「スポーツ」の経験をビジネスに活かした企業を設立し成長を目指す
スポーツプラットフォームの運営、そしてウェルネスブランド『TENTIAL』の展開という2つの事業を軸に、2018年2月に設立された株式会社TENTIAL。創業者である代表取締役CEOの中西裕太郎氏は、「スポーツ」の領域にこだわった事業を展開する自社の設立経緯について次のように語る。
「もともとサッカー少年だった私は、高校生になる際にサッカーの強豪校に進学。自分自身も全国大会を経験して、高校卒業後もプロのサッカー選手や大学進学といった道を考えていたのですが、進路を決める高校3年生の夏の時期に心疾患が見つかって入院することになり、サッカーを続けられない状況になってしまいました。自分のエネルギーをどこに向けていいのかわからなくなった時期もあったのですが、その際に出会ったのがプログラミングという仕事であり、ビジネスやITといった世界だったんです」。
高校生の頃の自分を振り返り「サッカーのことしか考えていなかった」と笑う中西氏だが、病気によって挫折を経験した後に、自身の進む新たな道としてITの世界を選択。その領域で一定のキャリアを積んだ後に、プログラミング教育に取り組むベンチャー企業の創業に参画した。可能性やポテンシャルがありながら能力を発揮する機会に恵まれない人々に対し、プログラミングという仕事で手に職をつけることで人生の選択肢が広がることを、自身の経験を通して伝えたい。そんな思いがあったと、中西氏は当時を振り返る。そのベンチャー企業で約4年間、責任者としての立場で教育に携わった中西氏は、より大きな規模で人々の人生に影響を与えたいという考えを持つようになり、そこから起業を志すようになったという。
「起業のアイデアとしては、当初から私のバックグラウンドである「スポーツ」に関することを考えていました。同時に、そのアイデアを形にするためには、ビジネスを成立させる戦略を学ばなければいけないとも考えていたのですが、同時期にたまたまリクルートでの新規事業開発業務を経験する機会を得ました。そこで“自分に足りないピース”を得たのち、満を持してスポーツ関連ビジネスを手掛ける同社を設立することになったんです」。(中西氏)
設立時のメイン事業として、同社ではスポーツウェルネスメディア『SPOSHIRU』の企画・運営を開始した。当初は「事業として伸びているか不安な時期もあった」と中西氏は語るが、着実なユーザー数増の結果、投資家やファイナンスからの資金調達も実現。そして、日本国内での大規模スポーツイベントなど、スポーツビジネスにとっての追い風にも恵まれながら、同社の事業は成長していったのである。
多くの人々の健康増進をサポートし、ポテンシャルを引き出す事業
現在の同社の事業は、『SPOSHIRU』の運営に加え、D2C(Direct to Consumer)の形態による自社ブランド『TENTIAL』の製品販売という2つの領域で展開されている。自社で製品を製造・販売するD2C事業に関しては、最初に手掛けたのは靴の中敷きであるインソールというニッチな商材だったが、発売開始から半年で販売施策が軌道に乗り、実績を上げながら事業としての成長を果たしている。インソールの後も、通気性の高いマスクの開発・販売を開始し、こちらも当初の予想を上回るヒット商材となっていると中西氏は語る。
「D2C事業のもともとのテーマは“スポーツを通じた健康増進”というものでした。そのテーマのもと、スポーツで使われていたギアを一般生活者向けに作り変える、スポーツに有効な機能を健康のための機能として作り変える、というイメージで商材を開発しています。インソールもそうでしたが、ソックスやサポーターなど、健康に対して機能性のある商品を開発して、身体のコンディショニングに役立てる、また日々の活動の生産性を上げるというアプローチで事業を展開しています」。(中西氏)
健康増進というテーマから、同社では当初、働き盛りの年代であるユーザーをメインターゲットとしてイメージしていたが、実際は身体のケアに意識が高まる40代以上のユーザーからのニーズも高かったと中西氏は説明する。今後の事業展開に関するキーポイントは、そうした幅広い年齢層のユーザーに商材の魅力を伝え、健康増進に役立つ商品を効率よくユーザーに購買してもらう、という部分にある。モノづくりの技術に加え、伝える技術、ECサイトでの販売促進に関する技術を発展させることが今後の課題というのが、中西氏の考えだ。そんな同社の環境において、エンジニアが果たす役割は非常に大きいと言える。
「製造を担うメンバーと連携しながら、いかにWebを通じて届けるか、いかにユーザーの方々に買ってもらうか、買いやすくできるか、というところが今後の1つのテーマであり、そこでエンジニアの力が重要になるわけです。現在、スタートアップやベンチャー企業がさまざまなサービスを手掛けている中で、私たちの強みは健康や社会に直結するプロダクトを作っているところにあります。目に見える商品で“健康増進によって医療費を削減する”“身体の不調改善で働く人々の前向きな気持ちをサポートする”など、本当に社会を動かしているような手触りが感じられることは、チャレンジするよろこびになると思います」。(中西氏)
ミッションに共感し、正当な評価の中で高い意欲で業務に取り組める環境
現在は約10名のスタッフで事業を運営する体制となっている同社だが、メンバーのほとんどがスポーツ経験者であり、スポーツや健康に興味関心があるという素養が共通点となっている。そのカルチャーは今後も大切にしていきたいというのが、中西氏の思いだ。
「メンバーの多くがスポーツに熱中しながらも挫折を経験していて、その挫折を糧に前向きに仕事に取り組んでいるというのが当社の特徴だと思います。自分はもっとできるのに…、という思いを持っている方々が前向きになるサポートをする、世の中の人が持つポテンシャルを引き上げるというのが当社の掲げる目標。人々の可能性を最大化させるためのきっかけを提供することが、私たちのミッションだと考えているんです」。(中西氏)
同社が必要としているのは、そうした思いに共感し、チャレンジを続ける姿勢を持つ人材である。そういった人材が高い意欲を維持し、自ら前向きに仕事に取り組める環境づくりにも積極的に動いていると、中西氏は語る。同社の社内制度である「テンシャライズ」という評価制度もその1つであり、自社のカルチャーや行動指針を強く体現しているメンバーを正当に評価し、給与やインセンティブにその評価を反映する内容となっている。
「この制度の評価基準は可視化されているので納得感もありますし、属人的ではない手法で正当に評価できるということもポイントになっていると思います。業務の成果に対しては、相対評価ではなく絶対評価で判断する必要があると私は考えていますし、その運営手法があるからこそエンジニアが高い意識で取り組みを続けられるのだと思います」。(中西氏)
メンバー共通の目標を設定し、これから成長を果たすために前進を続ける同社には、エンジニアが主体的に物事に取り組む文化がある。また、自らの裁量で機能改善に積極的に取り組み、サービスの一部分ではなく全体を俯瞰しながらビジネスを開発できる面白味もそこに見いだせるはずだ。
「面接では、ぜひご自身がやりたいことを、ご自身の言葉で語っていただきたいと思っています。まだまだ規模が小さい企業ですので、細かなフォローが難しい面もあるかもしれませんが、その環境の中で自ら考え、能動的に動きながら世の中に価値を生み出す仕事にチャレンジしてみてほしいと思います」。(中西氏)