コンピュータ好きな学生たちが起業した独立系システム開発会社
鉄道や道路などの「社会インフラ」、サーバ・ネットワークの「ITインフラ」、家電や空調機などの「組込み制御システム」を3本柱に、人々の生活に欠かせないシステムの開発に取り組んでいる株式会社ラデックス。
創業は1971年と、50年近い歴史を持つ独立系のシステム開発会社である。まだコンピュータが身近ではなかった時代、大学在学中にコンピュータに興味を持った学生たちが集まり、同社を起業した。当時はプログラムやデータを記録する媒体が紙テープだったということから、その歴史の長さを感じる。
同社の代表取締役である羽田健一氏は、「創業当時は大学を卒業したばかりのメンバーや、まだ在学中の学生もいたと聞いています。今では考えられませんが、『給与なんてなくていい。この仕事がしたい』と公言していたと言いますから、本当にコンピュータに興味があり、コンピュータを好きな人たちが始めた会社ですね」と、当時を振り返る。
きっかけは不明のようだが、創業の頃から大手電機メーカーとのつながりが生まれ、製品の制御システム開発を請け負うことになった。同社のエンジニアが電機メーカーの工場へ赴き、開発を続けているうちに信頼関係が生まれ、1名が5名に、そして10名、20名と携わる人数が増えていったそうだ。
開発する案件も、製品の制御システムから、プラントや電力など大きなシステム開発へと幅を広げていった。こうした開発を続けているうちに技術力も向上し、さらに取引先の数を増やしていった。結果、現在では電機メーカーの開発だけではなく、大手SIerや通信キャリア、研究開発を行う独立行政法人などの取引先を持つようになったという。
そして今ではプライム案件が7割もあるという。鉄道や道路、電力、医療、金融、鉄鋼、新聞・メディアなどの社会インフラ系のシステムを中心に、業務系・Web系を問わず、ITインフラ、組込みシステムなど、幅広いシステム開発を行うオールマイティーな会社となったのだ。
仕事を楽しむという精神で、自分がやりたい仕事に取り組める
『明るく・楽しく・面白く』というのが同社の社訓で、この社訓は創業の頃から掲げている。たった一度の人生を無駄にせず、何事においても『楽しもう精神』を大切にしているそうだ。また、社員の自由裁量を尊重する企業風土があるという。独立系の会社であるため、幅広い業務に携わることができるのだ
「私もエンジニアだったのですが、その経験から言うと、お客様との会話の中で出てきた新しい案件で、この開発は自分でやってみたいというのはかなり自由にできるんです。直属の責任者に、『こんな案件の話があるのですが、興味があるのでやりたいんです』と伝えると、『君が責任を持ってできるのなら進めてみようか』と、スムーズに話が通ります。自分がやりたい仕事ができるのが当社の魅力ですね」(羽田氏)
自分がやりたい仕事をものにするには、もちろんそれに見合った技術が必要だ。そのため、エンジニアの技術力を向上させるために、教育・研修にはかなり力を入れているという。社内に教育委員会というチームを発足し、社員のスキルアップのための活動を実施。技術教育や階層別教育を始め、資格取得のバックアップも積極的で、年に1回、経産省が定めるITスキル診断も行っている。
エンジニアのスキルを客観的に評価して、それぞれに合った教育を行うという。任される仕事が増えるのはもちろん、診断結果がよくなると自信にもつながるようだ。また、この結果をもとに上長と行う年2回の面談は、上長とのコミュニケーションツールにもなっている。普段話せない悩みごとなども相談できると、社内で好評だという。
「技術力が勝負の会社なので、エンジニアの技術力を高めるのを一番に考えています。また、目指したいポジションがあるのであれば、当社はそれを最大限応援する会社です。もちろん社長になりたいという目標でもいいのです。決まった人事はありませんし、実力でステップアップできる環境なので、30代で部長になった人もいます。若手社員のうちから幹部を育てていくという方針もありますので、チャンスが多い会社だと思いますね」(羽田氏)
年間休日130日、月平均残業時間15時間以下という働きやすさ
昨今、休日休暇や労働時間が厳しく問われる時代になったが、その点、同社はまったく心配ないだろう。驚くことに、年間休日は130日もある。取引先の大手電機メーカーの休日休暇に合わせてきた結果、夏季や年末年始、GWなどの連休も長くなった。
また、有給休暇は70%以上の取得率を目指しており、平均取得率は現在では80%を超えているそうだ。残業時間もしっかり管理していて、2019年1月時点では月平均残業時間が14.83時間となっている。
「以前は、残業するのを前提に仕事のスケジュールを組んでいた時もありました。でも、そんな働き方はずっと続けられないですね。社員のメンタル面も心配ですし、楽しく働くという当社の考え方とは逆になってしまいますから」(羽田氏)
労働時間以外にも、さまざまな取り組みを10年ほど前から続けているという。1年ごとに目標を定め、その達成に向けて活動する。先ほどの教育委員会もそうだが、他にも労働環境を改善する安全衛生委員会、品質管理のQMS委員会、情報セキュリティのISMS委員会など、社内に委員会を発足してそれぞれの目標を定めている。
委員会活動に参加しているのは幹部やベテラン社員ばかりでなく、若手社員も登用している。若手の意見や考え方も尊重し、何事も若手と一緒に進めている風土のようだ。同社の社訓である『明るく・楽しく・面白く』を社員全員で実践するために、よりよい環境づくりを追求している。
また、同社にはスポーツ好きなメンバーが多いのも特徴だ。部活動としてフットサル部があり、費用面は会社が負担しているそうだ。他にも、代表が趣味という登山を始め、テニス、ゴルフといったサークル活動もある。健康増進という一面もあるが、業務で関わりがなく普段はあまり会話がない社員同士の、コミュニケーションを図るための交流の場として活用している。
最後に今後のビジョンを伺った。
「これからも社会の変化を見ながら、成長分野に関わるシステム開発を進めていきたいですね。これまでの社会インフラもそうですが、どこの会社でもできる仕事だと価格競争になりますから、競争が起きにくい環境で仕事がしたいと考えています。これまでも見つけてきましたし、これからもそういう事業スタイルでやっていくつもりです」(羽田氏)
働きやすい環境の中で、自分の技術力や実力を高めたい、人々の生活に役立つ社会インフラのシステム開発に携わりたい、自由な裁量の中でさまざまな業務に挑戦したいという人にとって、同社は理想的な環境なのかもしれない。