未だに多くの会社がエクセルで行う予実管理。常識を打ち破る新サービス!
DIGGLE株式会社は、予実管理に特化したクラウドサービス『DIGGLE』を開発・運営する会社だ。予実管理とは、「予算」と「実績」の把握、分析を通じて企業活動の状況や健全性を判断する、経営上の極めて重要なプロセスだ。『DIGGLE』は、複雑な予算と実績の分析をワンクリックで実現。売上と利益の推移などベースとなる指標を簡単にグラフ化するほか、事業別、エリア別、製品別などの管理・分析、企業が必要とするKPIの設定なども自由度高く実現できる。画期的なSaaS型のサービスだ。
特に上場企業にとって予実管理は重要だ。上場時に証券市場、証券会社から、予実管理の仕組みの導入を求められる。理由は投資家保護のため、予算(業績予想)に修正が入る場合は速やかに公表する義務を負う。業績修正の予兆を知るためには、KPIに分解された数値の予実管理が必要なのである。また、そもそも予実ギャップの原因を把握し分析できれば、軌道修正の施策を打ち、実行していくことができる。言わば予実はPDCAサイクルを回す行為そのものだ。もちろん上場企業に限らず、すべての企業にとって予実管理は必要かつ重要な活動だ。
ところが、予実管理のツールは驚くほど少ない。というのも、公的なルールが決まっている会計関連の手続きと異なり、予実管理は企業ごとの独自性が強く、製品化は難しいと考えられていたからだ。そのため、各部門の数字の統合、管理、分析などの予実管理業務を、いまだにエクセルベースで実施している会社が多いという。
そこに疑問を感じたのが、創業者である代表取締役の山本清貴氏だ。山本氏自身も予実管理に苦労した経験を持つ。「予実管理は、決められたレポート形式があるわけではなく、KPIの持ち方も各社各様です。だから今まで誰もトライしなかった。確かに細かいレベルを追求するときりがありませんが、経営者が欲しい情報、つまり経営判断に使うレベルの情報はどこも変わらないはずです。そのニーズを掴めれば製品ができると考えました。実際、大企業向けの複雑で高額な予実管理ツールはあります。それをもっと誰でも直感的に使え、コストも安く、簡単に導入できるようにしたサービスは可能だと思いました」。山本氏は言う。
ベータ版を経て2017年7月、『DIGGLE』を正式にリリース。ターゲットは、まさに今、エクセルで予実管理をしている会社だ。業務系システムにありがちな、各部署からメンバーを集めて大々的に導入チームを作る…といったことも不要で、エクセルの弊害である属人化の問題も解消。『DIGGLE』は、たとえば「今月、使える経費はあといくらか」といった現場で必要な日々の数字から、予実の差異の要因や各種KPIなど経営判断に必要な数字まで、リアルタイムで把握できるサービスになっている。
これまでエクセル等で行っていた煩雑な作業を効率化するサービスだ。
自らが感じた管理者の課題を解決すべく、2016年に同社を設立。
自身の苦労経験から生まれた『DIGGLE』。アイデア×最強の布陣にVCも期待
この、ありそうでなかった予実管理ツールは、山本氏自身の経験から生まれた。実際に予実管理に苦労したことから、ユーザーに寄り添い、かゆいところに手が届くようなサービスを実現できたのだ。
山本氏は、メーカー、アウトソーシングベンダーを経た後、11年間にわたり、米系ERPベンダーのPeopleSoft、Oracle、Inforにて、会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのセールス、アライアンスの担当として活躍した。その後、経営大学院に学び、卒業後は動画マーケティングなどを手がけるITベンチャー、株式会社Viibarに参画した。ここで自らが予実管理に苦労することになる。「セールスを率いる立場ながら、営業に行くよりもエクセルで集計している時間が長いことに疑問を感じました。かといって、かつて自分が売る側だったOracleやInforは高く、会社規模からしても、そこまで大げさなシステムは必要ありません。ベンチャー、中小向けの簡易なパッケージがあったらいいと考えました」。
山本氏は、そのアイデアを形にすべく起業。目論見通り、いや、それ以上に、予実管理に苦労している会社や担当者は多かった。正式リリースから1年経った今、『DIGGLE』の登録ユーザー数は1000社を超えている。中小企業という当初のターゲットとはやや異なり、上場前夜や上場したてのベンチャー企業が中心だ。特にプロモーションもせず、インバウンドでこれだけ集まったことに需要の厚みがうかがえる。予実管理という着眼点への期待も大きく、2016年には、スタートアップの祭典であるTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルでファイナリストとなり、FUJITSU MetaArc賞も受賞した。
加えてDIGGLEはメンバーにも恵まれている。山本氏とタッグを組むのは、20代後半の若さながら、複数のスタートアップで開発に携わってきたCTOと、経験豊富なフロントエンドエンジニアだ。二人ともViibar時代の仲間で、セールスとして豊富な経験と人脈を持つ山本氏を、二人がモノづくり面で支える構図だ。このように、独自性のあるプロダクトと最強の布陣をそろえたDIGGLEには、ベンチャーキャピタルも熱い視線を送る。資金集めも順調に進んでおり、あとは最適なタイミングで最適な投資を行い、一気にスケールしていくだけだ。
20代後半ながら、複数のスタートアップに参画し、様々なプロダクトの開発に携わった経験を持つ。
マピオンやviibarなどで10年以上の開発経験を持つ、凄腕エンジニア。
『DIGGLE』を企業活動に欠かせないコアシステムに!サービスも会社も草創期
『DIGGLE』登録ユーザーの1000社からは、日々の利用のなかで様々な要望やフィードバックがある。それらの声に丁寧に耳を傾け、サービスに反映させていく。「まだまだゼロからイチへの段階です」と山本氏。検証しながら進化を続けているところだ。
『DIGGLE』の目指す世界は、経営者も、現場で事業を推進するメンバーも、全員がリアルタイムで会社の数字を把握し、経営層は経営の意思決定を、現場のメンバーは自らの行動の意思決定をするツールになることだ。今は主に経営者の意思決定に使われているが、今後はメンバークラスも、売上、経費、労働時間、各種KPIなどを見て、自分の行動がどのように会社の目標につながるのかを理解し、経営者はドリルダウンし、メンバーは下から上に積み上げる。そのようにして全員が『DIGGLE』でつながっていくことを目指す。
となると当然、より上位の会計システムや最前線の顧客管理のシステムともつながって、数字を反映したくなる。現在、その構想も着々と進んでいる。アライアンスは山本氏の得意とするところだ。このように『DIGGLE』はどんどん企業活動の中枢に入り込んでいく。
「工場における生産管理、販売部門の販売管理などはコアな業務であり、もはやシステムがないとまわりません。予実管理もそのようなコア業務の一つであり、専用の業務アプリケーションが必要です」。山本氏は言う。DIGGLEはそんな意識改革、業務改革に挑戦している。大きな目標に対して達成度はまだほんの数%。これから新しい仲間を得て、成長を加速させていく。
そんな同社が大事にしている価値観が、お客様、一緒に働く仲間、家族、そして自分に胸を張れる仕事をすること。これから少しずつ人数が増え、会社の文化も創っていくフェーズにあるが、この考え方は同社の根幹をなすものだ。その上でどのような姿になるのか。これから入る仲間とは、サービスだけでなく会社自体も一緒に創り上げていく。このフェーズも楽しめる人を待っている。