メイクリープス株式会社

2014年に創業したメイクリープス株式会社（以下 MakeLeaps）は、請求書や納品書といった書類の作成、管理、郵送をするクラウド型サービス「MakeLeaps」を開発、提供する会社だ。作成予約画面に請求内容を登録しておくだけで、指定日に請求書を自動作成も可能。1つの画面で、作成状況や毎月の必要な作業を確認でき「作成忘れ」「送付忘れ」も防いでくれる。

創業者のジェイ・ウィンダー氏が「MakeLeaps」を開発するきっかけとなったのは、日本でビジネスを展開する際にぶつかった、月末の請求作業だった。

「ITコンサル業をしていて、さまざまな職場にエンジニアを派遣していました。毎月月末になると、3人がかりで請求書を作らないといけない。その間、ほかの業務が止まってしまい、非常に効率が悪い。これではミスも増えるし、ビジネスの成長の妨げになってしまう。そこで請求関連のプロセスを自動化しようと、市販のソフトを導入したのですが、海外製だったからか、金額表示など日本での仕様に合わなかったんです。これなら、自分で作ったほうが早いなと思い、学びながらシステムをつくりました」（CEO ジェイ・ウィンダー氏）

自社で開発したシステムを使用すると、3人で1週間かけて行っていた作業が一気に短縮され、業務効率が上がった。すると、停滞していた事業も再び成長軌道に乗り始めた。経営者の仲間たちにシステムを見せると、大半が興味を示し「導入したい」と言われた。そして「そうだ！これをビジネスにしよう」と、ウィンダー氏の心に火がついた。

「私が開発したのは、自社で使うためのシステム。販売するためには、他社でも使えるように汎用性を持たせる必要がありました。そこで、Sony Music Entertainmentのニューヨーク支部でデジタルミュージックのリード設計者だったアメリカ人エンジニアの協力を仰ぐことに。その彼はCo-Founderとなり、技術的なレベルが上がり、『MakeLeaps』は製品化へ向けて本格的にスタートしました」（ウィンダー氏）

「お客様に聞いてみると、請求書を発行しチェックして郵送するという一連の作業の中でも、郵送作業が面倒だといいます。ならば、請求書を自動作成するだけでなく、郵送もワンクリックで可能にしようと考えました」（ウィンダー氏）

こうしてできたのが、請求書の封入、投函までの作業を代行する「郵送サービス」だ。サービス開始直後は、自分たちで請け負って作業をしていたが、取り扱う郵便物の数が増えていき手に負えなくなったところで、業務提携できる印刷会社を探した。10社ほど当たってようやくAPI対応できる印刷会社を見つけ、パートナー提携をする。

その他にも、顧客毎に個別の仮想口座を自動発行する「バーチャル口座機能」、請求書を出した先の顧客がクレジットカードで支払いをするための「カード決済機能」、書類の言語を和文・英文とワンクリックで切り替える機能、主要外貨への対応など、本質的なお客様の課題・ニーズの声にしっかりと耳を傾けながら次々と追加機能を企画してリリース。
請求業務を起点に、定型的で非効率な作業の多い日本企業のバックエンド業務全般をカバーできるクラウドサービスへ向けて更なる機能拡張を準備中。

また「個人プラン」と「法人プラン」が用意されており、個人プランは月々500円からという料金設定。低価格での提供にこだわるウィンダー氏は次のように語る。
「料金設定を高くすると、せっかくの便利な機能を使ってもらいづらくなる。できる限り多くの人に使ってもらうことが重要ですから、従業員数や取引先数に合わせて料金が設定できるようになっています。毎月数通だけ送るフリーランスなどの方から、高額な料金をもらいたくないんです。それに『MakeLeaps』で作成した請求書を受け取った企業様が弊社に興味を持ってくださることで、新たなユーザー獲得につながることも少なくありません。あるお客様から聞いた話なのですが、『MakeLeaps』の請求書や見積書を受け取った方がそのクオリティの高さを評価してくださったようで『最近、優秀な秘書を雇ったんですね』とおっしゃっていたそうです。嬉しいことに、多くのお客様から『使う人のことをよく考えてつくられたサービス』だと、好評をいただいています」（ウィンダー氏）

最初は自社業務の効率化を目的に作られた「MakeLeaps」は、ユーザーの意見を取り入れ、技術力の高いメンバーが加わることで高性能なソフトへと成長した。現在は、大小合わせて数千社が利用しており、書類を受け取る側も加えると「Make Leaps」に関係する会社は数万社にものぼる。当初のユーザーはフリーランスや小規模な会社が多かったが、中堅以上の企業での導入が増え、今は商談に出向く社員が足りない状況だという。

順調に成長を続けているMakeLeapsだが、そこで働くメンバーは、日本人が半分、外国籍が半分で、男女比率も半々。多様性に富んだ意見やアイデアが生まれ、ソフト開発にも反映されている。リモートワークも積極的に活用し、ヨーロッパなどに住むメンバーも。そのうちの１人は、ベネズエラに住んでいる頃にリモートワークで開発に参加し、現在は沖縄に住んでいるという。

「ベネズエラからリモートで開発に参加してもらっていましたが、彼の能力が必要で日本に呼びました。数年東京オフィスで働いたのち、スキューバダイビングが趣味である彼は、沖縄への移住を希望。リモートでの実績や責任感のある彼なら大丈夫だろうと、了承しました。今は沖縄に住んで当社の仕事をしています。グラフィックデザイナーは、ベラルーシ出身でリトアニア在住。当社のデザイン全般を担う貴重な人材ですが、東京のオフィスで働く人間は、私を含め実はまだ誰も直接彼女に会ったことがありません（笑）」（ウィンダー氏）

世界中に住むメンバーと働けるMakeLeaps。東京にあるオフィスも国際色豊かで自由な雰囲気にあふれている。とはいえ、セールスチームは日本人で構成されているため、英語力は特に問わないという。英語が飛び交うオフィスで働いて語学力を伸ばしたいと思っている人には、ピッタリな環境だといえるだろう。

「オフィスは、和気あいあいとしたフレンドリーな雰囲気で、メンバーたちは、リラックスして働いています。ミーティングの数が少なく、仕事に集中できる環境にありますが、常にslackなどの社内チャットツールをフル活用して情報共有や意見交換はしっかりと行います。もちろんミーティングを設けて議論したりすることも。要はその都度もっとも効率的・効果的と思われる手段でコミュニケーションを取ります。セールスチームもオフィスではリラックスして働いていますが、お客様と対応する際にはしっかりと気を引き締める。そんな具合に、日本の社会や習慣に適用していながら、外国のオフィスのようなフラットな雰囲気を持つ職場で働く経験は、日本人にとって新鮮だと思います。英語を使う環境で働きたいと考えているなら、ぜひ一緒に働きましょう！」（事業開発部長・郡司史徳）