株式会社エス・イー・シー・ハイテック

株式会社エス・イー・シー・ハイテックは、通信事業者向けのシステム設計・構築を中心にネットワークインフラの設計・構築、各種システムの保守・運用、組込みソフトウェア開発、IoTソリューション開発などを手がけるICT企業だ。情報通信工事や電気設備工事などを手がける東証一部上場企業、コムシスホールディングスグループに属する企業でもある。同グループのサンワコムシスエンジニアリングの100％子会社にあたる。

通信、組込、およびIoTなど次世代技術の研究開発を事業の三本柱としており、このうち主力の通信領域の事業が売上の約6割を占める。クライアントは大手電気メーカーグループ各社をメインに、コムシスホールディングスグループ各社、システムインテグレーター・ソリューション開発ベンダー各社など。多くの優良クライアントを持ち、事業の安定度は抜群だ。1989年の創業以来、黒字経営を続け、自己資本比率65％以上と財務状況も極めて良好だ。高い技術力を誇り、堅実に事業を営んできたことがわかる。BtoBの事業であるため、一般に馴染みは薄いが、通信など社会になくてはならないインフラや機器を、後方から支えるシステムを作り、見えないところで社会に貢献してきた会社だ。

創業時に遡ると、通信機器のデジタル化に伴い、通信機器向けのソフトウェア開発の必要性が高まったことから、この領域の代表的な大手メーカーの協力を得て設立された。「設立から20年は、共に通信キャリア向けのシステムを開発する事業を中核にしてきました。その後、培ってきた強みを活かして事業を広げようと考え、組込みソフトウェアの開発に進出しました」。今日に至る経緯を振り返るのは、執行役員人財開発本部長の水本龍一氏だ。

組込みは自動車、家電、POSレジ、スマートフォン、通信モジュールなどに向けたソフトウェアを開発している。そして近年は、通信×組込みの技術をIoTの領域に展開すべく、研究開発も進めている。今や通信と組込み、およびそれらが融合した技術は、多くの企業が求めるもの。これらが蓄積されているエス・イー・シー・ハイテックへの注目は高く、引き合いも絶えない状態だ。近い将来、次世代通信「5G」も実用化される。5Gに向けたシステム改修や、5Gの登場で一気に進むIoT化など、エス・イー・シー・ハイテックの力が必要とされる場面は多い。同社の存在感は増すばかりだ。

IoT社会の到来とともに、通信やネットワークに長けたエンジニア、組込みエンジニアを多く擁している同社の価値は高まっている。同社の大きな強みである人的リソースは、外からは、宝の山のように見えていることだろう。例えば車載の組込みソフトウェアも、かつてはその機器の中で完結していた。今は、車両内の機器同士が車載LANでつながり、協調制御される。走っている車両同士も含め、色々なものが通信でつながる。自動運転技術は、その粋を集めたものだ。まさにエス・イー・シー・ハイテックの得意分野であり、今や同社の技術や人材は、最先端のプロダクトや近未来の生活に直結するものとなっている。

これらを活かすべく、R&Dにも積極的に取り組む。IoTの拡大、発展を目指し、NTTドコモが国内有数企業と連携して立ち上げた研究プロジェクト『Project Linking』にも参画。同プロジェクトでは、一般ユーザーが日常の様々なシーンで利用できるアプリケーションを開発、公開している。ここで得たノウハウも、いずれエス・イー・シー・ハイテックのリソースと融合することで、同社に新たな可能性をもたらすことだろう。

既に、この領域への挑戦も始まっている。自社プロダクト『スポーツ向け屋外リアルタイム位置情報システム』だ。ウェアラブルのビーコンとスマートフォン、省電力・高性能のBluetoothを組み合わせたもので、競技中の選手の位置情報を、リアルタイムに表示する。トライアスロン大会での使用を想定しており、選手は自身の中間順位を知り、大会運営者は先頭と最後尾の選手の位置の監視に、沿道の応援者は、応援している選手のトラッキングに利用できる。高速で移動するバイク競技部分での認識も可能だ。社内でアイデアを出し合い、「こんなのがあったらいいね」というものを、実際に形にしたという。このような挑戦は今後も続いていく。

新しい価値を生み出すための活動にも注力する。クラウドビジネス、AI・ビッグデータ、セキュリティーといったキーワードで、社内には4つのワーキンググループがあり、有志のメンバーが集ってアイデアを出し合い、発表。事業になりそうなら組織化していく。もはや通信、組込み、IoTと明確に事業領域を区切れる時代ではない。すべてがシームレスになっている今、組織を超えて有志が集まり、知恵を出し合う。これから入るメンバーへの期待も大きい。「中途で入られる方は、新卒の社員にはない魅力、我々とは違う経験をもっています。我々が知らないものを見せてくれて、そこで化学反応が起きることが楽しみです」と水本氏。実際、中途で入ったメンバーも積極的にワーキンググループに参加し、周囲に刺激になっているという。

新卒の社員には、業界屈指と言っていいほどの手厚い研修を施すエス・イー・シー・ハイテック。中途入社の場合は、OJTが主体となるが、一人一人の経験に応じて無理のない業務からスタートし、人事による定期的な面談なども行いながら、定着に向けて丁寧にフォローしていく。「即戦力だからといって、いきなり矢面に立たせるようなことはありません。もちろん人によりますが、大体1年ほどは、仕事を通じてこの領域の専門的なことや進め方などについて学んでもらいます」（水本氏）。OJTのほかにも勉強をしたい人には費用面などでバックアップし、自分に合った形で知識を身に着けてもらう。資格取得も全社的に推奨している。

3カ月、6カ月と節目ごとに行う人事との面談では、不安や不満はないか、職場に馴染んでいるかなどを聞き、様子を把握する。「せっかく入っていただいたのに、ミスマッチがあるといけませんから」という水本氏の言葉には、社員を大事にする会社の姿勢が表れている。各職場の受け入れ態勢も万全だ。「面談で話を聞くと、皆さん、不満はないと言います。真面目で穏やかな社員が多く、馴染みやすいのではないかと思います」。実際、中途採用を本格化した近年で見ると、中途入社者の退社はゼロ。彼らの存在が刺激になり、若手を中心に元からいる社員も刺激を受ける相乗効果が生まれている。

以前は、中途採用では即戦力の人材を採ってきたが、新しい領域に挑戦する今、即戦力は歓迎する一方で、そうでない人にも来てほしいという。「何らかの開発経験のある人なら、当社の事業への共感とやりたいという思いがあれば、キャッチアップは十分に可能です」と水本氏。むしろ、違う領域の経験を持つ人材から「新しい発想を得たい」という思いも強い。外からの視点を持っている人のほうが、エス・イー・シー・ハイテックの持つリソースの価値に気づき、新たにもたらされる知見やスキルと融合することで、新しい価値を引き出せるかもしれない。変化の激しい昨今、これから入る人には、そんな動きも期待している。

労働環境も極めてホワイトだ。上場企業のグループ会社であることから、時間外労働の管理は行き届き、時間外労働自体もかなり少ない。この働きやすさに魅力を感じ、転職してきたワーキングマザーの女性社員もいるほど。男女を問わず、ワークライフバランスを大事にしながら、「ワーク」の時間は仕事に、しかも「おもしろい仕事」に打ち込みたい人にとって、同社は理想的な環境だろう。急速にIoT化が進むなか、同社の事業の可能性、おもしろさは抜群だ。興味を覚えたら、ぜひ一度訪ねてみてほしい。