世界で勝負できる子どもを育てるため、『ロボ団』などアイデア溢れる教室を運営
LEGO(教育用レゴ)をくみ上げながら、少しずつ形になっていくロボットに目を輝かせる子ども、一生懸命考えてプログラミングしたロボットが思い通りに動いて満面の笑顔を見せる子ども、逆にうまく動かず悔しがる子ども――子ども向けロボット教室『ロボ団』には、いつも子どもたちの素直な感情があふれている。
「子どもはとても正直です。つまらないもの、興味のないものには5分と集中できません。しかし、好きなことであれば前のめりになるし、2時間だって夢中になれます」。
こう語るのは、ロボ団を運営する夢見る株式会社・代表取締役の重見彰則氏だ。実に特徴的な社名だが、同社が最初に立ち上げた事業も教育型学童保育というあまり耳慣れないものだった。
「教育分野で事業を起こそうと思ったとき、真っ先に浮かぶのは学習塾かもしれませんが、私が実現したかったのは受験対策といった短期的成果を求める教育ではなく、子どもの将来の可能性や選択肢を広げられる教育――世界でも勝負できる子どもを育てる教育でした。学童保育は、子どもたちが毎日通う場所。しかも、塾などに比べて時間にもゆとりがあるだけでなく、できることの自由度も高いので、先を見た教育を行いやすいと考えたのです」。(重見氏)
学校の宿題はその日のうちに終わらせる習慣を育み、硬筆レッスンや英会話、クラブ活動など、学校では学べないレッスンも盛りだくさん。もちろん、思い切り遊ぶ時間も大切にしている。子供たちの“好き”を引き出し、“学び”に変えて、“深掘る”教育を基本にしているわけだ。この考え方は、『英会話のdone.』や『ロボ団』など、すべての事業に共通している。
「ロボット制作やプログラミングといった子どもたちが夢中になれる素材を通じて、理数・ITの力を育むだけでなく、世界大会もあるロボコンに参加することで、挑戦するマインドや最後までやり切る力を培います。ロボットを動かすときに使用するPythonは、将来的に期待されているプログラミング言語の一つで、アプリケーション開発も可能なスキルを習得できます。また、課題の抽出から仮説・検証といった論理的思考や解を導く力=情報編集力を磨くこともできます」。(重見氏)
政府が提言している『グローバル人材育成のための3本の矢』の一つとして『イノベーションを生む理数教育の刷新』が盛り込まれているように、今後は、大学入試に必要な学力として文系であっても理数の力の重みが増していく。重見氏が目指す「好きを学びに社会とつながる」は、結果的に受験という壁を乗り越え、その先の可能性を広げる教育にもつながっているのだ。