「あったらいいな」をキーワードに生活やビジネスに役立つデータベースを提供
「あったらいいな」をキーワードに、生活やビジネスに役立つ多種多彩なデータベースを提供したり、47都道府県に散らばる会員を地域特派員として情報収集サービスや軽作業請負サービスを提供している、株式会社ナビット。東京の地下鉄の駅ホームに掲出されている「のりかえ便利マップ」を見たことがある人は多いだろうが、その発明が契機となって設立された企業である。
現在では、日本全国の76%におよぶ鉄道駅の構内図や全国の駐車場情報などの交通・カーナビ系だけでなく、スーパーの特売情報や医療施設情報などの生活系、法人企業リストや全国チェーン店リストなどの企業向け(営業支援)系、気象情報や365日コンテンツなどの日替わり情報系、クイズコンテンツなどのエンターテインメント系、分譲マンションデータや年収・貯蓄世帯数データなどのGIS/不動産/統計データ系などの多岐の分野にわたる、70種類近くのデータベースを提供している。データベースのおよそ3分の2は、独自に調査・作成したものであり、これらの情報収集部隊を担っているのが、全国に5万8,100人いる主婦による地域特派員だ。
データベースは独自に作成・販売するほか、Webサービス(『助成金なう』『毎日特売』など)として提供。さらに、企業などからの依頼を受けて調査・作成するケースも多い。その際には、地域特派員ネットワークを動員して作成できるところが大きな強みだ。
「例えば、メディアを運営している企業などに多種のコンテンツを提供したり、社員やアルバイトでは対応できないような細分化した地域に根付いた情報収集や全国的な調査などに対応できることで、お客様の業務効率化に貢献しています」と代表取締役の福井 泰代氏は胸を張る。
現在は、2020年に向けて、駅や施設の構内図や飲食店のメニューなどに貼るだけで13言語に対応できる「QR翻訳シール」の提供に力を入れているところだ。
“データベースならナビット”と言われるような存在を目指す
専業主婦だった福井氏は、1995年のある夏の日、小さな子供をベビーカーに乗せ、大きな荷物を持って駅のホームにいた。しかし、エレベーターもエスカレーターも見つからず、ホームの端から端まで歩く羽目に。発明が趣味だったという福井氏は、電車の何号車に乗れば下車駅ホームのエレベーターや階段に最も近いかがわかる「のりかえ便利マップ」をひらめいた。半年以上の時間をかけて営団地下鉄(現・東京メトロ)と都営地下鉄の全256駅(当時)を調べ上げ、出版社に売り込む。50社以上をまわり、ようやくアルバイト情報誌に採用される。これが日本能率協会の目に止まり、手帳への採用が決まった。これを機に、97年に有限会社アイデアママを設立(2000年に株式会社に変更)。98年には営団地下鉄全駅への掲出が決まった。2000年、この画期的な業績が称えられ、福井氏は日経ウーマン「Woman of the Year」などを受賞。そして、従来の紙コンテンツをデジタルコンテンツに発展させるべく、2001年に株式会社ナビットに改組した。“ナビゲーション”と“ラビット”を合わせた造語で、「ナビゲーションを使ってウサギのようにピョンピョン前へ進みたい」という意味がある。
駅の構内図を作成することになった時、福井氏は大学の鉄道研究会の学生に調査業務を依頼した。その後、顧客から鉄道以外のデータ作成を依頼された際、主婦の活用を思いつき内職サイトを立ち上げる。そこに、「安全・安心・安定」の“3A”を打ち出した。
「当時の内職サイトは、詐欺まがいのものや出会い系のサクラといった悪しきものしかありませんでした。そこで、本人だけでなく家族にも説明して理解してもらえるよう、“3A”の業務であることを強調したのです」(福井氏)
これが当たり、2003年のサイトオープン以来、地域特派員としての登録者を現在の全国約5万8,100人にまで広げている。それとともに、データベースの領域や種類を広げていったのだ。
今後のビジョンについて、福井氏は次のように言う。
「当社は今、ビッグデータの時代という追い風を受けている状況です。今後もさまざまなデータベースを整備して、“データベースならナビット”と言われるような存在を目指していきます」
“面白い”が最高の褒め言葉。新しいアイデアを出し続けることにこだわる
企業風土の特色について、「“面白い”が最高の褒め言葉になっている」と福井氏。そもそもが福井氏の趣味である発明からスタートし、アイデアの力で発展してきた企業として、新しいアイデアを出し続けることにこだわっている表れといえる。
その風土を推進するしくみとして、「アイデアコンテスト」のほか、全社員が月に最低1つは提案を寄せる「メモクリップ」制度を導入。アイデアや提案は商品・サービスに関わることでも、社内の制度や設備などに関することでもよい。実際に採用された社員には、報奨金という特典もついてくる。
「例えば、インフルエンザが流行した時に予防接種の制度化や、社員が増えた時にコミュニケーションを促進するランチ会が提案され、これはいいと採用しました」(福井氏)
また、新しいアイデアを事業化する際は、営業や制作、管理の各部門を横断させたプロジェクトチームを結成して推進。人材採用も、専任の人事担当ではなく採用プロジェクトが当たっているが、「現場のニーズを反映しやすいメリットがある」と同プロジェクトメンバーであるコンテンツ事業部コンテンツ1課の立川氏は言う。さらに、教育研修制度としては、トーマツイノベーションによる年間2000講座のビジネススキル研修を受講できる制度が特長的だ。
そんな同社が求める人材像は、社名の“NAVIT”になぞらえて次のように掲げている。
Never Give Up 最後まであきらめない人
Adjust 変化に対応できる人
Vitality 生き生きと仕事に取り組む人
Idea アイデアを発信し、形にしようとする人
Trust 誰からも信頼を集められる人
自分のアイデアや仕事を通じて、世の中をもっと便利にしたいと考える人にとっては、同社は絶好の環境であることに違いないだろう。
株式会社 ナビットの社員の声

40代前半
2013年09月入社

20代後半
2013年04月入社

30代後半
2008年01月入社