Dmet Holdings株式会社

鉄鋼、IoT製品、海外事業……。多彩な領域でビジネスを展開している、Dmetホールディングス。後世まで残る事業領域で、独立心のある優秀な人材が気持ちよく仕事に打ち込み、成長して“100人の社長”を生み出すことをビジョンにグループ経営に取り組んでいる。

グループ構成会社の事業内容や特色は次のとおり。

●阪神メタリックス株式会社
グループの中核会社。関西を本拠地とする特殊鋼専門商社で、創業1956年という老舗。高機能の特殊鋼から非鉄金属まで業界トップクラスの幅広いラインナップを取り揃えている上に、切断、穴あけ、細穴などの加工も手掛け、小ロットから個別の顧客に配送するというきめ細かい対応が強み。中国・上海に現地法人、インドネシアに海外拠点を展開。また、1940年創業の鋼材販売会社である川上ハガネ株式会社を子会社に持つ。

●Dmet Products株式会社
IoTプロダクトメーカー。第1弾の商品は、モーションと音、光、映像を連動させるガジェット「SoundMoovz」。モーションセンサーを内蔵した腕時計型のウェアラブルデバイスをスマートフォンアプリでコントロールするスタイル。これを装着して手を動かすと、パーカッションやホーン、ストリングスなどの多彩な音を発することができる。ダンスをする際に最適な“ウェアラブル楽器”といえる。同社は「SoundMoovz」を2017年8月からアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどで順次リリースしていく予定。現在世界17カ国、40万台出荷。日本には、その後での“逆上陸”を狙う戦略だ。

●PT Mitra Tama Hanshin
インドネシアの財閥系企業との合弁会社。現地の特殊鋼商社と、レストランおよび牧場をそれぞれ運営する企業に投資している。当初は特殊鋼の流通を目的に進出したが、飲食業や畜産業にビジネスチャンスを見出し、ローカルに溶け込んでビジネスを展開している。

「一見バラバラに見えるので、グループのコンセプトをよく聞かれます。私はいつも、『AmazonとGoogleが入ってこないであろう領域』と答えています（笑）。ただし、我々はAmazonやGoogleのような大きな組織を目指しているわけではありません。5～10億というサイズでも構わない。重要なのは、手掛ける人材がその事業に打ち込め、圧倒的に成長し存在意義を発揮できることです。インドネシアを任せている人材が、レストランで勝負したいといえば、その意志を最大限尊重する。コンセプトは、そこにしかないかもしれません」と河合氏は力を込める。

Dmetホールディングスのオリジンは、1956年の阪神メタリックスの創業にさかのぼる。以来、特殊鋼流通の世界で実績を重ねてきた。1994年に2代目となる河合 敏彦氏が入社して以降、徐々に現在のグループ経営のあり方にベクトルを移す。そして、2012年に河合氏が社長に就任し、本格的にDmetホールディングス創設に向けて舵を切った。

河合氏は、Dmetホールディングスの“DNA”として、次の5項目を掲げている。

1　正しい道を歩め
求めよ、人として正しい道（正義・誠意・勇気・熱意・愛情）と美しい生き方

2　出来るまで考え抜け
考え抜け、人の為、世の為に、成し遂げるまで

3　オンリーワンを目指せ
生み出せ、オンリーワン
定義せよ、新しいルールを
導け、新しい世界を

4　夢を持ち実現せよ
実現せよ、大きな夢を、この舞台で
求めよ、生きる意義を
目指せ起業

5　進化せよ
適応せよ、世の変化に
進化せよ、生物の如く
貴方も、会社も
これに賛同し、行動できなければ本当の仲間と見なせない。沈黙は罪

そして、“Dmet思考”を、次の5項目＋αに集約化させている。

1　幅広く好奇心を動かす。
2　定説を盲信せず、不合理を拝し、自分の頭で本質を見極める。
3　何事にも自分流の答えを出す。
4　世の僅かな変化を見逃さず、その先のシナリオを具体的に描く。
5　答えのない世界で答えを出す、ゼロから生み出すことに価値を見出す。

考えられる全ての入口と出口を想定し、
それらを繋ぐシナリオを帰納的、演繹的に、
右脳と左脳を駆使し、双方向から繋ぐ。
そして、
世に役立つ新たなシナリオ、ルールを生み出す。

以上の考え方に心から賛同し、自ら実践できる人材が活躍できる風土であることは間違いない。

Dmetホールディングスの組織づくりには、次の方針が貫かれている。

フラットな組織
自主性を重んじる風土
公正な評価制度
誰と誰が話そうと正しく腑に落ちる結論に至る気持ちの良い仲間
人はどう生きるべきかを愚直に求める思想

「そうした舞台のあり方を、我々は追求しています。ですから、社長の仕事は“組織の構造設計士”だと思っています。『会社はどんな形であればみんなが気持ち良く動けるのか？』『どうしたら給与レベルを最大化できるのか？』、そんなことを考えながら改善を続けています」と河合氏は言う。

中核会社である阪神メタリックスは、もっぱら新卒採用に力を入れ、優れた人間性を持つ人材を意図的に集めて企業体質を変えてきたという。
「ビジネスとは、究極的には“どれだけの人を幸せにしたか”というゲームではないかと思います。単にカネを稼げばいいわけではなく、自分がどれだけのものを生み、どれだけの人を幸せにできたかを競い合う集団にしてきたし、これからもしていくつもりです」（河合氏）

その施策の柱が、評価制度だ。人間性を問う350ほどからなる設問に一問一答形式で答え、自己採点したものを評価ベースとしている。「おかしな採点など誰も考えないといった空気が出来上がっている」と河合氏。

社員数は、グループ全体で100名弱。全体の親睦を図る機会として、3年に1回の海外旅行と、その間の年には“合食（がっしょく）”と呼ばれる会社負担の食事会が行われている。さらに、家族同伴の運動会も。「大玉転がし、綱引き、玉入れと小学校のそれとまんま同じ」と河合氏は笑う。同好会活動も活発だ。

求める人材について、河合氏は次のように結んだ。
「自分を試してみたいという情熱があり、そのための努力を惜しまない人ですね」
いずれは経営者になりたいと考えている人材は見逃せない募集といえるだろう。