株式会社大新社

関西圏を中心に、求人や生活情報などのメディアを発行・運営している株式会社大新社。売り上げの大半を占める主力事業の求人メディアのうち、商品の中心となっているのが、祖業である新聞折込求人紙の『ディースター』だ。大阪・京都・兵庫・奈良の2府2県および横浜市（神奈川）において毎週日曜日に発行。40年以上の実績を持ち、発行エリアにしっかりと定着している。

メディアとしての特長は、情報感度の高い新聞を購読する家族に向け新聞折込として確実に家庭内へ求人情報をリーチできることと、広告スペースをフリーレイアウトにしていること。
「競合メディアが効率性を重視するあまりに自由度がないフォーマット式にしているのに対して、『ディースター』は求人するお客様の特徴やニーズに即した広告表現を自由に行うことができる。したがって、当社では営業担当者がお客様と1社1社フェイス・トゥ・フェイスで向き合い、深く理解した上で広告表現を企画、外部パートナーである制作会社やクリエイターに対してデザインやコピーワークをディレクションして制作しています。こうした業務を通じてお客様と親密な関係を築いているところが、当社の大きな強みであると自負しています」と採用担当を務めるメディア事業部の所属長は胸を張る。

しかし、インターネットの発展とともに新聞購読者数は減少傾向にある。そこで、主要駅などの専用ラックで配布するフリーペーパーの『ディースターJOB』や、Web版の『ディースターNET』も展開してメディアミックスを推進している。
「メディアが変わろうとも、お客様と向き合う姿勢は変わりません」。（採用担当）

求人以外には、“働く女性”、“地域密着生活情報”、“インバウンド”の3領域で事業を展開。
働く女性領域としては、フリーマガジン『Pretty』（プリティ）を関西圏で20年以上前から発行している。「自分らしく美しく、毎日を楽しむ」というコンセプトのもと、ファッションやグルメ、美容、習い事など毎日の生活を豊かにする情報を提供。広告メディアとしては、集客に繋がるクーポンやサービスを盛り込んだ広告を多く掲載している。Web版の『PrettyOnline』や、ファッションコーディネートサイト『bo-te』（ボーテ）もラインナップしている。

地域密着生活情報領域では、大阪府池田市・川西市で『クレハプラス』と、同じく箕面市で『みーのプラス』を発行。当該エリアのグルメやイベント、スクールなどの情報を発信している。特長は、エリア内のほぼ100％の世帯に手で配布していること。95％という高い認知率を誇っている。

インバウンド領域では、台湾人観光客専門の集客サイト『O-share』を運営。毎年複数回訪台するほどの台湾通の編集者が担当し好評を博している。

同社は、1977年8月、代表取締役社長の長谷川健氏が2人の友人とともに創業した。求人ニーズを足で稼ぎ、当初はモノクロの求人折込チラシの発行をスタート。以来、徐々に求人事業者を開拓しエリアを広げてきた。
「1社1社のお客様に向かう姿勢は、その当時から現在まで変わっていません」と採用担当は話す。

事業が軌道に乗り、18年経ったところで、長谷川氏は新規事業となる働く女性向けの『Pretty』の発行を決める。
「長谷川には、元気でアクティブ、消費性向が高く流行を先導することで世の中を動かしている彼女たちを応援したいという思いがあったようです」。（採用担当）

インターネットが普及し始めた2000年には、Web版求人広告『d-starjob.com』（現『ディースターNET』）の運営を開始。そして2014年には池田市・川西市の“地域みっちゃく生活情報誌”『クレハ』（現『クレハプラス』）を創刊、2015年には訪日台湾人向けインバウンド事業『O-share』の運営開始と、立て続けに新規事業をスタートさせている。

今後の方向性について、採用担当は次のように説明する。
「求人領域においては、メディアがどのように変化していこうとも、お客様と親密な関係を築き、お客様の最も深い理解者として採用成功のお手伝いをしていくというスタンスは不変です。さらにWeb版の拡充を図り、“アナログの温かさ”と“デジタルの利便性”の融合を追求していきます。また、現在の関西圏および横浜市という発行エリアの拡大も図っていきます。それ以外の事業においては、それぞれが経営の柱となるように一層の努力を重ねていきます」

当社で掲げる経営理念の“利他の心”には、次のような思いが込められている。
「私たち大新社では従業員全員の物心両面の幸せが、お客様満足につながると信じています。そのためには、『他人のことを思いやる気持ち』すなわち 『利他の心』 を持ち続けることが最も大切です。

大新社では 『利他の心』 を経営理念として掲げ、皆が自分の利益だけを追求するのではなく、常に相手のことを考えられるよう、何度も自分の『良心』に問いかけ、“人”としての判断基準をしっかりと持つようにしています」

この理念は15項目に基本理念として細分化され、社員が同じ価値観を共有できるようにし、さらに78項目の行動指針を記した「大新社フィロソフィ」を制定している。
「このフィロソフィは、採用段階で理解共感してもらうことから始まり、毎日の朝礼で社員が所感を述べたり、勉強会で読み深めるなど、事あるごとに1項目1項目確認を重ねて浸透を図っています」。（採用担当）
人事考課も、このフィロソフィの実践度合が影響するかたちとなっている。

組織風土づくりとしては、社員全員が毎月1回長谷川社長に直接意見や要望、悩みごとなどについてメールを送る「社長メール」という制度を通じて、フィロソフィの中にもある“全員参加で経営する”という意識づくりを行っている。いい提案は実践に移されることも多い。

また、3カ月ごとに全社員が一同に会して「業務報告会」を開催し、業績優秀者の表彰や社長の方針発表などを共有。年末には第2部として忘年会パーティーを行い、部門別に“手づくり動画”を発表して楽しむイベントなどがある。「毎年とても盛り上がり、団結力アップに大いに役立っている」と社員は話す。さらに3月の年度末には有名ホテルの会場を借りて「スプリングパーティー」を開催。
「女性社員が着物を着てきたり、サプライズのイベントが行われるなどして華やかな雰囲気を楽しんでいます」。（採用担当）

そんな同社が求めているのは、経営理念や「大新社フィロソフィ」を理解・共感できる人材。
「逆にいえば、そうした人材ばかり揃っていますから、イジメや陰口、ハラスメントの類はほとんど聞いたことがない。そういう点でも働きやすいと思いますね」と採用担当は結んだ。