サービスの開発から技術者の採用、開発部門立ち上げまで総合支援
株式会社テコネットは、2019年5月、大阪市で創業されたITコンサルティング会社である。創業メンバーは、スマートフォンゲームアプリの開発会社などのITベンチャー企業で、立ち上げ時期からCTO(最高技術責任者)として事業拡大を牽引した経験を持つ2人のエンジニアだ。ターゲットとするのは、エンジニア不在の非Tech企業。本来はCTOが担うべき役割を外部の立場で請け負い、サービスの開発を進めながら、クライアント企業内部での開発部門立ち上げを、技術者の採用を含めたエンジニア組織の立ち上げ等総合的に支援する。
現在、スタートアップ企業のみならず、長年の歴史を持つ企業であっても、何か新しいビジネスを始めようとすれば、テクノロジーの活用は避けては通れない。それは単なるコーポレートサイトやブランドサイトなど企業の情報発信やマーケティングを担うWebサイトの開発・運用にとどまらず、実際のサービスを提供するインフラ、あるいはプラットフォームとしても、テクノロジーが重要な機能を果たすようになっている。特にイノベーティブなビジネスを生み出すには、テクノロジーの存在は必要不可欠と言っても良い。インターネットの普及以来、オンライン書店を初めとする小売業はもちろん、印刷や印鑑作成、保険、中古車販売、住宅リフォーム、冠婚葬祭など、様々な市場で、テクノロジーを介したイノベーティブなビジネスが生まれてきた。
これらのビジネスは、システム開発のノウハウを持ったテクノロジー企業が事業主体となり、既存の業界では生まれにくい斬新なアイデアで再構築したという性質のものが多いが、近年は業界の中にいて労働力不足などの社会課題に直面し、その課題を解決するためにテクノロジーを活用したビジネスが続々と生まれている。ただ、そういったアイデアを形にしようとすれば、そのアイデアを具現化するスキルが必要となる。エンジニアリング会社とのつながりが希薄な非Tech企業にとっては、社内に開発部門を立ち上げるにせよ、外部の開発会社に委託するにせよ、非常に高いハードルを越える必要があり、なかなか企画から先のフェーズに進められないというケースが少なくはない。そういった悩みを解決していくのが、テコネット社がこれから本格展開しようとしているサービスなのである。
創業の想いを語るのは代表取締役・鏑木哲氏だ。きっかけは現在も籍を置くスマートフォンゲームアプリ開発会社でCTOを務める傍ら、社長の知人である経営者から技術の相談を受けて、手伝い始めたことだった。
「現代のビジネスでは、Webサイトやアプリの開発など、技術が絡むことが非常に多いのに、技術を持った人材がいないという問題を抱えて困っている企業が少なくありません。そういったスタートアップのお手伝いをさせていただけたらと考えて起業しました」(鏑木氏)
もちろんサポートする相手はどこでも良いわけではない。ビジネスとして可能性のあるもの、または共感出来るものを見極めながらサポートをしていく考えだ。すでに、飲食業界向けと物流業界向けの2本のWebサービス案件が動き始めている。いずれもまだ世の中に存在しない新規性の高いビジネスの開発をスタートさせている。2019年中または2020年春頃のリリースを目指して開発が進む。
エンジニア不足の関西に需要。本格的な展開に向け組織作りを開始
鏑木氏は1990年代半ばに大学を卒業し出身地である石川県の企業で、当時はまだ珍しかった3次元CADのパッケージ製品を開発するところからキャリアをスタートさせている。その後、神戸のITベンチャーに創業間もない時期から関わりCTOに就任。その後、フリーランスを経て、大阪のスマートフォンゲームアプリ会社にジョイン、そこでもやはりCTOを務めている。いずれも従業員数5~6名という小規模な段階で参画し、開発チームを立ち上げ、50名、80名といった規模への成長に貢献してきた。もともとベンチャー志向で、自分自身で起業するイメージもあった。それが、前職で知り合った経営者からのニーズを聞く中で具体的になり、2019年5月のテコネット設立へと繋がった。
非Tech企業がエンジニアの獲得が出来ない問題の根源には、なかなか解消されないエンジニア不足の問題がある。これは日本全国で起きている現象ではあるものの地方ではより顕著だ。テコネット社が事業拠点とする大阪も例外ではない。
