誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界を作る
Stay Anywhere, Anytime
「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界を作る」をミッションに掲げるCarstay株式会社は、アメリカを皮切りに世界的な広がりを見せているムーブメント「VANLIFE(バンライフ)」を日本に広めるため、2018年6月に創業したスタートアップベンチャー。
2011年に元ラルフローレンのデザイナー、フォスター・ハンティントン氏が、フォルクスワーゲンの“バン”に、生活に必要な最低限のモノを詰めこんで、旅に出た写真集「HOME IS WHERE YOU PARK IT(車を停めた場所があなたの家)」を発売したのをきっかけに、欧米諸国で新たなライフスタイルとして「VANLIFE」という概念が誕生したと言われている。
「リーマンショック後のミニマリズムのムーブメントの中で、本当に必要なモノだけクルマに詰め込んで、時間や場所に捕らわれず自由に生きる方が精神的に豊かだという考え方を元にした、新しいライフスタイルとして欧米で注目されています。♯VANLIFEは、Instagramで600万を超えるハッシュタグです」(CEO/代表取締役・宮下晃樹)
Carstay株式会社が運営する「VANLIFE JAPAN」は、2019年5月にスタートした、文字通り日本で「VANLIFE」を楽しむためのウェブメディア。クルマを生活の基盤とする「移動する家」として、旅・生活・仕事などを行うライフスタイルである「VANLIFE」に関する情報を多言語で発信するライフスタイルメディアだ。
「VANLIFEの概念が日本に入ってきたのは2018年。世界的に見てもVANLIFEをテーマに一気通貫に情報とサービスを提供しているプラットフォームは、まだありません。治安やインフラの観点から日本はVANLIFEに最適な国。車中泊という昔から日本にある考え方と融合させて、シェアリングエコノミーの一環として日本初の世界的プラットフォームを目指しています」(宮下氏)
「VANLIFE JAPAN」では主に「ドライブ」「車中泊」「バンライフ」の3つのカテゴリーで、日本語と英語で記事を製作し、情報発信を行っている。「ドライブ」では、車中泊スポット周辺の観光名所などを、「車中泊」では、車中泊スポットや車中泊のノウハウ・方法を、「バンライフ」では日本で「VANLIFE」を実践する人々の事例などを紹介している。
「『VANLIFE JAPAN』は、VANLIFEの魅力を知ってもらうためのオウンドメディアです。VANLIFE自体を広めるために、オウンドメディアだけでなく、マスメディアも有効活用していく計画。2020年にはテレビ東京でVANLIFEをテーマにしたドラマの放映も決定しています。当社はプロモーション協力で参加しています」(宮下氏)
Stay Anytime,Anywhere
「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界を作る」をミッションに掲げる。
車中泊スポットとバンの提供!VANLIFEを体験するためのシェアリングサービス「Carstay」
「VANLIFE」「車中泊」といっても、突然、クルマを「移動する家」として生活の基盤にするのは現実的とはいえない。クルマで移動しながら、旅・生活・仕事を楽しむライフスタイルを実現するには、職業が限定される。そこで、Carstay株式会社では旅に注目して、「車中泊」を楽しんでもらうためのサービスを提供している。
「旅→働き方→暮らしの3ステップで日本にVANLIFEを定着させたいと考えています。まずは土日にクルマで生活して移動しながら暮らす体験をしてもらうために、全国各地に点在する駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットとして旅行者に貸し出すシェアリングサービス『Carstay』をスタートさせました」(宮下氏)
車中泊・テント泊スポットを提供するホストは、空き地・空き時間を有効活用することで収益化につながり、ゲスト側は、全国各地、特に都市部以外の宿泊施設がないような場所でも滞在できる。GoogleマップとAPI連携したサービスである「Carstay」は、車中泊・テント泊スポットだけでなく、観光や買い物のスポットも紹介している。利用者はVANLIFEに必要な情報をシームレスに得ることができる。
