株式会社CancerTechnologies

株式会社CancerTechnologiesは、AIテクノロジーを活用した疾患予防サービスを展開するスタートアップだ。2018年6月に設立され、東京・有楽町に本社を置く。

「世界から健康格差をなくす」をビジョンに掲げ、（1）予防健診普及事業（法人/個人）、（2）医療を中心とした先端サービスを提供する会員制ライフケア事業（個人/病院/法人）、（3）予防キット販売（個人/法人）の3事業を展開。あらゆる疾患の予防に対し「量」と「質」の両面からアプローチし、各サービスから蓄積された健康データから、「未病」を可視化するサービスを展開していく。

会員制ライフケア事業は、サブスクリプションモデルによるもの。すでに入会希望者も集まっており、自院の先端医療サービスを提供したいという医師からの引き合いも多いことから、今後は提供コンテンツのアライアンス増加を想定している。病院と連携したメニュー開発や予防健診の普及事業も、ニーズや問い合わせが増えている状況だ。「健康経営」・「働き方改革」に目を向け始めた法人も多く、従来は健康診断のみだった企業も、全従業員に対して人間ドックを提供し始めた企業も少なくない。従業員、ひいては従業員の健康こそが会社の最大の資産という考え方が広がり始めている。

これら3事業のコンセプトは、「“予防”さえしていれば健康に生きられたかもしれない人生を守りたい」という思想にもとづいている。同社はビジョンに掲げる「健康格差をなくす」を実現するため、医療を中心とする先端のサービスを組み込んだ会員制ライフケア事業を軸として、まずは予防意識の比較的高い富裕層をメインターゲットにマネタイズをおこなっていく。現在、さまざまな技能をもつ日本の企業や医療機関と連携し、サービス内容の検証、運営効率化、利益を生み出せる価格の設定、メニュー開発を進めているところだ。

その次のフェーズでは、より広範囲の一般層に拡販していく方針。予防検診普及事業や予防キット販売事業は、一般層を前もって囲い込むための戦略の1つだ。一般層に広げることでより多くの予防医療ノウハウ（健康・生体データ）を得ることができ、そこにAIテクノロジーを導入することで、さらなる循環を生み出していく。

CancerTechnologiesが提供するサービスの特徴を、事業ごとに見てみよう。【会員制ライフケア事業】の特徴は、医療を中心とする先端サービスのすべてを組み込んでいること。【予防検診普及事業】では、全国の病院と連携し人間ドッグなどのオプションメニューを、企業ごとに最適化するメニュー開発を行っている。【予防キット販売事業】では、自社で取り扱っている低価格で手軽な予防キットを個人や大企業などに向けて販売を実施している。

将来的には、病気になる前の「未病」の状態から、健康への導線を整えるプラットフォームを見据える。現状の他社サービスの主流は、病気になってからの相談サービス、健康推進のフィットネス、医療機関へのコンサルティングサービスなどだが、CancerTechnologiesは未病の状態で必要となる医師相談、血液などの簡易健康チェック、予防健診など、「予測」から早期に「予防」・「治療」の領域へとつなぐ複合的サービスをプラットフォーム化し構築していく。

CancerTechnologiesの強みは大きく3つある。1つは、代表取締役が大手外資系医療メーカーの出身で、医療業界と強固なネットワークを築いていること。2つ目は業界でのポジショニングで、健康データを活用したトータルサポートとして予防と向き合っているところは珍しい。3つ目は、高級かつ細やかな医療サービスを通年で提供できること。そして、健診に不安を持つ人の細かい要望を満たし、医療情報の非対称性をクリアにした一人ひとりに最適なヘルスケア・メディカルケア・ライフケアのサービスを提供できることだ。

今後は、医療・ヘルスケア業界の変容を促すリーディングカンパニーとして、一般の人が必要とする情報を整備することで予防健診へのハードルを下げ、世の中に予防健診を広める先駆者となる会社を目指す。

現在、詳細は公表されていないが、大手企業とも検診メニューの開発を進めているところだ。将来的には、「予防」を単なる健康増進に留めず、人生を通じたトータルライフサポートサービスとして、未病から健康へつなぐコンテンツを提供するプラットフォーム構築を進める。このプラットフォームを活用して、海外展開にもチャレンジしていく予定だ。

2019年7月時点の従業員数はインターンを含めて10名。経営陣やエンジニア、営業、マーケティングなどの垣根なく活動している。外資系医療メーカーで「No.1営業表彰」を受賞した代表の原氏や、シンガポールにて会社経営の経験を持つCOO兼CFOの石井氏など、優秀なメンバーが集まっている。

風土としては、常に変化が求められる環境であるため、問題が起きた場合の臨機応変な対応と、リスクを最大限抑えることが求められている。さらには前例がないことへの挑戦を続けており、過去の例やノウハウがない中で動かなければならないことも多くあるため、誰かに答えを聞くのではなく、自ら考えて動いていかなければならない。

以上から、メンバーには何もよりも「未踏を楽しむ」ことが求められる。そして、ポジティブで根気よく、自主的に動けること。活かすことができる経験としては、何かの目標を立てプロセスを自分で考え、自分で周囲を巻き込みトライした経験。他のメンバーとの関係性については、個々の人格や意思を尊重しつつ、仕事に関しては顧客を優先できること。会社や顧客のベネフィット最大化のため、健全な議論を活性化し、何でも率直に言い合える関係性が望ましい。

同社が目指すのは、今までにないサービスと市場だ。組織づくりでは、「健康寿命の最大化」というビジョン達成に向け、多様な能力を合わせた集合知で勝負する。ビジョンを共有できるのであれば雇用形態にはこだわらず、正社員以外にも業務委託・アルバイトなども歓迎だ。将来的には各事業の独立も視野に入れているため、経営者や起業家、事業家を目指したい人にとって、学びの大きいステージであることは間違いない。