な魅力があると言える。山内氏は、アーティストが業務に取り組む上での社内環境にも、大きな魅力があると語っている。

「使用している機材の充実という面も、当社の大きな特徴だと思っています。全員が48コアのXEONマシンを使い、社内には高速ファイルサーバーが25GbEの光ファイバー回線でネットワークされています。もちろん、そうした機材を導入しているプロダクションも存在しますが、メンバー全員がそれを利用できるというケースは多くないと思います。全てのアーティストが最高の機材を使い、最高の環境で効率良く制作に取り組める。それも当社の魅力なのではないでしょうか」（山内氏）

クオリティーを追求する業務を担う上では、作業上のトライ数を増やすこと、そして作業効率を上げることがクオリティーに直結する。充実した機材やインフラ環境は、同社のCGアーティスト達が意欲的に、やりがいを感じながら業務に取り組める一つの要因となっていることは間違いないだろう。山藤氏は、社内で働くメンバー達の様子について次のように語っている。

「slantedには、依頼されたCG制作だけを行うのではなく、演出内容から撮影のコンディションまで考慮して最善の結果になるような意見を発信する社風があります。演出に近い役割を担える当社の業務は、CMに限らずどのジャンルの制作に関しても、メンバー達が最大限に“楽しんでいる“という印象があります。そして、中心的な役割を担うことで企画にも携わり、また成果物の仕上がりを見据えながら撮影現場で意見を出すといったケースもあります。デスクワークだけではない、制作の全てに触れられる当社の業務では、大きな刺激を受けながら学びを得ることもできると思っています」（山藤氏）。

それぞれが専門性を持ち、高いレベルの成果物を発信するための仕事を“楽しめる”。そんな文化を持つ同社にこれから参画する人材達に、山内氏は次のようなメッセージを送っている。

「CG制作を担う私達の取り組みは、ある一面では“客商売”という意味合いがあります。何が求められているかを正しく理解し、発注者が満足できるアウトプットを追求する。それこそが私達の役割です。そのために、常にアンテナを張って様々なリサーチを行うことを怠らず、表現の引き出しを更新しなければなりません。そんな私達の考えに共感し、今後の拡大を目指す事業展開の中で“楽しめる”方に、是非来ていただきたいと思っています」（山内氏）。