介護施設入居者の行動や健康状態が24時間365日確認できる『ライフリズムナビ+Dr.』。少子高齢化社会の中で社会課題とされている介護現場の問題をテクノロジーで支援する
高齢化社会を迎えた日本は大きな危機に直面している。介護職員の不足だ。高齢者向けの市場規模は、2025年には101.3兆円になると予想され、介護産業だけで15.2兆円規模になるという。その反面、介護職員不足は深刻化している。介護保険制度の導入後、介護職員は倍以上に増えたが、それでも2025年までに現在の1.5倍の介護職員が必要と言われている。
そんな介護職員不足の問題を、ITテクノロジーで乗り越える道を示そうとしているベンチャー企業がある。エコナビスタ株式会社だ。同社が開発した『ライフリズムナビ+Dr.』は、非接触センサーで、介護施設の入居者や病院の入院患者の行動や健康状態を見える化するシステムなのだ。
『ライフリズムナビ+Dr.』の導入は簡単。ベッドのマットレスの下にセンサーマットを敷いて室内の各所にセンサーを設置すると、入居者の行動や健康状態が一元的に管理することができる。室内の温度や湿度をはじめ、入居者が寝ているのか、起きてベッドに座っているのか、部屋の中で活動しているのか、トイレに入っているのか、全てがスマートフォンやPCの画面で、24時間365日確認できる。
「高齢者介護施設では、入居者の見守りに苦労しています。ドアセンサーによって部屋の扉が開いたら担当者にアラートで知らせる機能があれば、入居者が徘徊するのを未然に防ぐことができます。また、高齢者の場合、室温の調整も上手くできない場合があり、冬に冷房を入れたり、夏に暖房を入れたりすることもあります。そんな時も、室温に異常を察知するとすぐに知らせてくれます」(代表取締役社長・渡邉 君人氏)
マットレスの下のセンサーでは、心拍数や呼吸数も計測。睡眠の状態も把握でき、入居者や患者の健康状態の管理にも役立てられる。
「大阪公立大学(旧:大阪市立大学医学部疲労医学講座)と共同開発した独自のアルゴリズムでデータを解析。睡眠グラフ、活動ログ、温湿度グラフをレポートにまとめ、疲労回復指数、快眠指数、快適環境指数を算出して健康管理にも活用できます。東京睡眠・疲労クリニックの医師による健康レポートを付けることもできます」(渡邉氏)
各種センサーで計測した介護施設入居者のデータは、インターネットを経由してスマートフォンやタブレット、PCに送られ、介護職員が作業の効率化に活用できるだけでなく、遠隔地に住む入居者の家族にも届けることができる。
「医師やケアマネージャーと情報共有することで、入居者の行動を把握し、健康管理に繋げられます。睡眠深度や中途覚醒の回数、無呼吸の回数・時間の詳細なデータを解析すれば『予防医学』にもなります」(渡邉氏)