インターネットを通じたサブスクリプションサービスや映画・アニメ・CM制作会社等を支えるパッケージソフトウェアメーカー
株式会社ディータイドは、基幹業務管理系パッケージソフトウェア製品の企画、設計、開発から販売、保守に至るまで一貫したサービスを提供するシステム開発会社。2012年の設立以来、真摯にシステム開発に取り組み、一度も赤字を計上することなく着実に歩みを進めてきた。企業の財務状況を示す指標である帝国データバンクの「評点」において「Cランク51点」と上位25%以内に入るほど安定した経営基盤を構築している。
同社製品・サービスの特徴は、物品の販売ではなくサービスの提供や作品制作をメインに行っている企業をターゲットとしていることにある。そして、インターネット等で月額・年額でサービスを提供するサブスクリプションサービスにも完全対応。
具体的には、自社製パッケージソフトウェアの債権債務管理システム『Ally(アライ)』、プロジェクト収支管理システム『Rebo(レボ)』を核に、パッケージソフトウェアをキメ細かくカスタマイズして顧客の多種多様な要望に応えている。
そのため、顧客には一般的に良く知られているアニメ制作会社、映画製作会社をはじめ、大手芸能プロダクションやアーティストのコンサート制作会社、情報提供サービス会社、公益法人等が並ぶ。
「これまで、当社は特殊な業界・業種に対応してきました。パッケージソフトウェアをカスタマイズするのは、顧客が、それぞれの業務に応じた特別なニーズを持っているからです。そのため、請求書の書式を聞くといった簡単なレベルの話ではなく、会計科目に何を使っているか、決算処理をどうしているか等といったことを的確にヒアリングし、理解することから開発をスタートさせる必要があります」(代表取締役 中川享氏)。
開発に手間がかかることもあり、アニメや芸能関連、サブスクリプションサービスを取り扱う企業のビジネスに細かく対応し、特殊な会計処理を可能にするパッケージソフトウェアはほとんど存在していなかった。このニーズに応えた同社は、ある意味、“一人勝ち”を続けてきたことになる。
「当社の事業ポイントはパッケージソフトウェアをそのまま売るのではなく、顧客の業態や特殊なニーズに合わせて個別に的確にカスタマイズしていくことにあります。ニッチで小さい世界ともいえますが、メーカーとして信用していただき、成長し続けてこられたのは、このような背景があったからです」(中川氏)。
成長業種の追い風に乗って新たな事業を開発。次なる成長へ繋げていく
ディータイドは、2012年大手基幹業務系パッケージのカスタマイズ事業を手がけた一部署がスピンアウトする形で設立された。この際、顧客の業務をストップさせないため、顧客サポートと新たな会計パッケージソフトウェア開発プロジェクトを引き継いでいる。この時に得た知識が、特殊な業種を対象にしたサブスクリプションサービスに対応するパッケージソフトウェアの企画に繋がった。また、起業当初から会計処理の知識や経験が豊富だったことも強みとなっている。
同社設立当時、「サブスクリプション」という語は一般的ではなかった。それがインターネット、スマートフォンの一般化により2010年代に大きな広がりを見せ、2019年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされて、一般に認知されたことやコロナ禍もあり利用者が増加。サブスクリプションサービスは成長業種となり、先行優位性を持つ同社の追い風となっている。同社への問い合わせも急増中だ。
「個別ニーズを的確に捉えてシステム開発をする形をとると、決まったソフトウェアを作り、売るのとは違い、社員にはコンサルタント的な能力が必要になってきます。また、どうしても100社あれば100通り、お客様自身の考え方も異なります。今の体制のままで事業を広げていくのは、それなりに難しさがあると認識していました」(中川氏)。
同社は現在、公益法人等を対象にした新規事業の開発を進めている。これまで自社では展開していなかったサブスクリプションサービスを開始する形だ。これは継続的なプロジェクトを進行させることで、新規採用者のスキルアップに繋げる狙いもある。
「これまでは、今いるメンバーでできる範疇で取れる数字でやることを重視し、規模を追求するのではなく強い会社を作る方針でした。しかし、少し姿勢を改めて新規サービスに取り組んで、顧客との関係、ソフトウェア、そして新たに人を採用して、じっくり育てていこうと考えています」(中川氏)。
ニッチな世界で勝負をしたことで、同社は着実に成長し強い会社となったが、同時にその特殊さ故に社員を育てるのが難しいという課題を抱えることになっていた。そこで、同社への追い風を活かす形でサブスクリプション型の新規事業を開発し、次なる成長を創造しようとしているのだ。
あらゆる工程が体験できて短期間で成長できる仕事。将来の起業を目指す人にも
ディータイドの社員は現在5名。小さい組織で、一人が多くの役割を担っている。そのため、社員はシステム開発についても、要件定義等の最上流工程から運用等の下流工程まで全て関わることができる。提案内容等、自分の考え次第でプロジェクトをコントロールできるのが醍醐味だ。
顧客とのコミュニケーションも重要な業務の一つ。先に述べたように、同社のメインターゲットはサービス提供をメインに行っている企業。独自のサービスを展開していることが多く、顧客のビジネスモデルや関連する世の中の“お金の動き”を目のあたりにすることができるのも仕事の魅力となっている。
「私は1から最後まで全ての工程を見られるのが面白いと思い、当社に参画することを決意しました。やってみて仕事として楽しいと感じられます」(システム 國見智一氏)。
一人の社員が多くの役割を担うこともあり、同社では教育には力を入れている。基礎となる簿記等の資格は会社が取得を支援。他にも外部での勉強会、セミナー等の学びには積極的に参加することを推奨している。社内では、基本的にマンツーマンのOJTスタイルで学ぶ形になる。パッケージソフトウェアの機能については、顧客に教えるカリキュラムが存在するため、それを利用して身に付けていく。
「何年後かに起業したい方は、当社で必要な経験を積むことができます。技術を身に付けて起業し、当社と協力して何かをすることも選択肢の一つです。11年目を迎えるにあたり、私達は新しい事業をスタートさせました。新しい方に入っていただいて、聞く耳を持って事業を広げていきたいと考えています。一緒にチャレンジをして想定以上のものが作れたら嬉しいですね。私達はこれまで、ほぼ同じメンバー、体制でやってきているので凝り固まってしまい、硬直している可能性があります。ですから、実は新しい方に私達が試されていているのかもしれません。私達も成長のきっかけにしたいと考えています。意見を交換することで、さらに新しいソフトウェアができたら嬉しいと思っています。やりたいことがあって、自分一人では実現が難しいと感じている方、私達の考え方や持っているものでそれが実現できそうだと感じられたら、是非声を掛けてください。できることの幅は広いと自負しています」(中川氏)。