高水準のエンジニアと“義理”“人情”“誠実”を大事にする経営姿勢が強み
システム開発会社の、株式会社デジサイン。社名のとおり、同社は電子認証を利用した自社開発ソリューション「速配e請求」の開発・販売のほか、SESや受託開発を手がけている。
「速配e請求」は、請求書や納品書などの商取引書類を電子化して送信できるソリューション。商取引書類について電子証明書を用い、印鑑の役割を果たす電子署名やタイムスタンプを付与した電子署名ファイルとして作成し、登録済みの相手先に自動送信するという仕組みだ。このソリューションにより、送付ユーザーにおいては送料や紙・封筒代、作業人件費などのコストおよび、送付やファイリングなどの手間が削減できる。電子認証により、データ改ざんや情報漏えいの防止、証拠性の確保ができ、保管場所を取らず検索も容易で、一連の業務スピードを格段に向上させることが可能となる。クラウド環境に保存することで、災害時の原本喪失リスクも回避できる。受領側においても、すぐに書類が届くことや再発行が容易なこと、電子署名付与により原本として扱えること、空封筒が発生しないといったメリットがある。
数社の大手ベンダーが類似のパッケージ製品をリリースしているが、「速配e請求」はカスタマイズ可能で価格競争力があり、大手企業を中心に引き合いが増えているという。
「製品の競争力には自信があります。今後さらに力を入れて拡販に取り組んでいきます」と代表取締役社長の馬場和幸氏は意気込む。
「速配e請求」に続いて、電子認証を絡めたセキュアなファイル保存ソリューションを開発し、これから販売に取り組んでいくフェーズにある。
一方の、収益の多くを占めるSESおよび受託開発。「自社ソリューションを持つからこそ、面白い案件を獲得できている」と馬場氏。保険会社の基幹システムをはじめ、ECサイトや半導体メーカーの諸システムなどと、広範な業界の多様なシステムを手掛けている。
「いろいろなシステムを手掛けることで、個々のエンジニアの幅が広がっていると思います」(馬場氏)
SESおよび受託開発において同社の強みとするところは、人材力。創業時から、大手企業のクライアントと直接関わったエンジニアが揃っている。
「私はこの業界を30年ほど経験していますが、ひいき目なしに高水準のエンジニア揃いだと自負しています」と馬場氏は胸を張る。そして、「“義理”“人情”“誠実”を何よりも大事にする」という経営姿勢だ。馬場氏は次のように続ける。
「お客様のために誠心誠意業務を手掛けることで信頼関係を築き、長くお付き合いいただくことをモットーとしています」
電子認証をコアとしたICTソリューションをトータルに!
馬場氏は、大手IT企業で人事や総務などの管理部門を経験後、独立系IT企業で管理系業務全般や取締役を経験し、電子契約ソリューションなどを手がける独立系IT企業の実質的な経営者として業務全般に携わる。ところが、2010年にオーナーの事情で会社の存続が困難となった。
「会社の存続が困難になった事を伝えるためにソリューション導入を検討して頂いていた大手のお客様に挨拶に伺った際、『ソリューションは面白く可能性はあるから、馬場さんがもう一度チャレンジするなら応援する』と言っていただいたのです。また、当時の社員も『このまま一緒に続けたい』と言ってくれました。そこで、デジサインの設立とサービス継続を決めたのです。」
その電子契約ソリューションは展開したものの法律や運用、そして契約ソリューションであるので双方のユーザの理解を得るのに苦慮したため途中で断念し、代わって同様の電子認証技術を応用して「速配e請求」を開発する。ただし、当時はまだ企業側のニーズが十分に満ちておらず市場がなかなか立ち上がらなかったため、受託開発やSESに取り組みつつチャンスをねらうことにした。ここにきてその市場が芽を出し始め、同社は攻勢をかける構えにある。
一方、受託開発においては、同社のキーテクノロジーである電子認証をコアとしたICTソリューションをトータルに手がける案件獲得に力を入れていくという。
「当該領域は、電子署名やタイムスタンプといった周辺技術に熟知することと、関連法規に関する専門知識が求められます。いずれも時間とコストを要することであり、参入障壁は高いと思います。当社は、出身母体を含めて長年当該領域に関わってきていることをアドバンテージにできる有利なポジションにあります。これを最大の強みとして、アグレッシブに進めていきたいと思っています」と馬場氏は力を込める。
なお、馬場氏の前職の企業は札幌市に拠点を有していた関係で、2013年5月、そのメンバーの受け皿となるグループ会社の株式会社FORTHINKを札幌市に設立。以来、主にデジサインのニアショア拠点の位置付けで稼動している。
月に1度の帰社日を大切にし、社員間の距離を近づける
2018年4月現在、同社グループの社員数は42名(うち、FORTHINKに9名)。ここ数年来、新卒社員も採用していることもあり、人材育成に力を入れている。そのコンセプトは「本質を考えることと、実践すること」に置いている。馬場氏は次のように説明する。
「何をするにしても、ただ漫然とやるのではなく、『なぜこれをやる必要があるのか?』と考えてほしいと言っています。そう考える習慣をつくることで、物事の本質を突き詰め、それが質の高い仕事に結びつくと考えるからです」
その一方、単なる“評論家”的な意見を言うだけの姿勢は、厳しく戒めるという。
「何もないゼロから生み出すチャレンジや試みに対して、単に批判的な意見を言うような態度は注意します。つまり、考え生み出すことと実践することの両軸で成長してもらうという考え方です。最新技術への取り組みも、ある程度の失敗は見込んだ上で積極的に求めています」(馬場氏)
普段は、SESとして10程度の現場に分かれているメンバーの一体感や帰属意識を醸成するために、月に1度の帰社日を設けている。その場では、それぞれのプロジェクトの状況や技術トピックス、経営方針や状況などの共有が行われ、終了後は任意で懇親会が開かれ多くの社員が参加する。
花見や納涼会、忘年会、新年会など参加自由の親睦の機会には、毎回多くのメンバーが集合する。さらに、馬場氏以下有志で毎年「NIPPON ITチャリティー駅伝」に参加。前回は参加者が15名、応援団含め20名ほどが参加し楽しんでいるという。
「ちなみに私は前回、社内で2位でした(笑)。率先して走ることで、社員に背中を見せようと思っています」と馬場氏。馬場氏は誰に対してもフランクに接することもあって、社員間の距離の近さが特長的だ。
そんな同社が求める人材像は、正直・誠実で、チャレンジ精神の旺盛な人。
「やりたいことができるだけやれる環境をつくっていきます。ぜひアクセスしてください」と馬場氏は呼びかける。