株式会社美彩

株式会社美彩（びさい）はオリジナルのサプリメントや化粧品など、ヘルス＆ビューティー領域の商品の研究開発、企画、販売を手がけている会社だ。肌や髪、ボディの悩みやコンプレックスを解消する商品を中心に展開し、2009年の設立以来、着実にユーザー数を増やし、業績を伸ばしている。

美彩の特徴は、少数精鋭で、職種や役職、社歴などに関わらずみんなでアイデアを出し、開発と商品化を進めていることだ。「全員でアイデアを出し合う企画会議を、週に一回開いています。例えば葉酸サプリ『BABY葉酸～ママのめぐみ～』は、奥さんが妊娠中で葉酸サプリを飲んでいるという男性メンバーの声から開発がスタートしました」。こう振り返るのは、採用担当の益子氏だ。

既に市場には数々の葉酸商品がある。後発としてどのような差別化をするか。市場に出ている全商品の成分や形態、パッケージなどを一覧にし、提携工場とも共同で研究を重ね、商品化にこぎつけた。緑色の木を基調としたかわいいパッケージは、「20種の案の中から、一般のアンケートサイトで投票してもらって決めました」と益子氏。20案は全て、社内のデザイナーが制作した。パッケージの良さに加え、ボトルタイプが主流の中で1日分の個包装とし、近年話題になっている成分を付加するなど、後発ならではの差別化も奏功。今、少しずつ口コミでユーザーを増やしているところだ。

あるいは「成分」から商品化がスタートすることもある。次々と聞きなれない新たな成分が登場するこの業界。まだ他社が手がけていない希少成分をいち早く商品に取り込めば、大きな差別化となる。例えば美彩の男性用ヘアケア製品では、「キャピキシル」という希少成分を他社に先がけて使用し、ユーザーを獲得した。

美彩はこのような商品の数々を、ECサイトのみで展開している。アフィリエイト広告やWeb広告の運用もすべて自前で行い、Webサイト上のキャンペーンやコンテストなどの企画も、会議の場でアイデアが出て、言い出した人がすぐに形にする。

驚くべきは、メンバーの大半は、開発はもちろんマーケティングも未経験で入社し、短期間でできることをどんどん増やし、戦力となっていることだ。益子氏も前職は営業だ。「他の会社と比べたら、やらせてもらう量も範囲も格段に多いと思います」と、自らの成長を実感する。このように、美彩はメンバー一人一人の力で、着実に会社を成長させてきた。

美彩の代表取締役社長を務める大戸氏は、ヘルス＆ビューティーの領域とeコマース全般について、経験も造詣も深い。日頃、大戸氏から情報やひらめきが次々と投げかけられ、それらを基に開発が動き出すことも多い。経験豊富な代表と、未経験者中心ながら意欲と向上心あふれる社員たちという布陣で、美彩はこれまで成長してきた。しかし、もしここに経験者というエンジンが付けば、さらに大きな飛躍のきっかけになるだろう。

「今まではアイデアを手探りで形にし、手探りで売ってきました。幸いユーザーの方々に受け入れられ、会社は少しずつ大きくなっていますが、やはり実務経験がある人はスピード感が違うと感じます。これからはスペシャリストも採用して、エンジンを得て一気にスケールさせていきたいと考えています」。益子氏は言う。これまでは開発もマーケティングも、積み上げてきた実績やノウハウ、および外部のセミナーなども活用し、社員が地道に学びながらやってきたが、美彩は今、欠けていたピース＝スペシャリストをはめて完成させ、次のステージを目指す段階にある。

「美容や健康に興味がある人より、マーケティングスキルを高めたい人に来てほしい」と益子氏。マーケティングの視点で見ると、美彩が扱っているヘルス＆ビューティーの領域は実におもしろいという。益子氏自身も、入社時も今も、決して化粧品に興味があるわけではない。だが、「ライティング一つで反応が変わり、Web上で何らかの施策を打てばビビッドに反応があり、売上に直結します。ユーザーの方の反応が見えることがとてもおもしろい」と手応えを感じている。

社員10名余りの美彩は、PDCAを回しながら、どんどん経験値を高められる環境だ。益子氏は「今はたまたま化粧品、健康食品を扱っていますが、ここで身につけたマーケティングのスキルがあれば、何でも売れる自信がつきました」とも言う。経験者にとっても、美彩は、これまでの知識や経験を試す格好の場だろう。やりがいは大きい。

そして、美彩という会社自体もまだ変化の途上にある。「今後もずっと、ヘルス＆ビューティーの商品を続けるとは限りません。ユーザーが求め、勝機ある領域があれば果敢にチャレンジしていきます。やりたいことを口にすることも、やりたいと手を挙げるのも自由な会社なので、これから入る人にもぜひ発信してほしいと思います」

失敗を恐れずチャレンジする社風であり、意欲と実力がある人にはどんどん仕事を任せる美彩。力ある人を抜擢し、ポジションや報酬で報いることに積極的な会社だ。ベンチャーらしくドラスティックに人材を活用するが、一方で、社員一人一人を大事にし、働きやすさも追求する。働き方は自由で、現在、在宅で勤務しているものもいる。育児などの家庭の事情に寄り添い、会社と個人の双方にとって最適な形を選んだ結果だ。休みも取りやすい。「みんな、有給休暇を使い切りますね」と益子氏は笑う。「代表が、プライベートが充実していないと仕事に100％の力を出せないという考え方で、少しでも体調が悪ければ休めと言われるし、家族の体調が悪ければ、一緒にいてやれと言います。土日祝日に出勤することも一切なく、働きやすいですね」（益子氏）。

ちなみにオンとオフの区別もはっきりしている。社員の誕生日にはホールケーキを買ってお祝いするなど、コミュニケーションは良好で仲もいいが、休日も一緒に遊ぶような会社ではない。それぞれがそれぞれに、充実したプライベートを過ごしているのだ。

不定期に実施する社員旅行は、行き先はグアムや沖縄など豪華で、もちろん平日に会社を閉めて出かける。現地では自由行動で、夕食だけはみんなで囲んで存分に楽しむという。オンオフを区別する美彩らしい。日ごろから、商品の企画や開発のプロセスで活発に意見を交わす間柄で、べたべたしなくても十分にお互いを理解し、尊重する間柄なのだろう。オフィス環境にも気を配り、働きやすさも抜群な会社だ。

会社は順調に成長し、すでに海外進出の目途も立っている。販路も確保し、許可を待つばかりだ。ひとたび海外に出れば、そこから次のステップも見えてくる。引き続き日本で足場を固めながら、世界へと、美彩の志は大きい。

「常にチャレンジしたいという人には最適な環境だと思います。例え失敗しても、そこから逃げずに進化できる人なら、チャンスはいくらでもある会社です」。自らの経験も踏まえて、益子氏は自信を持って言う。これからスケールする刺激的なステージにあり、ヘルス＆ビューティーの商材もおもしろい。ここで力を試したいという人を待っている。