日本ビスカ株式会社

日本ビスカ株式会社（Nihon Visca Co.,Ltd.）は、「医療機関の快適な受付を創造する」をテーマに、デザインや利便性の高いサービスを提供している会社だ。1984年9月に設立され、本社を「東新宿」駅からほど近い、東京都新宿区新宿6丁目に置く。また、営業所を札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡に展開している。

事業内容は主に医療関連を中心に、カルテファイルの販売や医療機関のWEBサイトの制作および保守、診療予約システムの企画開発および販売など、幅広く展開している。

営業スタイルは、紹介を基本とする代理店営業だ。信頼のある代理店からの紹介がメインのため成約率は高く、その分、信頼に応える仕事をしている。売上高も好調に推移しており、10億800万円（2016年度）→10億4959万円（2017年度）→11億1181万円（2018年度）と安定した成長を遂げている。

日本ビスカが持つ優位性は、30年以上にわたり医療業界で培ってきた信頼だ。多くの顧客やディーラーに認知されており、営業力と商品の品質の両面で、顧客満足度は高い。また、風土として効率性や合理性を重視し、事業の継続性とサービスの品質維持に努めている。

代表取締役を務める石田伸道氏は、早稲田大学大学院後期博士課程を修了後、成蹊大学工学で物理学研究や学生へ教育指導にあたってきた。その後渡米し、コロンビア大学で物理学の研究に従事していたが、父が亡くなり会社を継いだ。石田氏は「医療機関の快適な受付を創造する」をテーマに第二創業期を担うことを決意。以来、患者の待ち時間を減らし、医院の情報をわかりやすく提供することに努めている。

資本は100％自己資本ということもあり、やりたいこと、やるべきことを自由に推し進めていくことができるのは大きな魅力だ。無借金で安定した経営基盤を背景に、長期的なスパンに立ち、新しいことにもどんどんチャレンジできる会社だ。

日本ビスカでは、医療機関のホームページ制作や、診療予約システムの開発、トータルブランディング、診察券のデザイン・制作、カルテファイリングシステムの企画・販売などを行っている。主要な収益源は、カルテファイリング、HP制作サービス、診察券、予約システムの4領域で、病院やクリニック、歯科医院、動物病院、薬局などのほか、医薬品関連の卸業者まで幅広い取引先を持つ。

日本ビスカの代名詞ともいえるカルテファイリングは、紙のカルテを数字やアルファベット、日付などにより、色で識別・管理するシステムだ。収納時にできる「色のブロック」が、効率的な管理を可能にする。鮮やかで視認性がよい配色はカルテの検索スピードを圧倒的に早め、誤収納を防止し、アクティブ/インアクティブカルテの分別や、2次・3次保管スペースへの移動を容易にする。そのためカルテファイルにおける国内シェアはトップクラスであり、他の追随を許さない。

医療の現場では電子カルテやレセプト請求のオンライン化など、院内業務の電子化が進んでいる。一方で、「紙と電子カルテを併用したい」、「電子化だけでは患者数は回しきれない」といった声も多い。そこで日本ビスカは、紙カルテの簡便性と電子化の利便性を組み合わせた「半電子化」を提唱し、IT化が進む将来を見据えた上で、現実ベースでの最適管理を提案している。

HP制作サービスでは、医療機関ごとの特徴や個性、院長先生の考え方など一つひとつにこだわったHPを制作している。HPを通して独自の取り組みや治療についての情報を積極的に発信する医療機関も多く、スタッフ採用に活用されるケースもある。カルテを通して医療現場を知り尽くしている日本ビスカにとって、HP制作を中心とするWEB事業は大きく期待される事業分野だ。インターネット診療予約システムの企画開発・販売も行うなど、IT関連サービスの事業シナジーにもつながっている。

今後の展開としては、高齢化が進む日本の医療業界の効率化に、ITの力で解決策を提供していく。また「オンライン診療」への取り組みも進め、「医療機関の受付をもっと快適に、より便利に」の理念を実現していく。

2016年1月の従業員数は41名（パートタイマー11名を含む）で、平均年齢は34歳、男女比は4：6の比率だ。これまで、3名が産休・育休を取得した実績がある。新卒・中途の割合は、中途入社が90％を占める。

働き方は、基本的に残業をさせない方針だが、現実には月平均で20時間前後の残業が発生している。とはいえ、1日あたりにすると1時間程度なので、同業種と比べると少ないといえるだろう。ミーティングは週1回、全体の定期ミーティングが開かれるほか、部署ごとに週1回のミーティングが行われる。教育制度は入社後に2～3カ月の研修に加え、OJT研修、外部研修による人材育成を行っている。社内行事の参加率は、約90％ということだ。

日本ビスカでは、企業文化や理念をとても重要視している。代表の石田氏が物理学出身ということもあり、全社的に合理的に考える姿勢や習慣が根付いている。例を挙げると、徹底的にムダを省いて労働生産性を上げる、社用での中元・歳暮や年賀状の全廃、などだ。とにかく本音でストレートに、何が大切かをダイレクトに話し合える文化を大切にしていて、役職や年齢にしばられないで発言できる社風がある。

今回の採用では、上記の論理性と、チームワークの協調性を重視した採用を行う方針。資格などにはこだわらず、もちろん性別も問わない。これまでに採用されて活躍している人の例では、入社3年後に係長に昇進した女性や、子育てをしながら課長として活躍している女性もいる。求める人物像は、「自分で考えて行動を起こせる人」だ。指示待ちタイプはNGで、提案力・実行力・柔軟性に長けた人材を求めている。

事業の決断も早いため、「やってみたい」と思ったことがあれば実現しやすい。本人が望めば事業責任者に抜擢し、一つの事業を任せてもいいと石田氏は言う。評価に関しても年功序列ではなく、パフォーマンスやアウトプットを考慮して、実力で評価する。また、社員の所得向上にも気を配り、お金の話はタブーと思わず、オープンに交渉できる風土がある。