「預かり資産業務推進ソリューション」を主体に金融機関の窓販を支援
金融機関向けパッケージシステムの開発・販売や、金融商品の評価・分析および情報配信サービスなどを専門的に手がけている、株式会社NTTデータエービック。NTTデータ100%出資のグループ企業である。
いま、超高齢化はますます進展し、“人生100年時代”が到来するといわれている中、“ゼロ金利政策”などによる低金利が続いている。0.01~0.1%程度の定期預金に頼っていては、生活保護に頼る高齢者が続出することが懸念されている。そこで、2018年1月に「積み立てNISA」がスタートするなど国を挙げて資産形成が促進され、“預金から投資へ”という気運が形成されている。その投資商品の中心的存在が、投資信託(投信)である。銀行においても、低金利で従来の預貸業務による収益が上げ辛くなっている中、投信販売手数料は重要な収益源になりつつあるという。
こうした中にあって同社が主に手がけているのは、全国の地方銀行を中心とする金融機関に向けた投信や保険などを販売する預かり資産業務推進ソリューション。これらの商品を銀行の窓口で販売(窓販)するには、勧誘時の法令遵守や担当者の営業スキル向上、販売後のフォローアップ、既存顧客への最新の運用情報の提供といった課題がある。同社は、銀行における投信の窓販が始まった1998年から当該業務に関わってきた知見やノウハウを基に、一連の課題に応える諸機能をパッケージにして、インストール型もしくはASPで提供。販売力の向上や業務効率化に貢献している。
競争も激しい中、同社の強みは大きく3点が挙げられる。
1点目は、人材力。金融商品とシステム開発のそれぞれのプロフェッショナルが揃っているのだ。以前、金融機関で窓販に関わったり、証券会社や投信会社で投信の組成や営業に関わった人材や、経験豊富なシステムエンジニアが多くを占めている。
「これらの人材力で、お客様に対してコンサルテーションやご提案を行うことを可能にしています」と取締役ビジネス企画センター長の生井澤浩氏は説明する。
2点目は、(社)投資信託協会に加盟する投信評価機関であること。2018年2月末現在、公募投信だけで6,150本が運用されているが、20年前からそれら全ての情報のデータベースを保有して商品・サービスへの展開を可能にしている。「データを加工・分析し、最新の状況を加味してご提供する情報の質と量には自信を持っている」と生井澤氏。
3点目は、NTTデータのグループ企業であること。同グループには、NTTデータ以下、国内外に40社以上の主要グループ企業があり、同社は必要に応じてそれらと協働しての提案活動や技術協力といった事業運営ができる。
「自社だけでは難しい課題であっても、グループの力で実現させることができています」(生井澤氏)
同社の強みや特徴についてお話いただいた。
Fintechによるサービスの変化が激しさを増す中、新たな課題にチャレンジ
同社の前身である株式会社エービックが実質的に事業をスタートさせたのは1997年。翌年12月に銀行における投信窓販の解禁に照準を合わせ、投資信託協会から投信評価機関として認定を受けて投信評価分析データベースサービスの販売を開始した。2001年からは保険の窓販も解禁となり、この対応も追加している。
「まずはお客様への情報提供からスタートし、信頼関係を構築しながら徐々に窓販に関わる業務効率化や営業力向上支援に資するシステム開発の受託に繋げていきました」(生井澤氏)
そして、2010年。NTTデータが同社の全株式を買い取ってグループ会社化した。
「NTTデータは、以前からネットバンキングシステムの構築を手がけていました。その中の投信に関するメニューを構築する際、エービックのシステムに着目し協力を要請したのです。以来、密に協業が進み、信頼関係ができていきました。そして、2010年にエービックの創業者が引退を決めた際、NTTデータへの全株式の譲渡を決めたのです。NTTデータ側としても、投信に関わる専門会社を擁することでグループ全体としてのバリューアップに繋がるとの判断がありました」(生井澤氏)
そんな同社は、超高齢化や低金利、フィンテックの台頭といった金融業界を巡る変革の時代にあって、個人の資産形成の普及を支援する形での社会貢献を目指している。
差し当たっては、タブレット端末を用いて金融機関の店頭や客先での提案営業をスマートに行えるようにする「Wealth Concierge」の提供に力を入れていく。これは、お金の統計情報や相続支援シミュレーション、資産ポートフォリオ、ライフ&マネープラン、ローンシミュレーションといった機能のスイートで、提案の対話型強化、商談スキルの平準化、商談コンテンツの資産化を顧客に提供する戦略商品だ。
「ここにきて、ようやく投資商品による資産形成の気運が根付いてきました。一方、フィンテックの浸透によるサービスの変化は激しく、従来のノウハウや知見だけで勝負することは難しくなっています。ですから、当社においては様々なスペシャリティを持つ人材が相互に刺激し合いながら、新たな課題にチャレンジしていける風土づくりに取り組んでいきたいと考えています」(代表取締役社長 西川 勇氏)
今後は組織体制や風土形成から会社をより成長に導く考えだ。
やる気さえあれば、どんどん上流から任せていく企業風土
2018年4月現在、社員数は約60名。開発部門、営業部門、顧客サポート部門、証券や保険などの業務部門、投信データベース部門、管理部門といったセクションに分かれる。
「全体の業務計画のもと、環境変化に臨機応変に対応しながらそれぞれの担当者が適宜自在に集まってタスクをつくり、進めていくスタイルを取っています。NTTデータグループということや、金融機関を相手にするという面で堅いイメージがあるかもしれませんが、60人ということもあってかなり自由な雰囲気ですよ」(生井澤氏)
開発部門のエンジニアは、前述の西川社長のコメントのとおり、フィンテックによる環境変化に対応して新しい要素を柔軟に取り込んでいくことが課題となる。
「お客様に言われたことをするというより、どういったものをつくるかという企画段階から関わり、お客様に提案することが求められます。そういった点では、金融系の知識や経験はあったほうがいいですが、それよりも既成概念にとらわれず新しいことに意欲的に取り組んでいけるほうが重要です。そんなエンジニアに来てほしいですね」(システム開発部長 掛川 将史氏)
「手を挙げればやりたいことをやらせてもらえるチャンスはたくさんあります。多少経験が浅くても周囲がいろいろフォローしてくれるので、安心して取り組めます」と2014年に中途入社したエンジニアの本嶋幸二氏。
一方、営業職に求められることについて、生井澤氏は次のように言う。
「提案営業が主体ですから、いかにお客様のニーズを先取りし最適な形でぶつけていくかが求められます。また、これまでは地方銀行中心であったところ、今後は昔ながらのシステムが残っている証券会社や投信会社にも広げていきたいと考えています。新たなフィールドを開拓していく気概のある方に、ぜひ来ていただきたいと思います」
いずれの職種においても、アグレッシブに取り組んでいくことを最重視している。やる気さえあれば、どんどん上流から任せていくスタイルなのだ。社内外の研修受講も大いに奨励されている。
社内の親睦を深める機会としては、オフィスの一角に“社内BAR”を設け、定時以降はアルコールを入れてのフランクなコミュニケーションを促進。また、野球とフットサルのクラブ活動も熱心に取り組まれており、健康保険組合主催の大会に毎年参加しているという。そのほか、毎年BBQなどのレクリエーションも楽しんでいる。
「業務ではいろいろなことが自由にできる風土がありますので、自分の能力を伸ばしていけると思います。ぜひアクセスしてください」と生井澤氏は呼びかける。