株式会社ニッソーネット

「福祉業界に関わるすべての人に満足を」という理念のもと、介護・保育・看護といった福祉領域に特化した人材サービス事業を展開する株式会社ニッソーネット。

周知のとおり、福祉業界は「少子高齢化」「待機児童増加」による人材不足や、離職率上昇などの人的課題を抱えている。同社は1999年の設立以来、その課題をタイムリーに解決する人材ソリューションサービスで着実に成長を続け、創業地でもある大阪と東京の2本社制のもと、札幌から九州まで全国の主要都市に広がる18の拠点ネットワークを確立している。現在、9期連続増収中であり、特にここ数年は前年比10～20％増と目覚ましい成長ぶりだが、「一歩ずつ着実な成長を目指すのが当社のスタイルです」と、マーケティンググループ ゼネラルマネジャーの安田昌弘氏は話す。

「当社はやみくもにスケールを追ってコスト競争するのではなく、ターゲットを絞ったオンリーワンの仕掛けをつくることで今のポジションを確立してきましたし、今後もそのやり方は変わらないと思います」。社会的背景を受け、福祉市場はどんどん広く深くなってきている。例えば、介護人材領域では新たな資格制度の導入やキャリアパス要件の整備が進められ、介護事業所の求人条件と求職者側のスペックの双方を的確に踏まえたうえでの、きめ細かなマッチングが不可欠となっている。そのようなニーズに対し、同社は20年に及ぶ実績に基づく圧倒的なアドバンテージがある。実際に求人オファーを待つ登録者リストには多彩な顔ぶれが並び、クライアントの幅広い要望に即応できる体制を確立している。

では同社はなぜ、他社をリードするこのような高品質のスキームを確立できたのか？
2つの理由を挙げることができる。

ひとつは、独自の人材育成システムだ。同社では、有資格者の紹介だけでなく、無資格者に対し資格取得やスキルアップの機会を無料で提供し、付加価値の高い専門人材に育て上げて送り出す独自の仕組みをつくった。事実、同社が運営している介護の資格講座「福祉の教室 ほっと倶楽部」の受講生は、開校から14年で5万名以上に達している。

もうひとつは、WEBマーケティングと業務のデジタル化を推し進めている点だ。
人材サービス事業の工程は、求職者を集めて、マッチングするという大きく2つの要素に分かれる。
そこにおいて、求職者の集客部分はWEBマーケティング、マッチング部分は業務のデジタル化を徹底して行うことで、他社よりも満足度の高いサービスを提供している。

そして創業20年を機に、事業を次のフェーズに移行させるための新プロジェクトとして、今回あらたなメンバーを募集することとなった。

福祉業界の人材サービスビジネスで20年の実績を持つ同社だが、その道のりは決して平坦なものではなかった。

まず課題だったのが、売手市場の福祉人材の集客だ。

「当時は求職者の集客数が現在の1/4程度でした。求人広告の運用も外部の業者に任せきりで、なかなか良いパフォーマンスが出せない状況が続いていました」と、安田氏は当時を振り返る。クライアントからの求人オファーは増える一方だが、紹介できる人材に限りがあればこのビジネスは広がらない。常時、一定数以上の登録者をいかに確保するかが、人材サービス企業の生命線といえる。

そこで４年ほど前、WEBマーケティングの強化をミッションとするマーケティンググループを発足させ、登録者の拡大に乗り出した。その結果、劇的な登録者増に成功した。

安田氏は成功した理由を次のように語る。「まずは限られたリソースを最適化するため、チーム内タスクの選択と集中を行いました。"何をしないか"を決め、その結果やると決めたリージョンに対してはデータドリブンで徹底的にPDCAをまわしました。また、それまで場当たり的だった戦略に関しても長期的なゴールを設定し、足元の各施策が1～2年後にすべて一箇所に集まるよう設計しました」

このように、同社のここ数年の目覚ましい成長に、マーケティンググループが大きく寄与しているのは明らかだが、「目指しているマーケティング施策は、ここからが本番です」と安田氏は強調する。

「集客はある程度満足のいくパフォーマンスを出せていますが、マッチング工程にまだまだ課題が残っています。そこで、マッチング業務のデジタル化を更に加速させる新プロジェクトを計画しています。マッチング支援システムや顧客情報管理システムを一新し、それとリンクしたWEBサイトも新たにスタートさせる予定です。こられが完成したあかつきには、よりOne to Oneでユーザーのニーズにリーチできる施策が打てると考えています」

と、安田氏は構想を語ってくれた。

新プロジェクト業務は「ミーティングに次ぐミーティング、となるでしょう」と安田氏。「新プロジェクトは、より深い施策へのチャレンジに加えて、知見の内部蓄積を図る狙いもあります。新プロジェクトに対してメンバーが日々議論を重ねるプロセスが、そのまま当社のノウハウになる、というわけです。また、既存のメンバーはIT未経験者も多いため、専門書の購入やセミナー参加、新技術習得の自己啓発なども積極的にフォローしてくれる環境です」。

マーケティンググループの業務の進め方に関しては、スピードよりも質を重視するのが鉄則だ。徹底してひとつの業務に向き合うことで、インハウスでマーケティングするメリットを最大限発揮しようという訳だ。当然、顧客対応に煩わされる必要もないため、服装も自由だ。

また同社では、適正なワークライフバランスの実現にもことのほか力を入れている。「残業は月10時間ほど。サービス残業なんてもちろんありません」と安田氏。これを可能にした背景には、形式的な会議や習慣は極力減らすなど、会社としての努力があったそうだ。

チームの雰囲気はフラットそのもので、メンバーのチームワークも良好。自由参加の飲み会や食事会も適度に行われている。マーケティンググループのある大阪オフィスは各線大阪駅、梅田駅から徒歩5分。通勤や仕事後のプライベートも困ることはなさそうだ。


-------

「新しいプロジェクトが動き出せば、登録者は質量共に向上し、今以上にクライアントのニーズにマッチした人材を提供できるようになるでしょう」と安田氏。

つまり、今回の取り組みは同社の人材サービス事業全体にとっても大きなターニングポイントになるということだ。今までの現場経験を踏まえ、「そろそろ自分の『作品』を育てていきたい…」と考え始めたエンジニアが新たなステップに昇る舞台として、今の同社ほどふさわしい場は、そうそうないだろう。