株式会社ant

Webサイトや各種広告の企画・制作を軸に事業を展開する株式会社ant。大手企業から中小企業まで多様な業界のWebサイト制作を手がける同社だが、特に採用サイトの制作実績が豊富だ。

代表取締役の山田高典氏は、新卒でリクルートのグループ企業に入社し、デジタル領域の新規事業に関わる企画・制作に従事していたという。「デザイン」を基軸とするサービスに挑戦したいという思いから20代で独立し、同期のグラフィックデザイナーとともに2006年にantを創業。リクルートグループとの接点を生かし、これまで学び・就職などの分野の大手案件を数多く手がけてきた。

例えば、2013年からアートディレクション・デザイン・コーディングなどを担当している東京都庁の職員採用サイトでは、「東京の街を良くする」という観点でサイト全体のトーンを決めるところからプロジェクトに参画。同社が携わる前後でサイトの印象は大きく変わり、確かな成果を生み出したという。

最近の制作事例としては、オフィス用品通販サービス大手のアスクル社の採用サイト（撮影のディレクションから担当）や、リクルートコミュニケーションズの採用プロモーションサイト（2017日本BtoB広告賞のリクルートサイト部門で金賞を受賞）などがある。

企業の魅力を最大限に引き出す採用サイトの制作に精通している同社。その独自のノウハウと高度なデザイン力は求職者の目を惹き、多くのクライアントから高い評価を得ている。

山田氏は次のように語る。
「採用サイトはユーザーに『選んでもらう』という意味合いが特に強いため、企業の魅力を明確に打ち出し、そのコンセプトに基づいて制作する必要があります。デザインの領域の中でも少し特殊な部分があるので、そのノウハウが蓄積されている点は当社の強みの一つかもしれません。

単に『おしゃれ』、『かっこいい』というビジュアル面だけを重視するのではなく、クライアント企業の魅力をしっかりと伝えるという本質的なところを意識し、的確に課題を解決するサイトを制作してきたことが、お客様から信頼をいただいているポイントだと思います」。（山田氏）

データサイエンスの部分まで深くタッチしているわけではないが、個別の課題を抱えるクライアント企業へのヒアリングや分析をもとに、常にターゲットを意識した最適なデザインを打ち出すということを長年続けてきた同社。そのなかで、「自然とロジックで物事を考えるデザイン会社になった」と山田氏は語る。

アウトドアウェアブランド・コロンビアの商品プロモーションサイト、茨城県のUIJターンのためのキャンペーンサイト、VR技術を活用したコミュニケーションサービスHUG PROJECTのキャンペーンサイトなど、採用サイト以外にもさまざまな実績を重ねている同社。現在も得意とする採用サイトを中心に幅広く案件が拡大し続けている。

らしさ、 たのしく、 新しく。——antが現在掲げているこのキャッチコピーには、同社のWebサイト制作へのこだわりが表現されている。クライアントの課題と深く向き合い、「らしさ」を引き出すことで、どうすれば新鮮な表現になるのかを模索し、目に前にある価値が「たのしく」心地よく伝わることを心がける。また、既存のデザインや技術に縛られることなく、表現方法も仕事のやり方も常に「新しく」というのが、antの根底にある考え方だ。

山田氏は次のように語る。
「既存の表現方法ではなく何か新しいことにチャレンジしたいというお客様は多いです。特に採用サイトは新しい手法を取り入れることでダイレクトに学生さんなどの目を惹くことが多く、課題解決につながりやすいというのもありますね。

例えば企業ロゴとは別の新たなロゴマークを作ってみたり、先進的な雰囲気のイベントを絡めた展開をしてみたりと、常に他にはない新鮮な表現を提案するよう心がけています。直接ユーザーの目に触れることのない部分で最新の技術を取り入れることもあります。もちろん安定感を求めるお客様もいらっしゃるので、安易に未検証のものを活用するわけではありませんが、今後も、それぞれのご要望に応じた形で新しい挑戦を続けていきたいです」