「『Carstay』で滞在した人は、現地で買い物、食事もするし、お風呂にも入ります。ホストにとって、施設や店舗への集客や空き地・空き時間の有効活用につながります。地域経済に影響を与えるのみならず、コンビニや飲食店の駐車場に滞在してもらえば、防犯上の役目も果たしてくれます。全国各地に車中泊・テント泊スポットを提供してくれるホストを拡大中です」(宮下氏)
さらに宮下氏は、Carstay株式会社の事業は、インバウンド需要にも対応していると語る。
「外国人観光客は、ガイドブックに掲載されている観光スポットでは飽き足らず、よりディープな日本を体験したいと願っています。『Carstay』を活用して田舎に滞在すれば、都市部では味わえない訪日体験ができます」(宮下氏)
車中泊・テント泊スポットがあっても、肝心のクルマがないとVANLIFEは楽しめない。そこで、車内で寝泊まりできるように改造したバンやキャンピングカーをレンタルできる、もう一つのシェアリングサービス「VAN SHARE」も展開している。
「利用者は自分でVANLIFE用のクルマを持たなくても、いつでもレンタルできます。一方、バンやキャンピングカーを所有しているオーナーは、バンをシェアすることで維持費を軽減できます。日本初のバンシェアリングサービスを利用すれば、誰でも手軽にVANLIFEを体験してもらえます」(宮下氏)
VANLIFEをテーマにした世界で唯一のプラットフォームであるというゆえんは、情報提供からバンのレンタル、車中泊・テント泊スポットと観光・買い物スポットの紹介まで手掛け、同社のサービスだけでVANLIFEがマルッと楽しめてしまうからだ。
3年以内に本社機能をなくす!VANLIFEで作る「異次元のリモートワーク」
ミニマリズム、旅人、インバウンド、テクノロジー、働き方…。Carstay株式会社の事業は、さまざまなキーワードで注目されている。テクノロジーでいえば、5G、EV車、自動運転の関連で東京モーターショーにも参加し、自動車と不動産が合体した概念「可動産」を提唱したところ大きな反響があった。
「5GとEV車と自動運転が描く未来は、部屋が移動している感覚に近くなると思われます。私たちが提唱している『可動産』という考え方は、クルマと部屋が一体となったVANLIFEそのものです。例えば、『動くオフィス』を作れば、働き方も今よりもっと多様化されます」(宮下氏)
クルマをオフィスにしてしまえば、日本全国どこにいても仕事ができる。5Gが浸透すると通信環境は劇的に良くなり、リモートワークの可能性は大いに広がる。そうなれば出社する必要がないどころか、会社として「オフィスを持たない」という選択肢も考えられるようだ。
「3年以内に本社機能をなくそうと、本気で考えています。VANLIFE体験を提供する私たちがVANLIFEの先頭を走っていたいですからね。すでにメンバーの中には、ヤフオクでバンを買って、それをVANLIFE用に改造して自宅にしている者もいます。彼は今どこにいるのかわかりません(笑)。さらに、当社の広報担当は石川県の能登に住んで、そこからリモートで働いています。当社で働くなら、どんどん新しい働き方にチャレンジしてほしいですね」(宮下氏)
CEOの宮下氏はロシア生まれで海外生活も長く、ベトナム人エンジニアも在籍するなど、Carstay株式会社には国際色豊かで、自由な発想を大事にするメンバーが揃っている。同社の一員になれば、異次元の働き方を体験でき、新しい文化の創造に立ち会える。
「会社はいつかなくなりますが、文化はいつまでも残ります。当社のメンバーはみんな、インパクトのある文化を日本に作り上げたいという思いで事業を進めています。『Stay Anywhere, Anytime』の言葉通り、当社でのリモートワークは別次元に入るでしょう。日本全国どこでも働けるようになれば、自然を生活に取り入れた精神的に豊かな生活も実現可能。そのための情報拡散とインフラ整備が、Carstay株式会社のチャレンジです!」(宮下氏)
NTT東日本との提携も持ち上がっている。日光にある「通信局舎」を整備して、移動オフィスの拠点にしようという話が進んでいるという。「異次元のリモートワーク」も、Carstay株式会社ならあながち遠い未来の話ではない。