「地方のエンジニアがある程度仕事が出来るようになって来ると、成長意欲の高いエンジニアは関東に行きます。市場規模は東京の方が大きいですから、フリーランスでも仕事は結構ありますし単価も高い。一方、関西では仕事を探してもなかなか見つからないので、エンジニアが流出してしまう。我々が提供しようとしているサービスへのニーズは少なくないと思われます。また、現在ベンチャー企業でエンジニアとして働いている若い人材にもキャリアの出口を提供するビジネスにもなると考えています」(鏑木氏)
創業メンバーは鏑木氏の他にもう1名。取締役CTO・上田宏幸氏だ。上田氏は専門学校卒業後、同級生だった友人ら数名とベンチャー企業を設立してCTOに就任。Webサイト制作やWebシステム開発を受託するところからスタートして、携帯向けのコンテンツ開発、ソーシャルゲーム開発へと移行。その後フリーランスとなり、2017年頃から鏑木氏が在籍していたゲーム会社に外注パートナーとして関わるようになり、鏑木氏とはそこで出会った。メジャータイトルの開発に一緒に携わることもあった。
「鏑木に対しては、現場で働くエンジニアのことを本当に考えている人だと思っていました。2018年末に独立すると聞いた際は、お客様と一緒に成功体験や苦労を共有してやっていくという考え方に共感し、参画を決めました」(上田氏)
現在はまだ同社自体がスタートアップの段階であり、本格的な組織作りが始まるのもこれから。業界経験が浅くこれから技術を身につけていきたいと考えている若い人材、その若い人材を教えられるスキルを持った人材の両方を採用していく。前者は社内で開発業務に従事し、後者はクライアント企業に入り込んでプロジェクトを牽引するコンサルティング業務を担うことになる。2020年中には10名弱の技術者集団を組織し、飛躍に向けた第一歩を踏みたい考えだ。
社員第一号を募集。フロンティアとして作り上げる楽しさを味わって欲しい
「今回の採用がテコネットとして初めての社員、初めてのエンジニア採用となります。現段階で入社する人は、社員第1号です。ベンチャー企業らしく責任と権限を持って働く醍醐味を実感していただきたい。関西では弊社のようなビジネスを展開している企業は聞いたことがありません。フロンティアとして作り上げて行く楽しさを味わって欲しいです」(鏑木氏)
これから技術を身につける若い人材であれ、経験豊富な人材であれ、鏑木氏が求めるのは自分自身で貪欲に技術を身につけていく姿勢を持ったエンジニアである。
「エンジニアにもいろいろなパターンがありますが、私自身がそうであったように、物を作って人に褒められることに喜びを感じられる人を採用したいと思っています。そのような技術者は自ら技術を身につけていくことが出来ます。受動的に教えてもらう技術というのは役に立ちません。私も上田もCTOとしてチームを成長させてきた経験がありますので、アドバイスは出来ます。社内に成長出来る環境はありますので、それを利用して貪欲に取り組んでもらいたいです。真のエンジニア組織を創り上げます。」(鏑木氏)
そこに上田氏が付け加える。
「エンジニアも作るだけではなく、お客様に寄り添うマインドが必要です。モノづくりが好きであることに加え、寄り添うスキルがある人に参画して欲しいと思っています」(上田氏)
同社が取り組む案件は、世の中に存在しない仕組みの開発だ。顧客の課題を聞いて開発策を探り、システムに落とし込んで行く。その過程を通して、コミュニケーションスキルを含めたエンジニアとして必要なスキルを高めて行くことが出来る。業界も単一ではないので、幅広い業界の業務知識を身につけることが可能だ。また、新しい技術の獲得が求められることから、研究開発の性格を備えた仕事も多いため、向上心が高い人材にとっては、学習材料が不足することはないだろう。
その一方で、鏑木氏は、技術者一人一人の特性や適正を考慮して役割を分担させたいと考えている。
「技術者には外に出ることが苦手な人も多い。弊社には外に出るだけではなく、コンサルティングを担う人が持ち帰った課題を一緒に考えて作っていく仕事もあります。技術者の適正に応じて能力を発揮していただきたいと考えています」(鏑木氏)
鏑木氏と上田氏は2人とも基本的には関西でエンジニアとして経験を積み、ビジネスを成功させてきた実績がある。その実績をもとに顧客を紹介されることも多い。現在、相談を受けている案件も、順調に採用が進むことで具体的に動いて行くことになるだろう。さらにはまだまだスタートアップフェーズ、責任と権限を含めた様々な経験を積み、ベンチャーとして醍醐味を身を以て味わえる環境であろう。関西である程度の経験を積み、次のキャリアステップのために関東圏への移動を考えているエンジニアは、一旦立ち止まって2人の話を聞いて欲しい。