デザイン業務は100%自社で完結している一方で、これまでエンジニアリングに関しては外部パートナーと連携してクライアントのニーズに応えてきた。今後はエンジニアの採用を強化し、内製化を推進していく方針だ。

「エンジニアの内製化で変わる部分は非常に大きいと思っています。もちろんソースコードにもしっかりとこだわっていきたいという点もありますが、社内に開発部隊を抱えることで各プロジェクトの効率も上がり、培った知識やノウハウを上乗せしながらよりクオリティの高い仕事ができるようになると考えています」。（山田氏）

また、デザインと同様に技術的な知見も社内に蓄積することで、将来的には受託制作だけではなく自社サービスも視野に事業を展開していく構えだ。現在は各クライアント企業に対してフルオーダーメイドで制作を手がけているが、ノウハウをパッケージ化することで、Webサイト制作をより安価で高品質なサービスとして展開することも見据えているという。

「当社は単に生産だけをする工場のようになりたいわけではないので、今後もいたずらに組織規模を拡大することはないですが、技術部門を強化してより足下を固めていきたいと考えています。antに依頼すればデザイン的にも技術的にもクオリティの高いものが期待できると言われるような会社になっていきたいですね」と山田氏は力を込める。

大手プロダクションを渡り歩いてきた経験豊富なメンバーをはじめ、少数精鋭のデザイナー・エンジニアたちが活躍するant。

小規模な組織であることもあって、一人ひとりの業務範囲が広いのが同社の特徴の一つだ。例えばエンジニアであってもクライアントとの打ち合わせなどに同席する機会は多く、顧客折衝を通してビジネスパーソンとしても成長できる環境がある。

「エンジニアに裁量も与えているので、物事をスムーズに進める調整力は養われると思います」と山田氏。クライアントの個別の事情を鑑みてプロジェクトを進行させている同社では、制作物のクオリティの水準を守りつつ、機転を利かせて立ち回らなければならない場面も多い。そのため、しっかりと状況を理解してストレスをためずに仕事を進めるコツのようなものが自然と身に付くという。

もちろん、一人ひとりのメンバーとクライアントとの距離が近いことで、成果物に対する反応や評価をダイレクトに感じられる魅力ややりがいも大きいに違いない。
「制作チームの中の一人という扱いではなく、antの〇〇さんと仕事をしているという意識を持たれているお客様が多いので、仕事で信頼を得たときには大きな自信につながるはずです」。（山田氏）

同社は現在、外部講師を招いて隔週で社内ワークショップを開催しており、各回ごとにテーマを設定し、理想の会社像や行動指針などを明文化しているところだ。これらを社内のメンバー全員で考え決めていける点も、同社ならではの魅力だろう。
「ワークショップの実施を通して、みんなで会社の方向性をしっかりと共有し意識することで、私が全てを判断しなくても回っていく組織として一段階成長していくことも一つの狙いです」と山田氏は語る。

自分たちの刺激になりそうなおしゃれなお店をメンバーがピックアップして月に1〜2度くらいのペースで飲み会を開いているほか、イベントごとも豊富でコミュニケーションが活発な同社。

また、毎週金曜日の朝はオフィスに講師を招いてヨガも実施している。これらは基本的にすべて希望者の自由参加だという。そのようなゆとりのある環境に共感して参画しているメンバーも多い。

山田氏は最後に次のようなメッセージをくれた。
「技術やデザインなど限定された業務ではなく、仕事をもっと広く捉えて楽しんで働ける方、自主的に学び知識をどんどん吸収していく姿勢のある方に、是非ご参画いただきたいですね。今後のキャリアや人生の一過程として、当社の環境で互いに成長していくことができれば嬉しく思います。

これまで自分の実力をあまり発揮できなかった方などは、のびのびと自由に仕事に打ち込める環境があると自負しています。とはいえ、我々もまだまだ今の状態に満足しているわけではないので、技術面でも組織面でも積極的に意見をもらいたいですね。興味を持っていただいたら、気軽にオフィスに遊びに来てください。ランチでもご一緒しましょう！」。（山田氏）