株式会社そばに

右肩上がりで成長を続ける、日本のeコマース（EC）市場。特に昨今はコロナ禍による「巣ごもり」需要も相まって、さらなる発展を遂げることが予測されている。

しかし、全ての商取引金額に対する電子商取引の割合「EC化率」を見ると8％程度でしかない（2021年度）。これは諸外国と比べて半分程度の低い数値であり、特にEC化が進む中国が約50％程度まで伸張しているのと比べると、かなり遅れていると言わざるを得ない。

そんな状況を変えるべく、活動しているベンチャーがある。大阪に本拠を置く「株式会社そばに」だ。

「日本には、優れた技術がたくさんあり、優れた製品があふれています。中小企業であっても、志高くすばらしい製品を作っているところが多くあります。しかし、伸ばす余地も大きく、上手に販売することでさらに業績を伸ばせるのに、ともどかしく思えることもしばしばです。私たちは、ECを活用してビジネスを成長させるお手伝いをしています」（CEO 佐藤秀平氏）

同社では、数あるECプラットフォームの中でも、売上の大きい「Amazon」に特化したサービスを提供している。コンサルティングはもちろん、アカウント運用代行、広告運用代行、商品のカタログ画像やページの作成、さらには海外のAmazonで製品を販売するための越境支援まで幅広く対応。これに加えて、SNS等を活用したブランディング支援など、単にAmazonで売上を上げるだけでなく、将来を見据えた自社ブランド作りまでサポートしている。

「なぜAmazonに特化したのかというと、Amazonが一番スピード感を持ってビジネスができることと、"下剋上"を起こしやすい仕組みがあることです。広告費を積みさえすればモノが売れる、というわけではないのがAmazonという環境。つまり、小規模でも戦いようがあるのです。アルゴリズムの変化を敏感に察知し、アメリカにおける先行事例を研究しながら『どうすればAmazonで売れるのか』を追求するためには、当社のようなAmazon専業コンサルが有利なのです」（佐藤氏）

佐藤氏は、もともと学生時代に起業し、自らもAmazonをはじめとするECに取り組んできた経験がある。その後就職しコンサルタントとしての経験を積んだ後に再独立し、現在に至っている。実は「そばに」で働く他のメンバーにも、Amazonを活用しセラーとしてECに取り組んできた者が多い。皆、机上の論理ではなく自分事として取り組んできた「経験」を持っているのだ。これは、他のEC支援会社にはない大きな特徴だろう。

「私たちは、コンサルティング分野において、西日本で唯一のAmazon公式セリングパートナーです。Amazonとも連携してセミナーを実施することもあります。全国規模で見ても、Amazon専業のコンサルは少なく、それだけでもかなりの差別化ができています」（佐藤氏）

同社の累計クライアントは600社を超え、その平均売上は月額500万円にもなる。中には、CMでも見かける超有名企業から、1億円規模の月商をたたき出す企業もあるなど、中小企業のクライアントが多いことを考えればかなりのものだ。

そんな「そばに」が見据える将来像。一般にベンチャーは"IPO"をひとつの目標として据えていることが多いが、佐藤氏の考えは違った。

「どこかと組んでビジネスをするだとか、IPOして広く資金を集めようとかには、メリットをあまり感じません。私たちは『自分で稼ぐ方法』を知っていますから」（佐藤氏）

佐藤氏が目指すのは、2つの面での成長だ。
ひとつは「人材の育成」。今後も確実な成長が見込めるEC市場にあって、良いモノを作っているメーカーを応援するためにも、多くの有用な人材が必要。会社として、仕組みとして、フリーランスとして一人で食べていけるようなプロフェッショナルを育成することを目指す。そして、育てた人材を活かして、もうひとつの「会社の成長」を図る、という考えだ。

「今でも、当社クライアントの『成功率』は9割。ほとんどが売上をアップさせています。この率をさらに高めながら、ビジネスの間口を広げ、クライアントの輪も広げていきたい。そのためには、優秀な人材がもっと必要です。

さらに言えば、Amazonでの成功にコミットするだけではなく、その後自社ECでも売れるようなブランド育成にもコミットしていきたい。言わば、上位レイヤーへの挑戦です。単にソリューションを提供するだけではなく、クライアントのEC全般をサポートできる能力を持ったメンバーを増やしたいと考えています」（佐藤氏）

では「そばに」にフィットする人材とは、どのような人物なのだろうか。佐藤氏は「私が求めるのは、たったひとつです」と語る。

「それは、“モチベーション”という概念のない人です。常に100％、プロとしてパフォーマンスを出せる人。そういう方でないと、結果は出せないと思います」（佐藤氏）

なるほど、モチベーションに左右されるような仕事ぶりでは困る、ということか。実際、ベンチャーである同社で活躍するためには、ビジネスにおいて自走できる人でないと厳しいだろう。一方で、自分の数字だけにコミットするようなタイプでもNGだと、佐藤氏は言う。

「瞬間的に売るだけではなく、ビジネスとしての継続も重要です。私たちは常に思いやりを持って、チームワークでクライアントに向き合っています。クライアントの事業を拡大するお手伝いをしながら、自らも“稼ぐ力”を身につけていってほしいですね」（佐藤氏）

最後に、働く場としての「そばに」をチェックしていくことにしよう。
ベンチャーらしく成果報酬を軸とした給与体系があるのはもちろんだが、雇用形態も相談の上柔軟に対応できる。それこそ、フルコミッションで売上のパーセンテージをもらうような形でもOKだ。本社オフィスはコワーキングスペースを兼ねていて、日々の働き方も自由度が高い。

「前向きな提案であって、会社にプラスになることならどんどん取り入れますし、予算も付けます。会社に求めることがあれば、いっしょに考えながら制度なども作っていきたいですね。それに当社は、コミュニケーションを大事にするカルチャーがあります。リモート流行りの時代ですが、顔を合わせてやることのメリットもあると思っています。

また、ベンチャーではありますが、個人プレーばかりではありません。個々のメンバーと幹部が向きあい、それぞれの課題について話す機会もたくさんあります。チームワークを重視し、仲間とともに、伴走しながら個人の夢を叶えられるようにする。それが『そばに』のスタイルです」（佐藤氏）

現状のEC業界では「想いのないモノ」ばかりが売りやすい傾向にあるという。そんな中で「想いのある人」が作った「良いモノ」をもっと広く届けられるようにしたい。売り方がわからない人たちの手助けをしたい。それが「そばに」の想いだ。

「実は、現在7～8割の引き合いはお断りしています。私たちのやり方をただ当てはめるようなことはしたくないからです。それに、当社がお手伝いするより他にいい方法がある場合もありますからね。私たちとともに、想いを持ったメーカーを支援する仕事、そしてベンチャーならではの『組織全体に携わる経験』がしたい方は、ぜひ一度話を聞きに来てください」（佐藤氏）