株式会社エナスピレーション

株式会社エナスピレーションは、差し込み式の鍵を必要としないスマートロック・電気錠・ロッカー錠の企画・開発・販売を行う企業だ。大がかりな配線工事を必要としないスマートロックから様々な要望に応える法人向けの電気錠まで、多様な製品ラインナップときめ細かいソリューション提供が強みだ。

解錠の手段はICカードタイプや暗証番号、顔認証、指紋認証、スマートフォン使用等、非常に多彩だ。直近では、わずか0.18秒で顔認証が可能な電子錠用顔認証リーダーの発売も開始。接触不要なため、衛生面に考慮した運用が可能で注目が集まる。IoTやスマートハウスへの関心、セキュリティ意識の高まりを背景に問い合わせが急増中だという。拡大期へ向けて一気にアクセルを踏み込み、市場のトップランナーを目指す。

これまで日本ではあまり普及してこなかった電子錠だが、韓国では多くの家庭が取り付けている。創業者であり代表取締役を務める富井宏樹氏は、会社員だった頃、隣国で流行する電子錠に着目した。好奇心旺盛な富井氏は、早速取り寄せて使ってみたところ、鍵を持たずに外出できる便利さを実感したという。便利で安価な電子錠を日本でも広げたい。そんな思いから韓国の電子錠を個人輸入して販売を開始したのが、同社の始まりだ。

小規模で始めた事業だったが、売上は右肩上がりとなり、創業から6年後の2016年には正社員を雇用し展開を本格化。開発研究を重ねて自社製品を発表し、全国800店以上という販売網を作り上げた。配線工事不要で幅広い扉に取り付け可能なスマートロック『EPIC』をはじめ、法人向けに特化した耐久性の高い電気錠『Lavish』、ロッカー錠『Guub』と領域を広げ、電気錠・電子錠のプロフェッショナルカンパニーとしての地位を確立したのだ。

同社の製品群は、前述の通り3種類に大別できる。創業当初から取り扱うスマートロック『EPIC』、数千人規模の大企業向けの電気錠『Lavish』、ロッカー用に特化した『Guub』だ。

『EPIC』は配線工事が不要で様々なタイプの扉に取り付け可能なため、一般家庭からホテル、民宿等、幅広く活用されている。Bluetoothを搭載した機種は、スマートフォンアプリからの施錠解錠と、アプリの立ち上げ不要なスマートオープン機能が特徴。スマートフォンさえ持っていれば、自動検知して近づくだけで解錠される便利さが評判だ。また、スマホからスマホへ鍵を送るアプリの機能を使えば、家事代行や工事会社等を頼んだ場合、業者に物理的な鍵を渡すことなく対応してもらえる。解錠通知や操作履歴管理機能もあり、セキュリティに優れた製品となっている。シェアオフィスや民泊の運営等にも対応可能だ。

『Lavish』は配線工事を行う電気錠で、耐久性に優れている。ICカード対応や指紋・顔認証、スマホ利用等、多種多様な解錠方法を用意しているため、堅固なセキュリティを必要とする自治体施設や法人への導入が多いという。

富井氏は「2019年は中国で電気錠の顔認証が拡大しました。日本は2020年が顔認証元年となるでしょう。安価な海外製品の流入が考えられますが、価格勝負ではなく、あくまでもシステム面の独自性で勝負します」と意気込みを語る。2020年4月にはわずか0.18秒で顔認証が可能な電子錠用顔認証リーダー『FACEWAY』を発表している。

商品開発は、顧客からの要望をヒアリングした営業メンバーからのフィードバックと市場のニーズを考え併せて行い、市場への投入スピードに自信を持つ。複数の解錠方法を組み合わせたり、機能追加を行ったりと柔軟な対応も可能だ。営業と開発部門の密な連携と、要件定義から保守管理まで社内一貫体制を敷く同社だからこそなせる業だ。近年ではスマートホームへの関心の高まりを背景に、連携したいとの要望が他社から多く寄せられている。そのため、今秋をめどにAPIを公開する予定だ。

開発力、多種多様な製品群、きめ細かなソリューション提供と、他社が一朝一夕では持ちえない優位性を持つ。市場ニーズが高まる今、波に一気に乗りさらなる成長を遂げる姿は想像に難くない。

メーカーとしての魅力を伝えてきたが、職場としてもアピールポイントは多い。複数の社員にインタビューを行ったところ「社員が皆優しい」、「ギスギスした雰囲気がなく明るい」、「残業が全くなくて働きやすい」と口々に言う。

どのようにして良い職場環境を作り出したのだろうか？富井氏に尋ねると、「そこまで意識していないというのが正直なところですが、指示や命令はしません。いちいち注意したくないですし、怒るのもイヤですね。先生のように指導する立場になりたくないです。メンバー自らで考え進んでいってほしいので、個人の裁量に任せています」という答えが返ってきた。

「短所は直せないけれど、長所はどんどん伸ばせます。長所を活かすポジションの判断、適材適所の配置が社長の仕事です」と話す。社員の自主性と個性を重んじて、互いに尊重する関係性を何よりも大切にしているのだ。

富井氏の座右の銘は“人事を尽くして天命を待つ”で、社訓として社員にも伝えている。やるだけやれば、結果はついてくる。そう信じて成長に向け、チャレンジするのみ。この考えを胸に人一倍学びチャレンジする富井氏の姿を見て、自然と主体性ある組織になったのだろう。多くを語らずして行動で示すリーダーである。

他にも、残業なしというのは本当なのか？と少し意地悪く質問したところ、「本当に全くないです。残業禁止なので遅くても30分後には誰もいません」ときっぱり。

「社員には趣味を楽しんだり、勉強したり、家族との時間をゆっくり持ったりしてほしい。私もやりたいことが多いので、早く帰りたいです」と笑う。

社内の雰囲気が明るく、コミュニケーションが活発なため、情報共有と意見交換がスムーズ。これが仕事の進捗に良い影響を及ぼしているのは間違いない。一方で和気あいあいとしながらも、残業できないだけに集中して進めるメリハリ感がある。営業管理システムの導入を進めていて、今以上に効率良く仕事を進めることが可能になるだろう。

富井氏は「社風に合う・合わないはあると思いますが、うちのメンバーは皆優しくて、仲間はずれ等ありません。楽しく前向きな人ばかりです。入社してくれた社員とは、ずっと一緒に働きたいと思っています。気になったら、どうぞ一度見に来てください」と温かなメッセージを寄せてくれた。

将来性、製品力と共に、職場環境や人間関係の良さ等、どこかに関心を持ったならば、是非気軽に問い合わせてほしい。