独自のECプラットフォーム『ecforce』と、D2Cコンサルティングを提供
「コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する」をミッションに掲げる、日本初の総合D2C支援専門企業の、株式会社SUPER STUDIO。D2Cとは“Direct to Consumer”のことで、自社で企画・製造した商品を、ECサイトで消費者に直接販売するモデルを指す。同社は、独自のECプラットフォーム『ecforce』を提供するSaaS事業と、D2Cコンサルティング事業を運営している。
■SaaS事業
『ecforce』は、D2CによるECの商品企画から生産、インターネット広告運用、物流、コールセンター、CRMといったあらゆる業務を行う現場のために開発された基幹システムである。フォーム一体型LP販売、ショッピングカート、マイページ画面、広告集計、定期継続率分析、多彩な決済方法といった諸機能を搭載している。
特徴は、豊富なマーケティング機能や、現場の業務を効率化する細かい機能が充実していることだ。
単品リピート通販事業に不可欠である、エンドユーザーのLTV分析が様々な角度から行えたり、過去のデータからエンドユーザーが離脱する時期を分析し、事前に防止する施策を行いやすくする機能等が盛り込まれている。また、例えばクレジットカードのオーソリーが取れない際に、他の支払い手段をエンドユーザーに要請するメールを自動送信するといった機能も付いている。この場合、オーソリー可否といった“イベント”及びメール送信といった“対応アクション”があらかじめ数多く用意されており、それらを自由に組み合わせて設定できる。「これらによって、現場オペレーターの業務を最大90%自動化できる」とCTOの村上功記氏は胸を張る。
強みは、メーカーの商品開発コンサルティングを行うD2Cコンサルティング事業を社内に有していることである。
D2Cに関する最新のトレンドや、自社内で試行した販売手法など、コンサルタントがもたらす現場のニーズによって『ecforce』が常に磨き上げられる事業構造を持っていることが、当社の強みといえます」とコーポレートデザイン室 採用広報ユニットマネージャーの池上詩織氏は話す。
■D2Cコンサルティング事業
D2Cにおける商品企画・開発から生産、インターネット広告運用、物流、コールセンター、CRMまでの一連のプロセスに対し、ワンストップでのコンサルティングを手掛ける。特徴的なのは、新商品のスクラッチ開発を支援していることだ。ビッグデータ解析や市場調査から世の中のニーズを抽出し、“売れる”商品開発に繋げている。また、そうして開発した商品のリブランディングやリニューアルも支援している。
クライアント企業数は350社を超えており、ショップの平均年商は業界最高水準の約2億円。この数字に同社の実力が伺える。
“テクノロジー×データドリブン”であらゆるEC領域に役に立てるサービスを展開
2014年12月24日、4人の仲間達によって同社は創業された。インターネット広告代理店でマーケターとしてECサイトのグロース業務を数多く手掛けていた現CEOの林紘祐氏は、クライアントの責任者を務めていた現エバンジェリストの真野勉氏と出会い、起業志向者同士として意気投合。同社の設立に向け、林氏は同じ関西大学を卒業後、国内最大手SIerでプロジェクトマネージャーを務めていた現COOの花岡宏明氏を誘う。エンジニアを確保する必要から、花岡氏は大学の研究室の1学年先輩で、ロサンゼルスでエンジニアとして活躍していた村上氏に声をかけた。
こうしてスタートした同社は、まずDIY動画メディアサービスを企画し、事業共創プラットフォームに応募後、採択されたのだ。そして、2016年に知人が経営する化粧品メーカーから、EC運営支援を要請される。これを機に、本格的にD2C支援事業にピボットし、システムの運用からスタートした。「当時、その会社が使っていたシステムの使い勝手が悪かったことから、理想的なシステムをスクラッチで開発した方が良いと判断し、現在の『ecforce』の原型を開発した」と村上氏は説明する。
一方、システム運用から商品企画、インターネット広告運用、物流等のフルフィルメントまで、徐々に支援範囲を広げることを求められた同社は、D2Cの現場で当該業務のノウハウを蓄積した。それとともに、現場で必要な機能をシステムに盛り込み、『ecforce』を充実させていった。
「非常に良いシステムになったので、外販に踏み切ることにして、現在の2事業部体制を構築しました」(池上氏)。
こうして、“現場発”のD2C支援サービスをつくり上げてきた。
今後の方向性について、池上氏は次のように話す。
「これまでのビジネスで、ECに関わるデータを数多く蓄積しています。また、村上以下、何人もの優秀なエンジニアを擁しています。当社のミッションは『コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する』ですので、D2Cに限定しているものではありません。今後は、ECという概念をより広く捉え、“テクノロジー×データドリブン”で、あらゆるEC領域で役に立てるサービスを展開していきます」
風土づくりのコアは、“CHANGE”“INSIGHT”“HONESTY”の3つのバリュー
2021年3月時点、社員数は105名で、平均年齢は30歳である。同社の特長として、アメリカ(ロサンゼルス)とベトナムにも開発拠点を設けていることが挙げられる。アメリカでは5名程のフリーランスエンジニアと業務委託契約を交わし、ベトナムにはラボを設けて4名のエンジニアを置いている。「時差を利用し、24時間体制で開発できる点が強み」と村上氏は話す。
その村上氏はロサンゼルス在住で、日本と行き来している。
「アメリカでは、使えないエンジニアはすぐにプロジェクトからカットされるシビアさがあり、それだけ生き残っているエンジニアは優秀な人ばかりです。そんなエンジニア達から最先端の情報を得られる環境が当社にはあるので、エンジニアにとっては魅力的かと思います」そう話す村上氏本人も、同地でオンライン決済サービスや大手自動車機器メーカーの基幹システムの設計・開発等をリードした実績を持つ。そんな村上氏を慕って、優秀なエンジニアが結集している点は見逃せないだろう。
同社の風土づくりのコアとなっているのは、3つのバリューである。
■CHANGE 変われる人であれ
■INSIGHT 本質を見極めろ
■HONESTY 人格者であれ
この維持徹底のために、まずは採用においてリファーラルを主体に取り組み、バリューへの理解・共感を確認した社員が入社している。
また、月例の全社ミーティングで、CEOが毎回、バリューに関わるエピソードを話し、具体的なエピソードトークとして共有。「これらをまとめて、常に社員の向かうべき先を言語化する作業を行っています」と池上氏は話す。
人事考課においても、半期毎のOKR(Objectives and Key Results)において3つのバリューそれぞれに対する取り組みを評価し、着実な浸透を図っている。ネガティブサプライズを防ぐためにも最低でも月に1回、1 on 1を実施。メンバー間のコミュニケーションを促進させる施策として、全社ミーティングの際に簡単なグループワークも実施している。
なお、エンジニアの働き方としては、1カ月単位のリリースサイクルに基づいたアジャイル型を採用。「自社サービスを手掛ける立場として、基本的に定時で帰れる作業ボリュームに業務量をコントロールしている」と村上氏は話す。
そんな同社が求める人材は、まずは3つのバリューを理解・共感できることだ。
「その上で、コミュニケーションを大切にしてスクラムを組んで進めていける方です。当社には、例えば空調管理のアナログな方法を、自らシステム化してくれたエンジニア等、会社思いの協力的な人がとても多く在籍しています。そういったカルチャーを尊重してくれる方に来ていただきたいと願っています」と池上氏は呼びかける。