株式会社ウェザーマップ

気象情報に関わる諸事業を手がけている、株式会社ウェザーマップ。TBSテレビの天気予報でお馴染みの気象予報士・森田正光氏が創業し、会長を務めている企業である。同社が手がけているのは、気象予報士マネジメント事業、情報提供事業、キャリアデザイン事業の3つ。

気象予報士マネジメント事業においては、社員および業務委託契約の気象予報士総勢83名（2017年12月現在）を在京キー局はじめ全国の放送局に派遣し、天気予報番組に出演させたり、気象サポートなどを行っている。講演会などへの派遣も多い。森田氏や代表取締役社長の森朗氏もその一員だ。

「視聴できる天気予報番組という意味では、47都道府県の大半をカバーしており、業界No.1の規模です」と取締役管理本部長の藤田敦氏は言う。創業以来の主力事業として、売上の約60％を占めている。

情報提供事業では、企業などへの気象データの配信を手がけているほか、天気予報番組に出演する気象予報士に気象情報を提供している。

「放送局をはじめ、天候が商売に直結する流通業や飲食業、農業などのお客様が中心です。また、ポータルサイト向けの気象情報や動画コンテンツ、デジタルサイネージといった提供先もあります」（執行役員情報提供事業部長　小林 寿代氏）

本事業において特徴的なのは、提供する気象情報の工夫だ。例えば、東洋水産とタイアップしての「冷し中華前線／冷し中華指数」や、赤城乳業とタイアップしてのガリガリ君の天気予報「ガリ天」。

「『ガリ天』に掲載しているガリ指数は、気温だけでなく湿度や前日との気温差などを勘案し、『ガリガリ君』が食べたくなる度合いを指数化したものです。2006年のスタート以来、毎年夏の風物詩的に展開しており、ご好評をいただいています」（小林氏）

「さくら開花予想」も、同社が独自に開発した気象情報提供の一例として名高い。そのほか、「色がくすんで見えづらい」「陸地がわかりづらい」といった欠点のあった気象衛星「ひまわり」からの画像を鮮明に加工して提供したり、“くもり”を“雨が降りそうなくもり”と“晴れ間ものぞくようなくもり”に分けて色を変えて表示するなど、利用者が直感的にわかりやすくなる加工を工夫している。

キャリアデザイン事業においては、気象予報士志望者に対する資格取得講座の運営や、気象予報士の発声・アナウンス、原稿チェック、出演立ち合い、気象勉強会といった研修を各地で実施し、気象予報士のキャリアアップを支援している。

「気象予報士になりたい、気象予報士としてキャリアを積んでいきたいという想いを叶えるため、一気通貫して事業として手がけているのは、業界では当社だけです。気象予報士マネジメント事業による就業支援、情報提供事業における気象データの提供を含め、当社は気象予報士の活躍の場を広げることで、社会に貢献していきたいと考えています」（藤田氏）

同社は1992年、森田氏の個人事務所である有限会社ウェザーマップとして創業され、95年に株式会社に組織変更となった。97年から企業向け気象データ提供、2002年から気象予報士受験講座運営事業をスタートさせている。

「当社は、創業以来、気象情報を“伝える”ことを柱に事業に取り組んできました。それも、単に伝えるのではなく“人間味”に溢れた伝え方にこだわってきた側面があります。つまり、気象情報をどなたにもわかりやすく確実に伝えることで、台風や豪雨などの気象災害から人々の生命や財産を守ることに繋げてきたのです。当社には、当初からエンドユーザー目線に徹して気象情報をつくる気概や風土を培ってきたといえます」（藤田氏）

「気象庁が提供する気象データはどんどん増えています。これらをいかに活用し、生活者のよりよい行動や生活に繋げていくかが大きな課題。そのためにも、メンバーを増やし体制を強化したいと考えています」（小林氏）

「気象予報士が活躍する場を広げるほど、よりきめ細かく気象情報を提供できることに繋がり、人々の生活を守ることができます。そのためにも、気象データの加工やシステム開発力の向上は不可欠。気概ある方のご応募をお待ちしています！」と小林氏は呼びかける。

同社の企業風土の特徴について、藤田氏は次のように話す。
「プロフェッショナル集団として、一人ひとりが責任感に裏付けられた上で、自由に業務に取り組んでいます」

テレビの天気予報番組に出演している森田氏に、親しみやすさを感じる人は多い。「社内でもそのとおりのキャラクターですが、気象情報の提供に関しては一切の妥協は許さない厳しさもあります」と藤田氏。そんなところから、当事者意識の強い社風が形成されているといえる。

業務運営は、週1回の業務進捗レビューを主体に共有・促進。さらに、経営会議とは別に重要事項を全社員で合議し意思決定する場も設けられている。

「民主的な運営によって、社員一人ひとりが事業経営に参画している意識を高めるねらいがあります」（藤田氏）

一方、社員同士の親睦を深める機会として、年1回、業務委託契約の気象予報士も含めた全員が集ってのミーティングで、ビジョンや方針、事業計画の共有やレクリエーションが行われる。さらに、15名ほどの有志が毎年、企業対抗駅伝大会に出場。「みんなで応援し、一体感を楽しんでいる」と小林氏は言う。

以上のような企業風土の同社が求めるのは、社内の様々な課題解決に向け、主体的・能動的に取り組める人材。さらに、「自然相手の業務に生じる想定外の事象に対処できる柔軟性や、常にアップデートされる気象情報技術にキャッチアップしていく姿勢も必要」と小林氏。

全国の人々の生活に密着する、気象情報に携わる仕事。社会貢献性の高さに、大きな手応えを得られるに違いないだろう。